2018年9月9日

掌小説語り~自作つぃのべる集~44

自作つぃのべるのまとめです。 2016年12月分。
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リュカ @ryuka511

我々は紅蓮の反乱軍と呼ばれた。真っ赤な軍旗とマントを翻し、王国正規軍と戦った。暴君を討ち民衆の暮らしを守る戦いのはずだった。苛烈な戦いは、勝利の為に手段を選ばなくなった。我々が進軍した後には炎しか残らない。こんなはずでは無かった。暴君も、王国も、紅蓮の炎へ消えた #twnovel

2016-12-02 00:13:06
リュカ @ryuka511

王族に自由な恋は許されない。だけど彼女と恋をした。私の肩にのしかかる全てを捨て、彼女と生きようとした。だが彼女は私を誑かした悪とされ、彼女の故郷は王国に滅ぼされた。私と恋などしなければ。王位を継ぎ廃墟と化した彼女の故郷に赴く。王国は私の代で絶えるから、永久に君と #twnovel

2016-12-03 01:29:38
リュカ @ryuka511

人間を滅ぼし地上を制圧しても、憂鬱な魔王の心は晴れない。魔族を悪と定めた神を滅ぼしても同じだろう。常に何かを憎み、何かの敵でなくてはならない己の存在に嫌気がさしていた。英雄になりたいわけではない。魔族の安寧が彼の願いだった。願いを阻むものはあとどれ程いるのだろう #twnovel

2016-12-03 23:35:49
リュカ @ryuka511

嫉妬と猜疑心の果てに魔物に成り果てた愚かな私に何を言おうというのでしょう。信じていた? 愛していた? そんな言葉に今更何の意味があると思うのですか? 人になど戻れなくて結構。お陰であなた方の本心を知れたのですから。妬み嫉みが力になる、私もあなた方も同じなんですよ #twnovel

2016-12-04 23:59:15
リュカ @ryuka511

自分の命令を聞いてくれる、それが愛情だと彼女は思い込んでいた。苦言を呈する大臣を追放し、謀反を起こした騎士を処刑した。彼女を恐れ追従した家臣や召使が、彼女を愛してなどいないという事に、彼女は気づけない。彼女の為の歪んだ王国は、偽りの忠誠と愛情に呑まれ消えていく #twnovel

2016-12-06 01:28:08
リュカ @ryuka511

森を抜ける時は、森に棲む者に名前を知られてはいけない。名前を知られてしまったら、心許したと見なされ捕らわれてしまう。名前は呪いだから。名を問う淋しげな声に惑わされてはいけない。だが、あなたが同じ淋しさを抱え、森を抜けられなくてもよいなら、応えるのもまた道だろう。 #twnovel

2016-12-07 01:24:22
リュカ @ryuka511

曲目は四重奏だが、舞台上に奏者は3人しかいない。困惑する聴衆をよそに演奏が始まると、足りない演奏者の奏でる旋律が確かに聞こえる。3人が奏でるバイオリンとチェロと、椅子に置かれたヴィオラ、それは間違いなく四重奏だった。演奏を終えヴィオラを掲げた3人に、聴衆は涙した #twnovel

2016-12-08 00:35:57
リュカ @ryuka511

吹きすさぶ風の音に目覚める。城の最上階にある寝室で王女は深いため息を吐く。明日には隣国へ嫁ぐ。自分の生きる道を自分で選べない事に悲しみと腹立たしさが募る。窓の外は嵐で、この婚姻は両王国の不穏な未来の幕開けなのではないかという気さえして、憂鬱な気分で再び眠りにつく #twnovel

2016-12-08 23:31:03
リュカ @ryuka511

双子は片割れの身代わりになる為に生まれるという。王家の双子は乱世の始まりとも。故に王家の双子は不吉の象徴とされていた。王は苦悩する。双子の片方は早世し、妻は不吉の象徴を生んだ妃だと疎まれるのだろう。ならば世を乱さなければ良い #twnovel 王子の誕生から王の治世は厳しくなった

2016-12-10 00:55:52
リュカ @ryuka511

共に魔王討伐の旅に出た。世界を救い、皆で生きて帰ろうと約束したのに。世界は魔王の脅威に屈し、僕らを救世主気取りの偽善者と糾弾した。幾多の理不尽な仕打ちに心折られ、さよならも告げずにいなくなったひと。僕らは君を探し救う為に旅を続ける。こんな世界など放っておけばいい #twnovel

2016-12-11 00:59:27
リュカ @ryuka511

なぜ彼女は泡と消える道を選べたのだろう。絶望ではなく愛する人を想って、その想いすら伝わらないままに自分の死を選べたのか。私はナイフを手に震える。死ぬ事も愛する人を殺める事も怖くて堪らない。美しくも悲しい泡にさえなれない私の恋は、ゴシップにすらならず終わるのだろう #twnovel

2016-12-11 23:43:37
リュカ @ryuka511

あらゆる物理攻撃も魔法も跳ね返す魔王の盾を破壊しなければ勝てないと思っていた。だが魔王の咆哮を聞き剣を捨てた。驚く仲間を制し魔王に近付く。魔族は人間が忌避するから攻めてくる。加害者は人間だ。あの盾がそれを示している。憎悪が跳ね返されるなら、他のものを向ければいい #twnovel

2016-12-13 01:52:04
リュカ @ryuka511

「お嬢様、どちらへ?」執事の冷たい声が響く。「お父様の犬が何の用かしら?」睨み据えると執事はくつくつと笑った。「私が犬ならばお嬢様は何なのでしょうね?」「私は私よ」「黄金色の鳥籠を捨てて飛び立った所で飼われた鳥は生きていけない。さぁ、屋敷にお戻り下さい、お嬢様」 #twnovel

2016-12-14 02:11:31
リュカ @ryuka511

魔王にとどめを刺した瞬間、奴はニヤリと笑った。「私を倒してもまたすぐに次の魔王が生まれる。次の勇者も」奴は何故か嬉しそうに笑む。「我々はただの記号。この世界は私とお前の為にある」どういう意味だと問うたが答えはもう無かった。 #twnvday それは世代を越え語り継がれる物語の序章

2016-12-15 00:17:42
リュカ @ryuka511

貴方に惚れています。掠れた声も陰を落とす睫も、美しいと思っていました。けど貴方の声を掠れさせ睫に陰を落とさせる輩を許す気はありません。貴方に詫びさせ償わせるか、この手で殺してやるか。貴方は前者を望むのでしょうね。優しくも愚かな貴方。貴方の幸せは本当にそこですか? #twnovel

2016-12-16 01:36:14
リュカ @ryuka511

スーツケースには亡骸を詰めよう。愛は終わり夢は潰え、信頼は幻だった。亡骸と化した私の心を詰めたスーツケースは、呆れるほど軽い。もうここへは戻らない。だがどこへ行けばいいのだろう。私の心が亡骸である限りどこへ行ってもきっと同じ。それでもここにいるよりマシと歩き出す #twnovel

2016-12-17 00:15:25
リュカ @ryuka511

未来から来たそいつは数年後の私らしいが、私より若い。「お前、本当に私か?」「私はお前の子供だ。お前の過ちを正しに来た。お前らを親と呼ばずに済むように」刃が胸を突く。親の私が今死んだらお前はどうなる?朦朧としながら問うとそいつは嬉しそうに笑った。「やっと終われる」 #twnovel

2016-12-18 00:25:36
リュカ @ryuka511

華やかなパーティー会場で、喪服の新婦の姿は一際目立っていた。集まる視線をものともせず、黒いベールの下から会場を見据える。この中に、夫を殺した人間がいるのだ。謀略か、怨恨か。社交界にいて敵がいないなどあり得ない。犯人は彼の人生の終幕に相応しい動機を、持っていたか? #twnovel

2016-12-19 00:34:01
リュカ @ryuka511

メモリーを削除してもよろしいですかと問われ頷いた。これから私の初期化が開始される。私は型落ちのロボットだ。メンテナンスを受け中古市場へ流される。思考が停止する直前、大事にされてたんだなと言う技師の独り言に、悲しみと呼べそうな反応が起きたが、それもすぐに消えた #twnovel

2016-12-19 23:59:06
リュカ @ryuka511

机で眠り込む博士に毛布をかけ助手はその痩せた寝顔を見下ろす。食事にもっと気を配らなくては。博士の為に尽くすのが自分の使命。もしくは。「愛してます、博士様」ぽつりと呟いてみる。機械の自分にとって知識でしかないそれは、言葉にしたら理解出来るのではないかという気がして #twnovel

2016-12-21 00:36:01
リュカ @ryuka511

君が敵対勢力だと知った時は驚いたが、大した障害ではないと思っていた。「敵の貴方を愛するなんて許されない」涙ながらに別れを告げた君。僕にとってどうでもよかった事は、君にとって一大事だったわけだ。ならそれでいい。頷く僕に君は更に泣く。何故? 線を引いたのは君のなのに #twnovel

2016-12-21 23:40:21
リュカ @ryuka511

私の死すべき時などとうに過ぎ去ってしまった。あの日、勇者に討たれた王の後を追い自害するべきだったのだ。なのに勇者に、復讐をなどと考えてしまった。だが復讐心よりも、私に見向きもしなかった勇者が憎かっただけなのだ。主を失い死に損なった私に、その後の居場所など無かった #twnovel

2016-12-23 01:44:56
リュカ @ryuka511

「何を勘違いしていらっしゃるのかしら」貴方を守るにはこうするしか無い。「私が貴方を愛しているですって?」貴方との日々を無かった事に。「分をわきまえなさいな」私の事は忘れてどうか幸せに。「お引き取りを」背を向ける。大丈夫、演技は完璧。家の者も、貴方も、騙せたはず。 #twnovel

2016-12-24 01:02:14
リュカ @ryuka511

一緒に食べるはずだったクリスマスケーキは、君の好きな苺がたっぷり乗っていた。予約した君の名前を告げた僕は、店員からは幸せな奴と思われただろう。ひとりで食べる苺の甘くないことといったら。食べ切れない大きなケーキを前に項垂れる。サンタがいるなら、君を返してと願いたい #twnovel

2016-12-25 01:53:35
リュカ @ryuka511

吸血鬼は美しいものを愛し、醜いものを嫌悪するという。ならば私は嫌悪されるはずなのに。「美しさとはなんだろうか」恋人の呟きに顔を上げると作り物めいた美しい瞳があった。「私に聞かれても困る」ふいと目を逸らせば楽しげな笑いが返ってくる。「それを自覚しない事であろうか」 #twnovel

2016-12-26 00:19:38
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