渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』まとめ

渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017
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H.Takano @midwhite

脳のニューロン総数は赤ん坊の頃から基本的には変化しない。その一方で、大人になっても新しく人の顔を覚えたりなど、学習することができる。これはつまり、新たな知識、記憶、運動能力などが新たなニューロンに割り当てられるわけではないことを意味する。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-02 16:52:49
H.Takano @midwhite

脳の学習は、ニューロン間の信号がシナプス間隙を伝わるとき、その伝達の効率が変化することで成立する。ニューロンAが発火し、それに応答してニューロンBが発火した場合、次回以降も発火を引き起こしやすくなり、そうでない場合は発火しにくくなる。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-02 16:59:40
H.Takano @midwhite

研究対象への理解の深まりは、誤った仮説をふるい落とし、可能性のあるものを絞り込むことによって得られる。たとえ最後の一つまで絞れなくても、少しでも数を減らせれば上出来だ。従来の仮説を全否定できるようなちゃぶ台返しができれば、実験屋冥利につきる。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-02 22:08:28
H.Takano @midwhite

実験は、新たな実験条件の組み合わせで実行すれば、何らか新たな知見が得らるとは限らない。いかなる結果が得られようとも、仮説群に一切の影響を及ぼさない実験も存在する。予測しうる全ての結果が、どの仮説にも適合し、解釈可能な場合には注意が必要だ。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-02 22:11:35
H.Takano @midwhite

悪い実験とは「結果の如何に関わらず何ら新たな知見をもたらさない実験」であり、普通の実験とは「結果次第で新たな知見をもたらす実験」、そして良い実験とは「結果の如何に関わらず重大な知見をもたらす実験」である。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-02 22:25:12
H.Takano @midwhite

「普通の実験」は、ある方向の結果が出れば新たな知見がもたらされるという性格上、実験前からある方向の結果を「期待」してしまう。そして時として、その期待した結果が得られるよう実験条件を恣意的に選択してしまうということも起き得る。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-02 22:27:51
H.Takano @midwhite

『脳の意識 機械の意識』が面白い。人間の知覚は、現実世界で発生した刺激から0.5秒遅れて意識に上るらしい。つまり「0.5秒前の現実世界」を「現在」として知覚しながら生きている。そして、0.5秒前から「本当の現在」までの間に起きた「知覚上の未来」に、現在の知覚が干渉されることがあるらしい。

2018-09-07 17:38:22
H.Takano @midwhite

意識は現実世界の刺激を0.5秒遅れて知覚しているが、能動的に行動を起こす場合も、行動の意思を示す脳活動の0.5秒後に「行動しようと思う」という意識を知覚する。つまり「脳が行動を開始した0.5秒後に、意識が「行動しよう」と考え始める」。意識(自由意志)が脳に命令しているのではない、という。

2018-09-07 17:42:20
H.Takano @midwhite

意識の哲学の第一人者デイビッド・チャーマーズは、「全ての情報は客観的側面と主観的側面の両者を併せ持つ」とする「情報の二相理論」を唱えた。チャーマーズの仮説に立てば、月の裏側に置かれた石も意識を持つ。まさに万物に意識は宿るということになる。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-08 04:47:40
H.Takano @midwhite

「情報」という単位に「意識」を紐付けたのは面白いと思うけど、それならその意識の主体はどこになるのだろうか。石に意識が宿るなら、石はどこからどこまでを「自分」であると考えるのか。現実世界の「石」という単位と、「情報/意識」という単位が対応するって、それこそ人間の勝手な主観では。

2018-09-08 04:51:57
H.Takano @midwhite

人間の脳に身体の感覚器官から来る情報が集積されているから、その感覚の総体を「自分」と認識する意識が脳に生まれるとして、そしたら例えば熱の情報を保持する神経には熱だけを知覚する意識が、光の情報を保持する視神経にはまた別に意識がある、みたいな話になってこないか?

2018-09-08 04:55:29
H.Takano @midwhite

ユーザーからの入力情報を受け取って処理するWebアプリケーションやデータベースにも意識を認めることになるなあ。でも操作実験の章で「ニューロンは発火しているのに意識体験には上ってこない」ものを「意識の成立に必要最低限ではない」と消去していく話があったけど、前提のロジック揺るがないか?

2018-09-08 05:01:21
H.Takano @midwhite

「意識」を検証する方法として、ニューロンは発火しているにも関わらず、その情報が「意識体験の報告」(学習や行動への反映)に繋がらない場合、「この情報は意識には上らない」と言って実験を進めてきたのに、「情報の裏には意識がある(かも)」って言っちゃったら、その実験は何だったのかと。

2018-09-08 05:12:35
H.Takano @midwhite

思考実験としては面白いんだけどね。Webアプリケーションの意識体験はどこまでを主体と自覚するのかとか。どこまでが自分の感覚器官で、どこからが「外界」なのか。ある意識体験に対応する「情報」というのは外界の情報だと思うんだけど、その境目はpumaとnginxの間なのか、NWなのか、デバイスなのか。

2018-09-08 05:20:34
H.Takano @midwhite

人間の意識体験を理解するために脳というハードウェアを調べているわけだけど、それって喩えるなら、Webアプリケーションの意識体験を「理解したい」と思った時に、ソースコードではなく、ハードウェア上で外界からの刺激に応じてどのメモリ番地に0/1が格納されるか調べるみたいな話だよね…

2018-09-08 05:25:15
H.Takano @midwhite

「機械に意識は宿るか」という問いに対して、チャーマーズは「フェーディング・クオリア」と呼ばれる思考実験を提案した。人間の脳のニューロンのうち1つを人工のものに置き換えた時、それが元の動作を完全に再現できていれば、脳は従来通り活動するはずだ。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-08 06:04:02
H.Takano @midwhite

さらにニューロンを置き換えていった時、クオリアはどこかの時点で消失するのだろうか。それとも徐々に薄まっていくのだろうか。チャーマーズはどちらの可能性も低いと結論した。脳が完全に人工物に置き換わった後もクオリアが残るなら、機械にも意識は宿る。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-08 06:10:50
H.Takano @midwhite

重度の癲癇患者への治療として、左右の大脳を繋ぐ脳梁を完全に切断することがある。この時、症状は軽減する一方、日常生活に支障をきたすほど深刻な後遺症も報告されている。右手がシャツのボタンを留めている間に左手がボタンを外す、等の異常行動だ。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-11 21:36:48
H.Takano @midwhite

ただ奇妙なことに、このような異常行動をする本人に理由を尋ねても、一方の言い分しか返ってこない。「右手でボタンをかけても、左手が勝手に外してしまう」「ステーキを右手のフォークで口へ運ぶと左手のナイフが邪魔をする」等、脳の左半球ばかりが主張する。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-11 21:39:30
H.Takano @midwhite

発話と言語理解を担う脳部位は左半球に集中しているため、左半球の声しか聞くことができないのだ。この左半球の供述のポイントは、赤の他人に左半身を乗っ取られているかのような言い方にある。あたかも右半球と左半球に別々の意識が存在するかのごとく。/渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』2017

2018-09-11 21:41:53