山姥切国広と本作長義、刀工国広関連の話

つるぎの屋@日本刀買取専門店 ‏ @tsuruginoyaさんが山姥切国広と本作長義とその関連のあるお話をしたまとめ
19
前へ 1 2 ・・ 7 次へ
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

指裏(右側)は、ほんの僅か。 指表(左側)は、刃区下の地鉄が板目に柾がかり刃方に流れています。 「柾抜け」に近い現象で美濃伝のものにも多くみられます。 pic.twitter.com/2R2m3KG18w

2017-03-29 00:27:40
拡大

長義の作風

つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

備前長義の作風は大別すれば湾れ刃と乱れ刃になります。 のたれ刃にも、のたれの中が耳たぶや梅の花のような大小2つの山となるもの、互の目交じりのもの。 乱れ刃は、互の目乱れに丁子を交えたもの、互の目がやや小模様となり紫陽花の花のように1つ塊をなしたもの、小互の目主張の尋常なもの

2017-03-30 23:25:05
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya などに加えて皆焼がかったものなど多種にわたります。 そして、表裏は大きく異なった、つまり、それだけ複雑に乱れたものとなります。

2017-03-30 23:25:13
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya また、長義の作品が面白いのは、それら太刀や刀における刃文をそのまま短刀にも投影したものが存在することでもあります。

2017-03-30 23:25:39
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

本作長義(山姥切長義)や山姥切国広は、互の目に小互の目・尖り刃など交え、腰の開いた刃や角がかった刃で区切り、6~8cmくらいで紫陽花の花のような1つの塊を形成しています。

2017-03-30 23:26:26
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

この作風は長義にはままみられるものですが、梅花のようなのたれ刃や互の目や丁字の大きな乱れ刃が長義の作風では有名あり数も多くなります。 ですので、作風的にも山姥切国広は本作長義(山姥切長義)を写したものといえると思います。

2017-03-30 23:26:36
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya また、私は長義の短刀の作品で、この2振りのような作風をそのまま短刀に焼いたものを見たことがあります。

2017-03-30 23:26:46

山姥切国広年表

つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

本作長義(山姥切長義)と山姥切国広は共に天正18年に堀川国広による銘が切られています。 本作長義(山姥切長義):天正18年5月3日 山姥切国広:天正18年2月 ここで本作長義の方の5月3日は実際に正確な日付と考えて良いです。

2017-03-30 23:55:10
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

刀工は月を「二月日」と「八月日」と切る風習があります。 これは刀の焼入れに春と秋の彼岸の中日の水が適しているとされる為です。 「二月日」は冬至~夏至、「八月日」は夏至~冬至 他に「二月日」は立春~立秋、「八月日」は立秋~立春とする説もあり、これは刀工によって異なる場合もあります。

2017-03-31 00:14:46
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

山姥切国広には「二月吉日」の月日が銘されています。 これを旧暦の冬至~夏至に当てはめると 冬至が11月1日頃〜11月30日頃、夏至が5月1日頃〜5月30日頃なので 天正17年11月1日~天正18年5月30日の期間に制作されたということになります。

2017-03-31 00:27:40
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya 天正18年(1590)の夏至は旧暦の5月21日でした。

2017-03-31 00:44:40
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya (もっとも、天正17年11月15日~12月31日の期間内では無いと思いますが。)

2017-03-31 00:28:00
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya 立春~立秋とすると 天正17年12月15日~天正18年7月15日になります。

2017-03-31 00:28:17
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

本作長義(山姥切長義)と山姥切国広のような本歌に切付銘を施し、さらに写しを制作するというのはあまり類例がありません。 ただ、他の刀の例では本歌が焼け身であって再刃を施し、写しを制作したものがあります。 この場合は本歌に再刃するのが先で、写しを制作するのは後になります。

2017-03-31 00:38:59
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

私は以前から、写しの山姥切国広の「二月吉日」が本歌の本作長義(山姥切長義)の「五月三日」より先であることに疑問を感じていました。 刀工の風習によるもので実際の2月ではないのではないかと。 本作長義(山姥切長義)の5月3日以降の5月21日までに制作された可能性も十分に考えられます。

2017-03-31 00:48:46
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

堀川国広の天正年間の作品は19振ほどあります。 そのうち「2月・8月」が17振、「実際の月」が2振

2017-03-31 01:08:00
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

しかし、堀川国広は本作長義(山姥切長義)に「5月3日」と正確な日付を切銘しているのに、山姥切国広には「2月吉日」としたのでしょう。 正確な日付であったのなら「2月○○日」、または「○月○○日」と切銘したとも考えられるのですが。

2017-03-31 01:16:47
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

「山姥切国広」の製作年紀である「天正十八年二月吉日(1590)」 年紀から製作された範囲を旧暦で冬至~夏至として算出すると 冬至:天正17年11月15日~夏至:天正18年5月21日

2017-03-31 23:12:07
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

立春~立秋では、 立春:天正17年12月30日~立秋:天正17年7月9日

2017-03-31 23:12:21
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

天正18年(1590)の立春は12月30日なので 彼岸は天正17年12月27日~天正18年1月3日の7日間です。 「彼岸」と銘してないのでこの期間は外して良い思います。

2017-03-31 23:26:51
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

堀川国広の所持銘の切り方は天正14年のものは 「藤原兼治刀」「豊田宗安刀」「藤原兼定刀」と「何某刀」と切ります。 天正16年より「次江右衛門佐所持」と「何某所持」になります。

2017-03-31 23:42:17
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

参考までに切付銘ですが、天正18年の「本作長義(山姥切長義)」も「長尾新五郎平朝臣顕長所持」と「所持」になっています。

2017-03-31 23:42:29
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

「山姥切国広」の裏銘は「天正十八年庚寅弐吉日平顕長」となっています。 茎に余白も十分にありますので、所持銘の法則や「本作長義(山姥切長義)」を参考にすれば 「天正十八年庚寅弐吉日 長尾新五郎平朝臣顕長所持」と銘してもよさそうですが、(長尾新五郎)、(朝臣)、(所持)が抜けています

2017-03-31 23:43:59
前へ 1 2 ・・ 7 次へ