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緑肌でみんな鼻がとがってて背が低くて、人間から家畜や子供や物品を盗むし、群をなして追いはぎはやるし、勝てる状況でなら女も犯す。
2018-09-15 17:00:45ぴくめすのオークみたいなでかくて強いやつもいない。そのかわりちょっとばかり器用で細工も鍛冶も小屋づくりもそこそこにこなす。人間とも取引をする。強いとみると逆らわないが、弱いとみると悪事をはたらく。
2018-09-15 17:02:24森から出てきて、畑を荒らしているところを、小柄な農婦が追い払おうとすると馬鹿にして逆に襲おうとする気配を見せるが、大柄な農夫が熊手をかまえて脅せば蜘蛛の子を散らすようにずらがる。
2018-09-15 17:03:51日の差さない暗い谷間にゴブリンタウンがあって、闇市が開かれ、あちこちのゴブリンがかすめてきた盗品が並ぶ。人間の泥棒だの殺し屋だの、やくざだのも時々訪れる。
2018-09-15 17:05:55でかくて黄色い目。ぎざぎざの歯。何から剥いだのか分からない不潔な毛皮の服。糞毒を塗った短剣。おもちゃじみた小ささの、しかし危険な短弓と、かえしのついた毒矢。
2018-09-15 17:07:29ぴくめすのオークほどではないが、短命で高い繁殖力。 ゴブリンタウンの王様はでも百貫でぶで年寄り。歯抜け。盗んだ赤ん坊の誕生祝の金貨を溶かして作った冠をかぶって、「肉斬り包丁」というなまくらのだんびらを愛剣にしているがもう太りすぎて振り回せない。
2018-09-15 17:09:43ギャッギャ、ギーギー、キッキ ゴブリンが不快なのは得体のしれない胡弓に似た弦楽器を引いて、めちゃめちゃ耳障りな音楽を演奏できたり、見事な不協和音で合唱したりする中途半端に文化や文明じみたものを備えているところ。
2018-09-15 17:11:29ゴブリンゴブリンゴブリンタウン。 奴隷にした人間を馬替わりにまたがり、騎士のまねをするゴブリン旦那。 盗んだ貴婦人の衣装で着飾り、べたべたへたくそな化粧したゴブリン奥方。
2018-09-15 17:13:07ゴブリンタウンはとにかくくさい。くさくてくさくてくさくて汚い。 汚くて汚くて汚くてくさい。 ゴブリンだってたまに病気になって全身に茶色いぶつぶつができて死ぬ。 まともな人間なら半日もいれば四回は吐く。
2018-09-15 17:14:05くさくて汚いゴブリンタウンの王様には、すごい手下がついている。 その名も「腐肉漁りの鴉の兄弟団」。ゴブリンの精鋭。もちろん自分たちだけでは何もしないが、人間同士の戦争に便乗し、負けた側の装備をはぎとり、まだ息のある貴族を引きずっていっては身代金をとりたい敵方に売り飛ばす。
2018-09-15 17:17:11しかしある時、腐肉漁りの鴉の兄弟団は龍の尾を踏んだ。ドラゴニアの竜騎士、それも王の叔父にあたる高名な武人を捕まえ、さんざん殴り、蹴とばし、尻も犯し、髭を変な色で染め、おもちゃにしたあと、敵方に売り飛ばしたのだ。
2018-09-15 17:21:28ゴブリンもいささか調子に乗っていたのは認めねばなるまい。 この武人は大変な敬意をもって諸邦に知られていたから、敵方のクレセント帝国もむげには扱わず、丁重に祖国へ送り返した。 王叔は威厳をもってふるまい、受けた恥辱の話はおくびにも出さなかったが、ひょんなきっかけで甥が死ぬと…
2018-09-15 17:24:05血統の難しいすったもんだがあったあげく、玉座を継ぐ流れになった。即位した新王が最初にやったのは、ゴブリン討伐だった。 ドラゴニアのような強国がわざわざ害獣程度の亜人の掃討に力を入れるなどちょっとおかしい話だが、しかし元首の決意は固かった。
2018-09-15 17:26:03四百の天竜が空から、二百の地竜が陸から、百の海竜に引かせた艦隊が洋上から、さらに無数の兵士がゴブリンの数多く生息する辺境へと攻め寄せた。
2018-09-15 17:27:38最強の三竜騎士団対盗人ごろつき集団の対決は、当然ながらドラゴニアの圧勝で終わり、醜く汚く卑劣でこすっからい小鬼はそのごみためのような町ごと燃え尽きた。
2018-09-15 17:28:51天竜が空から降らせる液状の火がゴブリンの逃げ込んだ森を焼き、汽水海へ逃げ出した筏の群を海竜の氷の息吹が凍てつかせ、地竜のとてつもなく大きな六本の足がちんけな砦を踏み潰した。
2018-09-15 17:31:00どんな猟犬より鼻の利く走竜が洞窟へと潜り込み、ゴブリンの女や子供を見つけると容赦なく引き裂いた。 ドラゴニアの王は捕虜などとらなかった。望んだのは殲滅である。 卑劣で外道で姑息で不快な種族を皆殺しにせよと、ただそれだけを命じた。
2018-09-15 17:33:01ギッギ、ギャッギャ、キィキィ。 ゴブリンは逃げに逃げ、仲間を見捨て、家族を放り出し、とにかくみずからの命だけを大切に世の果てをめざしたが、竜騎士はどこまでも追ってきた。 腐肉漁りの鴉の兄弟団の見習いボルボにとってまったくついていない話だった。あと二十年早く生まれていれば。
2018-09-15 17:35:11くさむらにもぐり、岩陰にひそみ、たどりついたのは大昔に亡んだ都。 打ち捨てられた石造りの宮殿。削り取られた壁画に、トロールやオーガ、もろもろの性悪種族がとほうもなく大きな影にかしづくようすがわずかに残っている。
2018-09-15 17:39:22ここには竜族が入り込むのをためらわせる忌まわしい気配があった。 だからこそボルボは逃げ込んだのだ。食べ物も水もろくにない不毛の地だが、ほかに手段はなかった。 「ギッギッギ…畜生畜生…ギッギッギ…」
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