ドラゴン・インストラクション #3

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
2
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ドラゴン・インストラクション】#3

2018-09-18 22:06:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

朝日とオールドストーンの大船団を後ろに残し、非ヤクザ高速船は全速でエッジカムの火山島を目掛ける。コトブキはネオサイタマのネオン看板群と見まがうがごとき船灯りを振り返った。「あれが、スーサイド=サンの言っていた海の男たちなのですね!」 1

2018-09-18 22:10:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「とんでもない数ッスよね。叱咤激励しに向かうとは言ってましたが、正直、十隻二十隻規模でどうするのかと思ってました。ナメてましたね」「何者だ?過冬以前に街を仕切っていたというが」サツバツナイトがシキベに尋ねる。シキベは答える。「少し調べました。守り神……というと、また違いますが」2

2018-09-18 22:13:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オールドストーンは老齢のニンジャだといいます。シトカの人々は、過冬がエメツ産業を推進する中で、かつての暮らしを捨てていきました。それに伴い、漁船の組合を束ね、街から暗黒メガコーポを遠ざけていた彼の恩恵は忘れ去られて行きました。やがて過冬が彼を破り、誇りを奪ったワケですね」3

2018-09-18 22:20:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ショッギョ・ムッジョです」コトブキは呟いた。シキベは頷いた。「それでも、彼の帰還に呼応して、あれだけの海の男が集まって来た。日頃の過冬のシノギや急な近代化……。あれだけ恐ろしいヤクザニンジャに支配された街です。住人は普段は無言ですが、貯め込んだ不満は多い筈っスよ」4

2018-09-18 22:24:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そううまくは行くまい」ニンジャスレイヤーは淡白に言った。「敵はニンジャだ。見たところ、あの漁船の集まりにもニンジャは何人か含まれていたようだがな」「……」サツバツナイトは沈思黙考する。過冬のニンジャの数はしかし、非ニンジャの住民と比べれば当然少ない。きっかけがあればあるいは。5

2018-09-18 22:31:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「大丈夫です。ミヤモト・マサシいわく、身体が元気でも首を刎ねれば死ぬ。つまり、ニンジャスレイヤー=サンがこれからシンウインターをやっつけるので、うまくいきますよ!」コトブキが力こぶのジェスチャーをした。ニンジャスレイヤーは顔をしかめ、ただ腕組みして前方を睨んでいる。 6

2018-09-18 22:35:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「鳥」ニンジャスレイヤーは空を見上げ、高速で飛翔する鸚鵡の影を目で追う。「ニンジャだな。上陸すればさぞ歓迎されるだろう」「例のオマークのシステムは自分らに任せてください」シキベが言った。「コトブキ=サンと自分で、ハッキングの段取りをつけます。犠牲になった人達を助けられるかも」 7

2018-09-18 22:40:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「勝手にしろ」「アイエッ!」シキベが目を剥いた。「総員、回避に備えてください!」咄嗟の操舵!もはやはっきりと詳細を目視できる岸壁から、白い煙の尾を引いて、複数の飛翔物が飛んでくる!高速船は海上をドリフトし、危ういところで飛翔物を回避した。SPLAAAASH! 8

2018-09-18 22:43:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

SPLAAASH!SPLAAAASH!巨大な水柱を後ろに、高速船は全速!すわ、ロケット弾か!?否!なお恐るべき兵器!「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」「タマトッタル!」ジェットパックを背中に背負い、額に信管を埋め込んだサイバネヤクザ……ロケットヤクザである! 9

2018-09-18 22:46:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーとサツバツナイトは甲板上に身構え、スリケンを相互投擲!「アバーッ!」「グワーッ!」KABOOOM!KABOOOM!ロケットヤクザ達は空中で額を撃ち抜かれ緑色の火花を散らす!ナムアミダブツ!なんたるヤクザ兵器!高速船はジグザグに海上を滑り……接地!10

2018-09-18 22:50:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRAAAAASH!岸辺を埋め尽くすいにしえの破砕船の残骸に衝突、転覆する高速船から、幾つかの影が飛び出す!岩礁にニンジャスレイヤーとコトブキが前転着地し、そのやや離れた地点、シキベを抱えたサツバツナイトが着地した。KA-BOOOOM!高速船は爆発炎上! 11

2018-09-18 22:54:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「帰りの足がなくなりましたね」サツバツナイトに降ろされながら、シキベは悲しげに高速船の爆発炎上を振り返った。「ゲーッ!」シキベの肩に、三本足のカラスが止まり木めいて止まった。コトブキはステップを踏んだ。「背水の陣ですね。いざとなれば、奴らの船を奪って帰りましょう」12

2018-09-18 23:01:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「侵入路を探さねば」サツバツナイトが言った。シキベは方角を指さした。「攻撃を仕掛けてきた地点に、何かある筈……向かいましょう」「さがれ」ニンジャスレイヤーが身構える。サツバツナイトが横に進み出る。「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」ナムサン!岩礁を駆け来る馬上の者達! 13

2018-09-18 23:05:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

馬上クローンヤクザ達が駆けながら弓矢を構えている!ヤブサメヤクザだ!「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」射かけられる矢を、「イヤーッ!」サツバツナイトがスリケンで撃ち落とすと、ニンジャスレイヤーは飛び掛かり、トライアングル・リープでヤクザを一度に蹴り殺す!「グワーッ!」 14

2018-09-18 23:07:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

もはや二人のニンジャは姿勢を沈め、全速力で駆け始めた。本格的な迎撃だ!一方、乗り手を失ったサイバー馬が走りくると、コトブキは見事に手綱をとらえ、ひらりとまたがって自分のものにした。「追いましょう!」もう一頭の手綱をとらえ、シキベに手渡す!「すごいッスね……?」 15

2018-09-18 23:09:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

朝焼けの海を右に、サルガッソーじみた破砕船残骸群と岩礁を下に見ながら、打ちつける波飛沫の中、ニンジャスレイヤーとサツバツナイトは走り、走り、走った。「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」ヤブサメヤクザ第二波!だがニンジャ二人の速度を時速1キロたりとも鈍らせる事は出来ぬ! 16

2018-09-18 23:12:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」素早いカラテが迫りくるヤブサメヤクザを次々に倒す!カラテを受けたヤクザ達は岩礁の下へ転がり落ち、残忍な波に呑まれる!ナムアミダブツ!もとより過冬の強力なニンジャ達もこの程度の迎撃で侵入者を排除できるとは考えておるまい!17

2018-09-18 23:15:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

岩礁は坂がちになり、一見野放図な自然図とみえて、誘い込むような曲がりくねった通路に変わってゆく。しかして彼らの眼前に、関所めいて出現したのは、黒白二色縦縞の幕を垂らす胸壁であった。胸壁上には複数のかがり火が焚かれ、モノトーン幕には過冬の家紋があった。 18

2018-09-18 23:19:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

過冬の家紋は、天と地より生える二つの山……フジサンとエッジカムを意匠化した恐るべき紋章であり、あれほどシノギニンジャが跋扈するシトカ内で、ついぞ見られなかったもの。それゆえに威圧感もひとしおであった。だが二人のニンジャは視線すらかわす必要なく、躊躇わず押し通った!「イヤーッ!」19

2018-09-18 23:24:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

帷幕を抜けると、そこは城郭の前庭じみた空間だ。足元には骨めいて白い砕け貝が敷き詰められ、左の山斜面側には桟敷が設けられていた。桟敷は無人。「ゲーッ!」三本足のカラスが羽ばたき、桟敷の奥へ飛び込んでいった。導かれるように、走り込んできた馬からシキベとコトブキが降り、入っていった。20

2018-09-18 23:31:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

然り。ニンジャスレイヤーとサツバツナイトは敢えて二人を先に行かせた。ここで目の前の強力な敵を相手どる必要があると考えたのだ。まさにその瞬間、彼らの眼前に着地したのは、驚くべき速度で飛び来たった有翼のニンジャである。両足と右手の三点で着地すると、翼が大きく開き、風を放った。 21

2018-09-18 23:34:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

先程の鸚鵡とのなにがしかの共通点をニンジャスレイヤーは感じ取った。「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」「ドーモ。サツバツナイトです」彼らのアイサツに、有翼のニンジャは悠然と応じる。「ドーモ。カークィウスです。……いかなる目的で、この霊山を冒しに参ったか?」 22

2018-09-18 23:40:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「霊山?どちらにせよ、この山が貴様らヤクザニンジャの持ち物でない事は確かだろう」ニンジャスレイヤーは答えた。「シンウインターを殺しに来た。……お前、慌てて飛び戻った鳥に似ているな」「ニンジャスレイヤー=サン。ここまで随分と好き放題してくれた」 23

2018-09-18 23:45:22