産経と朝日の両方に書くと、こういう騒動が起きる？　池内恵氏が体験談

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

一時期、同世代の売れ筋の国際政治学者たちに会うたびに、「『正論新風賞くれる』って言われたらどうします？」って聞いてもれなく嫌な顔されてたが、これでとにかく拒否、話きたら全速力で逃げろ、になりましたね。 twitter.com/takedasatetsu/…

武田砂鉄 @takedasatetsu

『新潮45』、小川榮太郎氏の寄稿の一部。慄然とする。 「満員電車に乗った時に女の匂いを嗅いだら手が自動的に動いてしまう、そういう痴漢症候群の男の困苦こそ極めて根深ろう。再犯を重ねるのはそれが制御不可能な脳由来の症状だという事を意味する。彼らの触る権利を社会は保障すべきでないのか」 pic.twitter.com/rJqmyYRvop

2018-09-18 23:54:41

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

リトマス紙にならなくなっちゃった。 twitter.com/chutoislam/sta…

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

数年前に尊敬する先生が貰った時は「なんで今更新風なんだ？大賞じゃないのか？」と思ったが、大賞は想像を絶するおじいさんだった。流石にそれはマズイと最近は若手・女性にシフトしようとして大事故 twitter.com/chutoislam/sta…

松平徳内 @ichigu_ichigu

@chutoislam 正論メンバーにして、かなり勇気あるご発言ですね(笑) たしかに最近の新風賞はどうも、、

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

メンバーたってあれ、京都在任中に、大阪本社のおじいさんの窓際っぽい論説委員が三顧の礼で依頼に来たから長幼の序で引き受けたんだが。当時売り出し中の稲田弁護士を入れたいところに、党派色を薄め学術的雰囲気高めるために入れられた数名の学者の中の若手枠と思しきところ。 twitter.com/ichigu_ichigu/…

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

永久欠番ならぬ永久メンバーらしくて、依頼の際に見せられたメンバーリストにはかなりの昔の人の名前も。私の微妙な顔を見て取った老論説委員が、「〜〜先生のお名前もあります。物故者ですが」。でもその先生、当時の私の所属先のボスのお父さんで、まだご存命だったよ！という全てが珍道中の想ひ出

松平徳内 @ichigu_ichigu

@chutoislam めちゃくちゃ面白いお話を有難うございます。ときには正論にも出稿なさって下さい。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

…とまあ時折頓珍漢なこともありながらお引き受けしますとお返事した所、次の販売促進日（各戸に無料で紙面が差し込まれてくる）の一面に新規追加執筆陣の顔写真がドーンと。そしたら速攻で朝に電話かけて来たのが朝日新聞。ちょうどその年、大型連載コラムの依頼を受けていて、続

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

確か5名の執筆陣で半年だか1年だか毎週一回の外部執筆者によるコラムを回すという企画の、全体の第一回に若手を抜擢という話だった。すでに第一回の内容と構成について何度もメールでやり取りをしていた。朝の電話で担当記者は開口一番、続

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

…「今朝の産経見ましたか？」。見てはいた。と言っても産経から送って来ていたのでも事前に言われて見せられていたのでもなく、販促でうちのマンション全戸に差し込まれているようだったのでもの珍しくて広げて見ていた。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

まだまだ続きますよーー twitter.com/ichigu_ichigu/…

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

続きます。朝日新聞担当記者「今朝の産経見ましたか？」に続き、「どういうことなんですか！」ときた。私は、ここで一瞬の間に一息ついた。その一瞬はずいぶん長かったように感じられた。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

一息つきながら全体状況を把握した上で、私は答えた。「見ましたよ。それで、何が悪いんですか」。朝日新聞担当記者が、グッと言葉に詰まるのを電話の向こうで感じた。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

なおこれは15年近く前の話。2001年の9・11事件をきっかけに、学界の大勢と異なる議論をしていた私にも出版する機会が得られて数年間、闇雲に依頼に答えて書いている時期だった。朝日新聞担当記者としては私を大型コラム連載執筆陣に起用したのは大抜擢だっただろう。続

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

朝日新聞とは2002年の暮れに発表の第2回大佛次郎論壇賞の縁があった。これについてはSNSで書いたことがあるが、当時まだきつかった日本の序列意識を覆して、全く面識のない米国在住の高名な先生が強く推してくれたことで、下馬評を覆しての受賞だった。朝日新聞の内部では異論も多かっただろうが。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

まあその賞の経緯自体朝日新聞の別の記者があけすけに話してくれたことなので。記者も、私が当時あまりにも経験のない若い人だったから多分会いにきて拍子抜けして色々喋ってくれたのだろう。そんな経緯も知っていたので、賞をくれたからといって朝日新聞と特に近いという感覚はなかった。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

話を戻すと。ええと「どういうことなんですか？」「何が悪いんですか？」「グッ」からですね。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

ちょっとお待たせ。研究会のために移動しながら、途中で、来週来日する先生が貴船に行けるかどうか、先日の台風の被害情報を確かめたりしている。微妙に体調が悪いのでゆるゆると。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

朝日新聞担当記者としては、「うちが賞を出して、うちがコラム連載陣に抜擢してやっているのに産経に描くとは何事かーー」ということなのだろう。しかし私としては、賞をもらったからといって特定の新聞社に従属する必要はないし、コラム連載を引き受けたからといって専属でもない。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

何よりも、うちで使ってやっている書き手はライバルの新聞に出たらダメだというのは言論弾圧まがいである。まあいくら何でも産経の販促の日にドーンと一面でやられると担当記者の自分の社内での立場が、などということはあるのだろうが、それはあちらの話。こちらは筋を曲げられない。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

何よりも、ここで引けば名折れである。こういう時は最初が肝心である。「どういうことですか？」に対して「何が悪いんですか」。こちらは何も悪くないのだからその原則を最初に示す。けしからんと連載コラムを取り消したりすれば（朝日新聞はそうできるが）朝日新聞の側が自ら新たな問題を作るだけ。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

このことが一瞬で理解されたと見えて、朝日新聞担当記者は「グッ」となった。しばし沈黙とおざなりなやりとりの後、「これについては社内で検討します」と記者は電話を切った。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

その後、丸一日ぐらいは時間があっただろうか。連絡があった。社内での検討の結果、若手大抜擢で大型連載コラムのトップバッターにという企画は取り消して、連載執筆陣の最後尾に降格する、と。本当ならクビだが、どうも私は屈するつもりがないらしいし、メールでこれまでのやりとりも残っている。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

トップバッター抜擢→ラストバッター降格という解決策が何とも姑息だが、1日で、社内のどこでどのような議論がされたのだろうか。詳らかにはしないが、私の勘では、かなり上まで行っていますね。「身の程知らずな書き手を罰せ」論と「言論弾圧と非難されるのでは」論の折り合いをつける「降格」。