園児RPGテキスト外伝「宵の流星と暁の詩」第四章
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光が晴れた時、広大な森は焼け野原となり未だ炎がくすぶり燃えていた。そこに一人くずおれる蒼髪碧眼の少女。彼女はただ言葉にならぬ叫びをあげ、涙を流す事しかできなかった。 #mmytxt
2018-09-21 21:32:27何かに気付いた彼女が顔を上げると、空から光の粒が降り注ぎ…手元に集まっているのだ。それは明らかに一つの形を成そうとしている。彼女はそれを掴もうとした。 #mmytxt
2018-09-21 21:34:33それも彼女に応えた。掌の中に確かな手応えを感じた彼女が握った手を開くと…半透明のクリスタルめいたプレート…そこには『風』を意味する魔術文字が浮かび上がっている…がはっきりと見えた。 #mmytxt
2018-09-21 21:37:00これは導きかもしれない。例えどのような試練があろうとも、立ち止まってはならないのだ…彼女はそう己に言い聞かせ、立ち上がった。眼前にはこの惨禍にも関わらず奇跡的に雄々しく大地に立つハシバミの木があった。 #mmytxt
2018-09-21 21:39:26「お客さん、大丈夫ですか?」看板娘がクリナゴに声をかけている。どうやらクリナゴはかなり上の空のようで、サーモンの燻製も半分以上残っている。「…ああ…問題ない」「ところで、お隣のその方はお連れさんで?」 #mmytxt
2018-09-21 21:43:56クリナゴが隣の席に目をやるとすでにイツキの姿はなく、ピンク色の髪にナイトキャップめいた異様な極彩色の帽子をかぶった少女…否。少女のようなもの…が座って眠り込んでいた。「彼女を起こさないでやってくれ。厄介な事になる」クリナゴの声が一段低くなった。 #mmytxt
2018-09-21 21:45:32何かを察した看板娘は黙ってその場を離れた。「どうしたものか…」その時、クリナゴの懐の中で何かが鼓動めいた音と共に赤黒い影を広げる!(『闇』のプレートが…反応している…!?)「…おはよう世界…クリナゴさん…モヨだ」ピンク髪の少女…『闇』のモヨが目を覚ました。 #mmytxt
2018-09-21 21:47:35半開きの彼女…彼女?の瞳は底知れない程紅い。「突然現れたという事は、何か大事な用が…?」「あるかもね!」モヨは端的にこういった性格である。闇の力を振るう事にすら悪意が介在しない、純粋なる闇。よってクリナゴも強く出られない。意図を探る必要がある。 #mmytxt
2018-09-21 21:50:03クリナゴは未だ影に覆われる『闇』のプレートを懐から取り出した。「あっそれわたしがあげた」「これについて、話してくれる?」「わかったちょっと長くなるぞー」何とか話を聞き出せそうだ。その頃ウィアドはもう一杯ウイスキーを頼んでいた。「代金は大丈夫か?」訝る店主。 #mmytxt
2018-09-21 21:52:49モヨはクリナゴとは目を合わせず、独り言めいて語り始めた…「闇はどこにでもある…あなたのそばにも…光があれば必ず影ができるようにだ」その言葉と共にクリナゴの懐から神秘的な光を放つ何かがゆっくりと飛び出した。(…『光』のプレート…!!) #mmytxt
2018-09-21 21:55:25光と闇、二枚のプレートはやがて空中で静止した。「光は闇を照らせるけど強すぎる光は照らすどころか傷つけてしまうのだ…」クリナゴの脳裏に110年前の記憶が鮮明に駆け巡った。眩しそうに目をこすりながらモヨは続ける。「…それは闇の力もおなじだよ」 #mmytxt
2018-09-21 21:57:28「すべてが闇となれば光もなくなり世界はえいえんの虚無につつまれる…わたしはそれをのぞまない」どこか示唆的なモヨの言葉にクリナゴは静かに耳を傾ける。「…人の心には必ず闇がひそんでる…その闇を悪者だとのけものにしてはいけない、自分の一部としてうけいれるんだ」 #mmytxt
2018-09-21 22:00:18「闇を…受け入れる…!?」光の者として生きてきたクリナゴにとっては衝撃的な言葉であった。モヨはクリナゴの顔を覗き込み、楽しげに締めくくった。「自分の闇をうけいれられれば、ほんとの光がつかめるかもね…うひひ!」その瞳は深遠で、月明かり無き夜空を想起させた。 #mmytxt
2018-09-21 22:02:55不意に店主がこちらに声をかけてきた。「お嬢さん、注文のアップルジュースだ」「アップルジュースだ、わぁい」モヨは無邪気な顔でジュースを飲み始めた。「店主呼んでくれ、店主!」反対側のテーブル席から突如ウィアドの怒鳴り声が! #mmytxt
2018-09-21 22:06:06