1988年9月24日(土)の旅日記(181日目・ベニアベス)

砂漠2泊目はよく眠れた。最高の日の出。赤いエルグ砂漠でフランス人学生に出会い、行動をともにす。体調を崩す。
1
桃岩荘人 @namihei1224

9/24 0630起床。よく眠れた。砂を平らにして寝たのがよかった。砂漠じゃメガネに曇りもつかない。0700日の出!最高の日の出。 pic.twitter.com/D0rhWy7nyF

2017-09-24 09:46:20
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

太陽神を信仰しようという気持ちがわかる。仕度して菓子食って、0730ザックを背負い、砂漠へ足を踏み出す。 pic.twitter.com/4Zgzuh4L56

2017-09-24 09:47:27
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

沙漠に思う。エルグ砂漠は美しい。とくに朝夕のそれは妖しいまでの曲線美を光と影のコントラストで鮮やかに見せてくれる。魅せてくれる。それだけではない。一歩踏み入れると、その感触、ひんやりとしたなめらかなさらさらとした感じがやさしく、足を迎え、包んでくれる。 pic.twitter.com/snRj4geSI8

2017-09-24 09:48:38
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

そしてその一粒一粒、赤いサハラは完全に美しく、キラキラした均一の粒子である。もちろん、数えようもない。「恒河沙」という数詞があるが、まさに無限である。こうして砂丘に座っていると、なにか吸い込まれていくようだ。 pic.twitter.com/DVUoMVIGRv

2017-09-24 12:55:59
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

目に見えている赤い色に写らなかったので、ちゃんとしたカメラで撮り直し。 pic.twitter.com/IcaOAZZFzB

2017-09-24 21:47:11
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

胸が苦しくなっても、足の傷がこすれて痛くなっても、足が疲れても、どこまでもどこまでもその奥へ奥へと進んでいきたい思いに駆られる。これほどまでに魅惑的なものだとは思いもよらなかった。ただの砂だと。色、形、そして彼に対する光、影、風、青空、すべてがすばらしい。 pic.twitter.com/X6z1PjJpVe

2017-09-24 12:57:06
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

なぜだろう。考えてみた。ふと思った。これは海に匹敵するのではないかと。海は何もないのに人を魅了する。珍しいものでもないのに、どこにでもある、ただ水が茫々と広がっているにすぎないのに。

2017-09-24 12:58:39
桃岩荘人 @namihei1224

そう、海は万物の生きとし生けるものの母という。すべてを飲み込み、すべてを生む。万物はいつかそこへ戻りたいという思いがあるという。彼女に対して砂漠は何か基本的に似ている。風に流れ、思うがままに動いてゆく。広がっていく。街を、畑を容赦なく呑み込んでゆく。 pic.twitter.com/PT5nsFDWFK

2017-09-24 12:59:35
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

父とは言わない。そう、海が生の神、生の母に対し、死の神、死の父という気がする。やがていつかは全てが吞み込まれてゆくのではないか。そして再びそこから生まれるものは、ない。死あるのみ。和辻氏の風土的な意味においてではない。まさに死そのものでしかないのだ。

2017-09-24 13:00:03
桃岩荘人 @namihei1224

生のない世界、あの夜の静寂。日中の人を寄せ付けぬのっぺりした姿。生が全く感じられない。「ナウシカ」を思い出す。あの蟲の森のイメージはまさにここからきてるのだろう。やがて生あるものを全て吞み込み、そしてその姿こそすべての生より美しいのかもしれない。汚れさえも呑み込んでしまうから。 pic.twitter.com/3c2Ij2tu0P

2017-09-24 13:01:39
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

ナウシカに言う。我々生きている者は美しくなく、汚れ、禍に満ちている。死すべきものなのか。永遠の生はありえない。最終的な美は死の世界。ここにこそ存在するのか。我々は神に許されない存在か。この輝く赤い砂がやがてこの世のすべてを覆いつくす時がくるのかもしれない。 pic.twitter.com/ROvNRuPmk1

2017-09-24 13:02:39
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

でもできるなら、もう少し時間を与えたまえ。限りある生が、汚れつつも美しくあろうと努力する限りにおいて。 pic.twitter.com/amcT15eDw2

2017-09-24 13:02:51
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

「旅行者はその生活のある短い時期を沙漠的に生きる。決して沙漠的人間になるのではない。沙漠における彼の歴史は沙漠的ならざる人間の歴史である。が、まさにそのゆえに彼は沙漠の何であるかを、すなわち沙漠の本質を理解するのである。」55ページ。 pic.twitter.com/I9Nl2nkUkF

2017-09-24 17:08:50
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

ザックの分、足が砂に食い込む。街に向かって赤い砂丘を歩いていくと、向こうから白人男性が歩いてきた。ステファンヌ・ラゴット。フランス人。以降、行動を共にす。 pic.twitter.com/xUfP9WeFx0

2017-09-24 17:15:37
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

この時のことを5年後にステファンヌは手紙で写真のように書いてきた。俺が単身沙漠を北から縦断してきたと思ったと。(笑) pic.twitter.com/59hSavsMBR

2017-09-24 17:16:25
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

リンゴもらう。カフェでパンとカフェオレ。5DA。彼も「ハロースティロ!」とガキンチョたちに囲まれる。 ステファンヌは、パリでgraphic artsを学んでいる。フランスからマリまでヒッチハイクで旅している途中。三ヶ月で往復する計画らしい。

2017-09-24 17:18:14
桃岩荘人 @namihei1224

去年、セネガルからマリまでヒッチしたが、体力が尽きてサハラを越えられなかったので、今年チャレンジしているとのこと。だから俺のことをサハラ越えてきた旅人と思い込んだのだろう。唯一のホテル、ホテルRYMへ。1030チェックイン。ツイン140DA(1人70DA)。C'est bon!

2017-09-24 21:00:10
桃岩荘人 @namihei1224

エアコン、トイレ、シャワー付。ダブルでなくてよかった。ほっ。シャワーを浴び、バーでオレンジジュース5DA。銀行で100$→645DA両替。1300街のレストランで昼飯。22DA=ジュース、ショルバ(内臓)とパン。とにかく硬くてまずいね、ここのパンは。暑い。帰ってゴロゴロ。 pic.twitter.com/MOHSUuu1QT

2017-09-24 21:02:37
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

夕方パームツリーフォレストを散策。ここいらから体調が急におかしくなる。腹痛と疲労、すべてが面倒に感じる。必死で耐えて夕飯を食う。昼と同じレストランで22DA=イモとオムレツ。先に帰る。神様正露丸を飲むが、回復せず。腹の激痛に夜通し苦しむ。水に当たったかと思われる。 pic.twitter.com/Q7eENdCa5H

2017-09-24 21:07:29
拡大
桃岩荘人 @namihei1224

ステファンヌに水溶の薬もらう。5リットル用、1時間置く。彼は本当にいいやつだ。

2017-09-24 21:08:11
桃岩荘人 @namihei1224

サハラ、西大エルグ砂漠、ベニアベスの砂。 pic.twitter.com/Qbc6YY4g9f

2017-09-24 21:44:23
拡大