ゲイリー・カーツと日米合作アニメ「ニモ」のこと

シネマトゥデイ @cinematoday

『スター・ウォーズ』プロデューサー、ゲイリー・カーツさん死去　78歳 cinematoday.jp/news/N0103779

Star Wars @starwars

Lucasfilm remembers Gary Kurtz, producer of A New Hope and The Empire Strikes Back. strw.rs/6006D2XqK pic.twitter.com/AOGENXgWdY

拡大

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

スターウォーズの第1作目と2作目のプロデューサーはゲイリー・カーツだった。彼はプロデューサー絶対主義者で、作品をコントロールしようとするタイプだったから、私がシリーズ・ベストと考える『帝国の逆襲』は、ルーカスというより、ゲイリー・カーツとアーヴィン・カーシュナーの作品なのだと思う。 pic.twitter.com/dOPnp6KQYc

拡大

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

スターウォーズ6部作の中で『帝国の逆襲』だけ、映画としての感触が違う気がする。「動的」なんですよ。ジョージ・ルーカスの作品は、どんなにアクションを盛り込んでも「静的」な感じがする。そういうテンポが好きなのだろう。『帝国の逆襲』はルーカスのコントロールから外れているのではないかな。

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

ゲイリー・カーツは作品の主導権を手放なさず予算も惜しまないので、ルーカスとぶつかり、ルーカス・フィルムを去ることになった。ゲイリー・カーツがプロデュースした映画「オズ」では、権限を奪われ何もできずに、撮影中に自信を失った監督のウォルター・マーチを、ルーカスとスピルバーグが慰めた。

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

ゲイリー・カーツについて思い出す時、日本の映画ファンとしては、日米合作アニメ『リトル・ニモ』の米国側プロデューサーとして参加し、作品を引っ掻き回して去って行った件は、忘れることは出来ない。ゲイリー・カーツと衝突しなければ、宮崎駿も高畑勲も『リトル・ニモ』を離れなかった訳だから。

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『リトル・ニモ』が高畑勲・宮崎駿のコンビで作られていたら、日本のアニメ界はどうなっていたのだろう。ニモを首になって仕事がないから宮崎駿は『風の谷のナウシカ』を描いたのだから、スタジオ・ジブリも存在しなかったのかもしれない。その代わり『リトル・ニモ』が国際的に評価されたのだろうか？

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

ゲイリー・カーツはかなり癖のある「完全主義者」で、批判やトラブルも多かったが、だからこそ『ダーク・クリスタル』のような奇跡的な作品を作れたとも言える。作家のハーラン・エリスンは『スターウォーズ』の1作目をクサしたが『帝国の逆襲』は「嬉しい驚き」と絶賛し『オズ』も高く評価していた。 pic.twitter.com/LaHjoDuR7k

拡大

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

ゲイリー・カーツがルーカスとぶつかった直接の原因は予算の使い方だというが『リトル・ニモ』についての大塚康生のドキュメントを読むと、無理もないなと思う。ニモの総制作費は55億と言われるが、その内30億近くはゲイリー・カーツが準備で使っているのではないか。直接制作費は10億くらいだと思う。

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

ではゲイリー・カーツが無能なプロデューサーかというと、そうとも言えないのが難しいところだ。鈴木敏夫によると、宮崎駿はゲイリー・カーツと衝突してニモを外れたが、彼がジブリで採用したアニメ制作の方法論はニモでのゲイリー・カーツのやり方を踏襲したものだという。実は影響を受けているのだ。

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

スターウォーズはマットペインティングを多用していることで知られるが『帝国の逆襲』は少し違う。監督のアーヴィン・カーシュナーは「マットペインティングは好きじゃない。代わりにバカでかいセットを作った」と話していた。だから予算がかかったのだろうが、画面のダイナミズムも増していると思う。

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『スターウォーズ ジェダイの帰還』のプロデューサーが公開当時「脚本を読み込んで、どこで予算を節約できるかを判断するのがプロデューサーの手腕」と語っていた。だから、カメラを引いて軍隊を映したシーン等はマットペインティングが多い。しかし、ゲイリー・カーツはそう考えなかったのだろう。

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

単なる無駄遣いとは言えないが、金を惜しまず投入する人だったのだろう。『ダーク・クリスタル』や『オズ』の細部までこだわった画面作りを見るとそんな感じがする。しかし、その投資に見合う興行成績を上げられなかったことで、一度自己破産してしまう。商売で大成功を収めたルーカスとは対照的だ。

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

準備期間の長かった『ニモ』には、月岡貞夫版、近藤喜文&友永和秀版、出崎統版の3本のパイロット・フィルムがある。この内、近藤&友永版と出崎版は見ることが出来る（共に素晴らしい）のだが、月岡貞夫版は失われてしまったようだ。これは実に残念。月岡貞夫の描くニモって、ぜひ観てみたいですよね。

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

大塚康生は、一目で「自分より上手い！」と思ったアニメーターは月岡貞夫、宮崎駿、貞本義行の3人だと話している。大塚康生は月岡、宮崎の2人とは友人なのだが、月岡貞夫と宮崎駿は、どうやら余り仲が良くなかったらしい。そう言えば、宮崎駿が月岡貞夫に言及しているのって聞いたことがないですよね。

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

本当かどうか知らないが、一説によると『ルパン三世 カリオストロの城』のカリオストロ伯爵は雰囲気も態度も月岡貞夫にソックリなのだと言う。 すると、カリオストロ伯爵がニセ札をチェックして「良い出来ではないな…やり直せ。納期も遅らせてはならん」と却下するのは、現実そのものだったのか。😅 pic.twitter.com/t19fkHlMfg

拡大

エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

「ニモ」のゲイリー・カーツについて、強権的なプロデューサーとしてヒール的にしか見られない人って、ハッキリ言って… …いや、これ以上言うのは、やめておくか。多分、言っても意味ないし。