ドラゴン・インストラクション ＃６

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ドラゴン・インストラクション】#6

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その瞬間、桟敷の庭の上空には、赤黒と黒橙、二色の火花が天高く噴き上がった。海上、「一番美しいお前」号の船長オールドストーンは、卓越したニンジャ視力によって、確かにそれを見届けた……。……「サヨナラ！」カークィウスは全身にスリケンを受け、爆発四散した。だが！　1

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無数の羽根を撒き散らして消し飛ぶカークィウスを貫くように、間髪入れず上空から飛び来る一羽の鸚鵡！ダブル・ヘルタツマキを耐えきったサイグナスがサツバツナイトに襲い掛かり、対するニンジャスレイヤーが二対一のイクサに持ち込もうとするなか、鸚鵡は阻むように着地すると、人型をとったのだ！2

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは新たなカークィウスに迷わず殴りかかる。有翼のニンジャは鉤手をガードし、胸を打って間合いを稼いだ。「ヌウーッ！」ニンジャスレイヤーは苛立ちに目を光らせ、前傾姿勢の背中は黒い火をブスブスと燻らせた。カークィウスの肩越し、苦戦するサツバツナイト！　3

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「イヤーッ！」ローキック・ハイキックの連続攻撃をニンジャスレイヤーは耐え、そのまま前進して殴る！「イヤーッ！」「グワーッ！」カークィウスは怯んだ。この確かな質量の重み！実在、そしてカラテの充実は先程と変わらない。(((このジツは……ヌウウ……ジョルリの亜種か？)))ナラクが戸惑う。　4

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」チョップがぶつかり合う！(((だが、ジツの原理などどうでもよし。とにかく要はこれを殺しても次がある事を想定して戦えい！)))「イヤーッ！」「グワーッ！」脇腹に短打が入る！ニンジャスレイヤーはハイキックで首を刎ねに行く！「イヤーッ！」　5

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だが、その時！さらなる鸚鵡が着地し、第三のカークィウスの姿を取ると、死角からニンジャスレイヤーに攻撃をかけた！「イヤーッ！」「グワーッ！」背中に肘打ちを受ける！「イヤーッ！」「グワーッ！」当初の一体がニンジャスレイヤーを殴りつける！アブナイ！　6

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」嵐めいた連続打撃！ニンジャスレイヤーは驚愕に一瞬その目を見開き、しかし憤怒にも似た闘志に険しく目を細めて、両腕を顔の横に掲げたガード姿勢をとった。「「イヤーッ！」」「ヌウーッ！」　7

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一方のサツバツナイトもまた、別種の連続打撃に晒されながら、反撃の糸口を見いだせずにいた。「イヤーッ！」サイグナスの打撃は時間差で重なり、一方的に攻撃を続けてゆく。サツバツナイトの手には既に得物のヌンチャクが握られている。これは閉所ゆえ使えなかった前回戦闘時に比較すれば有利点だ。8

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」サツバツナイトは絶え間ない攻撃をかろうじていなしながら、焦り始めていた。ニンジャスレイヤーは明確な複数敵からの攻撃を受けている。彼以上に厳しい状況だ。なんとかサイグナスを押し返し、加勢をせねば！「イヤーッ！」「グワーッ！」9

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チョップ脳天割りをヌンチャクで防いだサツバツナイトは足払いを受けてバランスを崩し、斜め後方からのミドルキックを受けた。攻撃を出し終えたサイグナスの像が順を追って消え、更なる打撃が襲ってきた。「イヤーッ！」「ヌウーッ！」意識を他所へ向ければ、たちまち死の顎がかすめるのだ！　10

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーはカークィウスの打撃を深く屈んで躱し、下から上へすくい上げるように抉りに行った。これはカークィウスの意識を上回った。「グワーッ！」吹き飛ぶカークィウス！そのままニンジャスレイヤーは身を捻り、バック・キックでもう一体を牽制する！「イヤーッ！」だが！11

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「イヤーッ！」「グワーッ！」滑空トビゲリがニンジャスレイヤーを襲い、インターラプトしたのだ！転がって受け身を取るニンジャスレイヤーにジリジリと迫るカークィウスの数、今や、三……！　12

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ドクン……。ニンジャスレイヤーの心臓が強く打ち、時間感覚が泥めいて引き延ばされた。死の危険を前にニューロンが極度鋭敏化する事によって引き起こされるソーマト・リコール現象だ。時間は鈍り……やがて……危機の打開策をもとめた無意識は、過去にすら向かう！　13

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（……惑うなかれ。敵の姿見えぬならば、邪悪なるニンジャソウルの存在を感じ取るのだ）第三のインストラクションを伝えるフジキド・ケンジの顔はぼやけ、マスラダの知らぬ老いたニンジャの厳しい顔が重なった。恐らくそれはフジキド・ケンジの記憶……彼の目から見た、いつかの過去だ。　14

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フジキドの記憶。即ち、「ニンジャスレイヤー」に蓄積された過去の情報の断片。マスラダはブッダが垂らした糸めいて縋りつく。状況打開の為に、いかなる幻影も無駄にすべからず！（ニンジャスレイヤー＝サン、それはお前のうちにも、敵のうちにも在る。ニンジャソウルを感じ取れ……そこに敵は在る）15

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断片記憶のニンジャスレイヤーが足を踏み入れたのは、タタミ敷きの四角い小部屋であった。それはシュギ・ジキと呼ばれるパターンで、十二枚のタタミから構成されている。四方は壁であり、それぞれにはライオン、バタフライ、ゲイシャ、イカの見事な墨絵が描かれていた。　16

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そのときニンジャスレイヤーはナイトシェイドという名のニンジャを求めていた。敵をとらえるべく、その時彼が思い起こした師の教え……！「ニンジャソウルを感じ取れ！」ドラゴン・ゲンドーソーの声に、ニンジャスレイヤーは自らの叫びを重ねた。そしてスリケンを投げた！「イヤーッ！」17

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KRAAASH！「グワーッ！」ニューロンの中で彼が投じたスリケンは、バタフライの描かれた壁を貫通し、記憶の中のニンジャを仕留めた。記憶は分解し、ノイズとなって、無意識の海に再び沈んでいった。だがマスラダはインストラクションを反芻していた。「ニンジャソウルを感じ取れ！」　18

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彼の視界に現実の世界が戻って来た。ゆっくりと空気が流れ、ゆっくりと三体のカークィウスが近づいてくる。隙無き連続攻撃で畳みかけ、仕留めにくる。カラテ質量保存則上で考えても、それほどまでの力を無尽蔵に用いる事ができるとは考えられない。どこかに糸口がある。ゼロコンマ秒で捉えよ！　19

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彼はニンジャ第六感を総動員した。これがジョルリの類だとして、これほど強力なカラテをもって動かすならば、遠く離れた場所はありえぬ。然り、本体が存在する。それも相当な近くに！必ず居る！ニンジャソウルを感じ取れ！「イヤーッ！」　20

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「グワーッ！？」庭の先、桟敷上の空間の一点に、スリケンが突き刺さっていた。そしてニンジャスレイヤーはカークィウスから三連続の打撃を受けて爆発四散する運命を免れた。見よ。スリケンが突き刺さった空間が歪み、肩を押さえるカークィウスの姿が露わになった……！　21

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「……イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは赤黒の嵐めいて動いた！「グワーッ！」一体目！「グワーッ！」二体目！「グワーッ！」三体目！極めて高度なニューロン・リンクが乱れ、カラテが乱されたカークィウスを、連続トライアングルリープ・ケリで蹴り渡る！さながらピンボールの乱反射！　22

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは桟敷へ跳び、本体に襲い掛かった。ナムサン！カークィウス本体は瞬時に己のジツを解除していた。ニンジャスレイヤーの後ろで三体のカークィウスはもがき苦しみ、鸚鵡と化して砂の上に落下した。ナムアミダブツ！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーが襲いかかる！　23