呟怖と散文

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

一人の夜道 聞こえる足音 自分のものじゃない 歩きながら 耳を澄ます なにかがささやく声に 誰だ なんだ どこから 誰に 止まらない 振り返らない 聞こえない なにも なにも #呟怖

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

ツイてないな。 雨粒が体を叩く。 スピードを落とし、雨宿りをさせてもらおうと軒先を借りるのに、とある家にバイクを寄せた。雨脚は弱まる兆しはない。雨は避けられるが体が冷えて心地が悪い。 湿気た煙草に火を付けると、鈍光するものを手にした老人が出てきた。 もう一台バイクが停まっている #呟怖 twitter.com/tsubukowa/stat…

呟怖 -つぶこわ- @tsubukowa

#このお題で呟怖をください 【呟怖からお題】 お題『旅』 上記をテーマに呟怖を作成してみて下さい。 内容は恐ければ何でもOK！ ※お題のワードを使う使わないも自由です。 #呟怖

2018-10-08 13:41:47

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

何もしなければ平行線だった。ずっと近い、二本並んだ線。付かず離れすぎず心地いい距離。 でも僕は言ってしまった。 混じり合いたい一心で衝いて出たその言葉は宙に浮き、灰色になって平行線を隔てる。 間違えてしまったんだろうか。 君をそんな顔にするはずじゃなかったのに。

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

君が消えて 君のものを捨てた 痕跡はないはずなのに #詩人の本懐 残存

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

君とデートだなんて、照れ臭いやら嬉しいやらで訳がわからないまま、僕はイカ墨パスタを注文してしまった。それを君にもひと口あげてしまった。なんて失態。 飲み込んだ君の口の端を見て、それに気づくなんて。 君はナフキンで口を拭いながら僕の顔を見て笑った。 ふたりで炭鉱夫みたいな口で笑った。

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

君の可愛い横顔に ご飯粒がついていた 顎の突端に 申し訳なさそうにひっそりと でもちゃんとそこにある現実を 君は知ってか知らずか 薔薇のように微笑みかける 今目を逸らしたのは 決してご飯粒のせいなんかじゃない 君の瞳の中の星が激しく瞬いて 僕の目を潰したんだ つぶ…つぶ… ああごはんつぶ

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

帰宅すると妻が泣いていた。テーブルの上に片方だけのピアスが置いてある。 「今日ねお掃除してたの、そしたらね洗面所の角っこからこれが出てきたの」 最後はしゃくり上げていた。 それは去年の妻の誕生日に僕が贈ったものだった。 「君が好きだよ」 僕は君を抱きしめる。 君の頭の霧が晴れますように

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

あああああああ 食べてしまった。三日三晩、三日三晩我慢したのに。 悲しくて部屋でうずくまっていたら、テーブルの下にビスケットの欠片を見つけた。宝物に見えて小躍りしちゃった。 まあとにかくそれを食べた途端、私は冷蔵庫へ走りました。今までで一番早く。 死のう。 …唐揚げ食べてから #呟怖

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

隣の奥さんは俺を誘惑している。 そうでなければあのシャツのサイズ感はおかしいからだ。しかも下着を付けていない。何より仕草が無防備でいけない。 私の目の前で彼女の乳房が行き来する。そんなに主張するな。 「おい、男が勘違いするからボタンもう一つ閉めろよ」 「やだ、そんな人いないわよ」

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

あの人は何かおかしい。 初めは気のせいだと思った。少し顔が怖いだけで、いや、ちゃんと笑っているんだ、でも影が見えるんだ。僕にだけ見える影が、彼に重なる。たまにブレて僕を見る。 偶然触った手が冷たい。 ＃呟怖

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

いろいろ間違っている私達は、イライラしながら生きる。間違いたくはないなぁ。とはいえ時間は止まらない。間違ったまま進んでも、いいじゃないか。ひとにはそれぞれやり方ってもんがある。好きにやってしまえばそれが自分の中の正義になる。やらずにいるよりマシだ。そう思えるまで取り敢えず進もう。

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

君は嘘ばかり付いてる。 宝くじが当たっただとか、ペンギンを飼っただとか、子供ができただとか、明日引っ越すだとか、もうすぐ死ぬだとか、僕のことを好きだとか。 おい、冗談は顔だけにしとけよ。 まるで本当のことを言ったら死んでしまうかのように。 #呟怖

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

犬の散歩で通りかかる家に住む女性に声を掛けるようになった。竹穂垣の切れ目から後ろ姿が見えた。庭でまた火を炊いている。 何故か声を掛けずに、和服の後ろ姿を眺めた。煙が黒い、何を焚べているのだろう。横顔が笑っている。 犬が鼻を鳴らすと、振り向いた彼女の目は濡れていた。 #呟怖

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

人間は素直な生き物だ。 空を見ればきれいだと思うし、転べば痛いと感じる。 だがそれを我慢してしまう。できるようになる。 好きなことも嫌なことも何も言い出さずに、心のタンクを一杯にする。 タンクは小さいがよく伸びる。どんどん伸びて薄い膜になる。 破裂する前に一度、自分に聞いてみるといい

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

彼が私を殴る。 押さえた頬をその上から幾度も。 怖い、怖い、殺される。 でも殺してはくれない。 逃してくれない。 私の跡を幽霊みたいについてきて、蹂躙する。 それを愛だと思えばいいのね。 あなたこそ、私から逃れられない。 #呟怖

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

私の時計だけ１分が２周ぐらいしてるんじゃなかろうか。逆か。忙しいのにドアノブに引っかかって袖口のボタンが飛んだり、鞄が転がって中身をぶちまけたり、余計な仕事を挟んでしまう。焦ってエレベーターに駆け込んだのに挟まれて、いざ乗るとブザーがなる。 でもあなたが吹き出したからナシになる。

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

足を開けと言われれば従い、後ろを向けと言われれば素直に机に手を付く。 ただあなたを受け入れる。 なんだっていい。 わたしは傀儡になって、預ける。 でもこっちを見ろの命令だけはいや。 そんなことしたら最後の糸が切れて、どこかへ飛んでっちゃう。 それは許して。

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

食べちゃだめ。そう、私は食べない。決めました。 だって決めたんだもの、ご飯であろうと、パンであろうと、チキンであろうと、ポテトであろうとみんな敵。 こっちを見ないでよ。優しい声で囁かないで。 水ぐらいはいいの、死んじゃうでしょ。 ああからあげ。ラーメン。 考えててずっと寝てない #呟怖

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

依頼された庭の手入れをするのに裏門を開けると、女主人が犬と戯れていた。 咥えて来たボールを彼女が受け取ると催促して飛びつき、芝に押し倒した。 彼女はボルゾイが口や首筋を舐める度に嬌声を上げる。スカートが捲れ上がり、鼻を鳴らして開いた股の間にのしかかるそれは、長髪の青年のようだった。

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

ここはどこだろう。 なんとなく知っている街を漂う。 懐かしく胸を押さえるようなものを感じながら流され、しばらく目を閉じているといつの間にか別の場所にいる。 そこでも記憶の残像が影のように薄れるが、いつもと何か違う。 心の奥から震える塊が切なく押し寄せる。 ここは、どこなのだろう #呟怖 twitter.com/tsubukowa/stat…

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

夢の中で、自分のすべてが書かれている本を見つけた。深い碧色の背表紙の、金の箔が押してある大きい本だった。埃をかぶってはいても荘厳さを訴えかけ、表紙を繰る指が震える。 僕はその中で生き、呼吸していた。興奮を抑えつつ半分まで進んだ辺りでページが破られていた。 そんな、ここまで来て。

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

愛なんてものはない。昔はあった、たぶん。だが彼女を知って、恋とはこれだとはっきり分かった。 僕を見る目が違うんだ。すべてを委ねてくるんだ。どうしようとぼくの好き。そんなところが可愛くて。 今夜のメニューはチキンのグリルか。僕好みのトマトソース。 妻は僕のことどう思ってるんだろう

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

大勢の人々のなかで、君を見つけてしまった。 たくさんの人と出逢った中に君がいた。 夜空に広がる星空の、散りばめられた星屑の中の一等星。 君は光り輝け。 僕に眩しい道標をくれ。 そうしたら一直線に君へ辿り着けるだろう。 僕はただの星屑だけど、君の軌跡を追いかける速さを磨くよ。

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

親父が死んだ。肺がんだった。 患ってからは嗜んでいた煙草もやめ、しぼむようにして逝ってしまった。 仏壇には親父の好みの銘柄の煙草が封を切って供えてある。他の供え物を新しいものと取り替えようと襖を開けると、懐かしい親父の匂いがするんだ。 そっちで好きなだけ吸ってくれ。 #呟怖

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

わたしがうたた寝して目が覚めると、違う国にいた。 夕方になっていないといけないはずなのにまだ外は明るく、ママと呼ぶ声のする方を見ればキジトラの猫が笑っていて、自分の頭を触ると上に立った耳に触れ、ランプが紫色をしていた。 あらきれい。一番嬉しいのは、腰がまったく痛くないのよ。 #呟怖