その他第二弾。たゆさいオリジナル世界のお話「オタマとリンカの日常」より、性について

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たゆさい @tayusai

第二弾。たゆさいオリジナル世界のお話「オタマとリンカの日常」より、性について

2018-10-11 01:13:57
たゆさい @tayusai

ある時、オタマと弟子リンカの二人は、ロードノル共和国の首都、「カンザージ」にて買い物をし、少し休憩とカフェに立ち寄っていた。リンカは何やら色々と複雑なトッピングを施したカフェラテとトースト、オタマは無糖の紅茶を頼んだ。

2018-10-11 01:19:55
たゆさい @tayusai

「師匠。折角のカフェなんですからもっと色々トッピングしましょうよぉ。わたしはよく友達と行く時はみんなこだわるんですよこういうの」リンカがオタマのシンプルな紅茶を見ながら言う。 「うるさいわ。あたしはあんまこういう所なんつーか苦手なのよ。酒の方がいい~」オタマは紅茶をちびる。

2018-10-11 01:23:42
たゆさい @tayusai

「師匠、まだ昼間ですよ。それに師匠が車運転するんでしょ。飲酒運転はダメですよ」「んなこた勿論わかってるわ。でもなんかこの空気はあんま性に合わんだよなぁ」オタマは渋い表情をしつつ店内を見渡すと、一人のスーツ姿の青年がある種の好奇の表情で自分を見ているのに気付いた。

2018-10-11 01:27:01
たゆさい @tayusai

「……」再び紅茶をちびりながらある一点を見始めたオタマの姿を見てリンカは不思議に思った。「師匠、どうしたんです?」「……ちょっと面白い奴がいるね。ありゃルートに対する”ああいう”のを望む眼だな。こっち来るかな?」「はぁ…?」?を浮かべるリンカをよそにオタマは舌なめずりした。

2018-10-11 01:29:57
たゆさい @tayusai

ルート族特有の先端が2つに割れた長い蛇舌をオタマは更にぺろぺろとしだした。「ちょっと師匠恥ずかしいです。何してるんですか急に?」突然のオタマの奇行にリンカが戸惑っているとその青年が我慢できないという顔でオタマに近づいてきた。

2018-10-11 01:32:39
たゆさい @tayusai

「あ、ああ、あの……あぅ、あ、あ」青年はどきまきとした顔で言葉を詰まらせる。リンカはその男から得体の知れない君の悪さを感じたがオタマはどうやら逆に楽しんでいるようだ。「どうした君ぃ?ひょっとして、”やりたい”?」オタマは舌を伸ばした。舌は1m近く伸びて青年の手を舐めた。

2018-10-11 01:35:12
たゆさい @tayusai

「あ、あ、はい……」青年は赤い顔をして答えた。下の部分が膨れ上がっているのが確認できた。それをオタマは確認すると、「よし、じゃあ誓約書を書いてもらおうか」唐突に普段書類とにらめっこしている時と同じ事務的な表情になり、鞄から細かく文字が書かれた紙を取り出した。

2018-10-11 01:51:19
たゆさい @tayusai

「は?」青年は良くわからないという顔をした。「いやね、フェミニズムだの性犯罪の助長だのといって、最近はこういうルートの嗜みにも強い向かい風があるのよ。だから予め君があたしとヤる事でそういう、”社会的に好ましく無い思想”を抱く事が無いという意思を表明してくれないとダメなわけ」

2018-10-11 01:55:31
たゆさい @tayusai

「いや、別にそんな」「口約束では何の意味も無い。ちゃんと形に残すものじゃないとね。まあ細々書いてあるけどそんな難しい事じゃないから。さ、誓約一つ一つしっかりお互いに同意してね」そう言ってオタマは青年にペンを渡した。リンカは茫然とそれを見ている。

2018-10-11 01:58:01
たゆさい @tayusai

「1、この行為によって社会的に不適当な思想、信条を持たない事。2、この行為によって女性に対して積極的な性衝動を持たない事。その3……」色々な内容が書かれた誓約書にチェックを入れる青年。オタマも似たような紙を取り出して何か書いている。

2018-10-11 02:06:18
たゆさい @tayusai

この奇妙な儀式的様相をリンカは黙って見ることしかできない。「……よし書けた。じゃあホテルだ」オタマはスマホを取り出して調べる。「お、なんだこのモールの中にちっこいけど出来る場所があるね。リンカ、ここでちょっと待っててよ」「あっはい」オタマは青年の手を取りてくてくと歩き出した。

2018-10-11 02:08:34
たゆさい @tayusai

それからわずか20分ほどでオタマは帰ってきた。青年はいない。「あ、あの、師匠……」リンカはおずおずと聞いた。「終わった、んですか?」「ああ終わったよ。アイツあんま経験無かったんだろうな。気絶しやがった」オタマは不満げに紅茶をがぶがぶと飲んだ。

2018-10-11 02:10:43
たゆさい @tayusai

「はぁ~」紅茶を飲み干してオタマを大きく息を吐いた。「リンカ、お前が考えてる事は大体わかるぞ。すまんけどこれがルート族ってやつだ。ルートの本能だよ」「あ、まぁそのわたしは別に何かこれがいけないとかそういう風には思ってないんですけど、ええと、大丈夫なんですか?」

2018-10-11 02:15:51
たゆさい @tayusai

「何が?」「その、明らかに不純異性交遊じゃないですか。いいんですか?」「他の人種ならダメだろうね。でも特別にルートはOkなのよ。だってそういう性質だもん。」

2018-10-11 02:21:16
たゆさい @tayusai

「これはちゃんと認められた権利としてイアスヤット教団の特別法にもあるぞ。それにルートと他人種のセックスなら孕む事も無いし何か病気になる事も無い。」「そ、そうですけど……」「まあそんな理屈でフェミニストが納得するとも思えんからな、その為に誓約書もあるのよ」

2018-10-11 02:26:25
たゆさい @tayusai

「いやそうじゃなくて、その、師匠良く言ってるじゃ無いですか。『己を律し、己の欲望に飲まれるなって。これは飲まれてるんじゃないですか?」「ふむ」オタマは腕組みしてリンカの疑問を聞いた。そして師匠らしい泰然とした雰囲気を以ってそれに答えた。

2018-10-11 02:33:05
たゆさい @tayusai

「リンカ。欲望に飲まれるというのは、その欲望に対して押さえが効かなくなる。歯止めが無くなるという事を指す。酒も煙草もクスリもセックスもガチャも、我慢を超えてやろうとしてしまうと、大体ロクでも無い結末を産むんだ。」

2018-10-11 02:36:51
たゆさい @tayusai

「だからと言ってすぐ規制だの禁止だのするのもダメだ。欲望の全否定は生命の否定にも繋がりかねないし、抑えられた欲望が結局負の感情を作ることにもなるかもしれん。己を律するというのは、これらへの欲望をコントロールし、ほどほどに”嗜む”という事でもあるんだよ」オタマは笑って言った。

2018-10-11 02:40:33
たゆさい @tayusai

「そういう物でしょうか?」「ま、そこんところは学者等が色々頭捏ねくり回してるんだろうけど、少なくともあたしはそう思う。本質とは上手く付き合わないとって事よ。でないとあたしのお兄ちゃんみたいに頭こじらせる事になるぞ」「…は、はい、わかりました」リンカは少し納得できたようだった。

2018-10-11 02:44:48
たゆさい @tayusai

第二弾。たゆさいオリジナル世界のお話「オタマとリンカの日常」より、性について おわり

2018-10-11 02:45:35