呟怖と散文　２

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

そいつは笑いながら近づいてきていきなり、お前の人生は終わりだと言った。 そんなばかな。 まだ何もしてないよ。 生まれてきたことを感謝することも、人を愛するということも、死ぬということを考えることすら。 「そんなもんだよ」 そうだよな、逃げていればあっという間に終わりに辿り着はずだ。

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これが月だよ、父は言った。 さっきは地球の勉強をした。 僕らは人間に着替えて、これから地球に旅行する。 #おやすみ名前の知らない人たち pic.twitter.com/mq7wUDhLVL

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このままじゃやられる、急いで防御の体制に入る。 逃げ込んだテーブルの隙間からスリッパの砲弾が鋭く撃ち込まれる。危ない、すんでのところで避けたがもう後がない。出口のドアは手の届く位置にあるかのように見えた。タイミングを見て手を伸ばすと腕組みした母が立っていた。 「牛乳買ってこいや！」

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何もしなければ平行線だった。ずっと近い、二本並んだ線。付かず離れすぎず心地いい距離。 でも僕は言ってしまった。 混じり合いたい一心で衝いて出たその言葉は宙に浮き、灰色になって平行線を隔てる。 間違えてしまったんだろうか。 君をそんな顔にするはずじゃなかったのに。

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沈黙が訪れると、彼がきつく見つめてきてこれはきっとキスだな、顔を近づけてきた。 おずおずと触れてくる唇にやきもきしながら、彼の優しい手を待った。 彼が胸を弄り始めると、いきなり私の両太腿が掴まれ開かれ、そのまま下着をずらされた。 彼に乳房を吸われながら、見えない誰かが私を貫く。

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流した涙の数だけ強くなれるって本当だろうか。 それならわたしは最強の戦士だ。 あの人がわたしの物にはならないって実感するたび、何度一人で泣いただろう。 それでも明日、普段通りに笑えるように、とっ散らかった気持ちを片付けてあなたに会う。 こうしてかさぶたが厚くなっていけば、強くもなるか

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白雪姫って言ったよな。 一体いつ帰るんだ？ 王子が来なきゃ駄目なんだとさ。 ていうかまず、毒りんごにあたらなきゃ。 すっかり消化しちまったぞ。 こんなに薹が立ったら、来るもんもこねーわ。 おい、首のまま喋るなよきもい。 #おやすみ名前の知らない人たち pic.twitter.com/mhNgyTZ7GQ

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鏡よ鏡よ鏡さん。 ぼくって美しいよね、わかるよ。 「バカヤローてめーなんか美しいわけねーだろっ。鏡を見て物を言えよ」 #おやすみ名前の知らない人たち pic.twitter.com/HUBIm5SLzA

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少女は魔女だったが不満だった。 輝く赤毛に黒い服、ひいひいお祖母様からのお下がりの由緒ある杖、これに毎日キスをしぴかぴかに磨いていた、なのにそばかすがない。３人の姉にも、まだおしめの弟にもあるのに。そう言えばわたし魔法が下手かも。わたしの父は王様かも知れないと耽りながら鼻をほじる

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いわゆる幽霊と言うものが本当にいるなどこの目にするまで信じていなかった。 部屋の一画に佇みこちらを見ている。マグカップにコーヒーの残りを注いでテーブルの隅に置いてやった。それは滑るように近づいてきてコーヒーの前で止まった。そして左右に揺れてから消えた。 結局なんだったのか。 #呟怖

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困ったな。今日び幽霊の怖さもハードルが上がっている。昨今の怪談フィーバーのせいだ。轢き逃げされた女幽霊は欠けた頭を抱えた。入水自殺した男幽霊はぶよぶよの足を組み直した。一人が言った「そうだ、300㌔ババァが腐った赤子を食いながら走るってのはどうだ」 こうして幽霊たちの夜は更ける #呟怖

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とんとんとん、そっと２階の窓をたたく。返事を待って耳を澄ます。とんとんとん。「誰だよ」窓が開くのをわくわくして待つ。「幽霊とかふざけんなよ！」バンと内側から窓をたたかれてビクッとなる。「開けるわけねーじゃねーか、バカ」その言葉を残し、なんの物音もしなくなってしまった。ちぇっ #呟怖

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車が横転している。深夜のバイパス道路、誰も通らない。車を降りて様子を見に行く。誰か死んだだろう。中央分離帯に激突したときは物凄い衝撃音だったが今はそれが夢だったかのようにあたりは静まり返っている。車外に女の手が転がっていた。それを拾い上げて車に戻る。遠くでサイレンが聞こえる #呟怖

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あの神社に行ってからだ。唇の色が濃くなった気がする。絡みつく視線を感じ背すじに嫌悪が走る。知らない男に手を掴まれ、暗がりに引っ張り込まれ羽交い締めにされることもある。ようやく逃げ出すと、追いかけてきた男たちはみな車に跳ね飛ばされる。わたしのせいじゃない。あそこへ行ってから。 #呟怖

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校庭の花壇の端に座っていると女の子が隣に来た。知らない子だったけど昨日のテレビのことや最近のネット動画のことなんかを話した。女の子はポケットから飴を出した。これ食べたことある？いや。包みを破って僕の口に押し込んだ。おいしいかと聞きながら僕の口の中に柔らかくて濡れた舌を入れてきた。

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フォルダに画像が貯まりすぎて整理しようと開いてみた。なんでこんなのがと当時の自分を不思議に思いつつ、いらないものを削除していく。一つの画像を前に手が止まった。そこには懐かしく、かつての恋人のはにかんだ笑顔があった。こんな顔して笑ってたっけな。いやだ、と妻が後ろから肩をたたいた。

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あの子とはこっくりさんしないほうがいいよって誰かが言ったからなんでか聞くと、あの子とやると絶対来ないんだって。それならいいじゃんと誘ってみた。乗り気じゃないみたいだけどやることになった。こっくりさん、ここにいますか？その子は動こうとする十円玉を指でぐっと押さえつけていた。 #呟怖

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警官が訪ねて来た。近頃屋外の物が何者かに盗まれる被害が出てるらしい。警官は制帽で目元が見えない。堅く喋る口元がクローズアップされて映る。きっちり閉じられたボタンを開けて、なめらかに隆起した胸を確かめたい。ずれた帽子から冷ややかに覗く視線が欲しい。警官は洗濯物の干し場所を私に聞いた

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大人になると泣きたいときに泣けなくて、泣きたくないときに涙が出る。 例えば親の死。大声で泣きわめきたいのに、感情や行動が忙しすぎて素直に悲しめない。 例えば子供の巣立ち。笑っていってらっしゃいを言わなきゃならないのに涙があふれる。 本当は大人だって心のままに泣きたい。

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風はただ髪を乱すもので、陽の光は夜の闇がやってくるまで視界を照らすものだ。それ以外の何かなど微塵も思ったことはない。ましてやそれについて考えるなど、己がなぜここいいるのかと問うのと同じでなんの意味もなかった。しかしあの幼い笑い声が過ぎ去ったあとの夕闇は肌を少し冷たく包む。　 #呟怖

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好きな人に勝ちたい。参りましたと額を床にこすりつけさせたい。でも焦がれているのはわたしの方だ。ひれ伏しているのはわたしの方だ。悔しいけど認めるしかない。ああ、天地がひっくり返らないかなぁ。 #アトリエ部 #140字小説 降参

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今まで味わったことがないくらいの快感が全身を走り抜ける。ただあなたに首筋を啄まれただけで、奥が震える。これが求めていた感覚。あなたの耳を噛みながら高まりが途切れない。どんな男とも違うのは何故なんだろう。もっと欲しいのに体が耐えられない。何かが溢れてくる #官能工房 好きな男

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人と話すのが苦手だった。質問に答えるので精一杯で二の句が継げない。思わぬ方向に話が転がることにも対処に困り、押し黙ってしまう。「久しぶりだね」夏休み明けの登校で掛けられた声に挨拶のみで答える。掠れた微妙な声に目を丸くしてから破顔する「成長期だ」この声を聞かせたのは君が最初だ。

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父の葬儀が終わったテンションで言った母の一言があまりにも衝撃だった。父の死が薄れるほどのショックを私に与えた。会場に来ていた誰かわからない中年の女性。パパあの女と浮気してたのよ、と。コップ酒を煽る母がこの上なく下種な女に見えた。後れ毛を耳に掛ける指が少し震えていた。

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わたしの涙をあなたは飲んでしまうの ごくごくと喉を鳴らして 喉仏が生き物みたいで 思わず唾を飲み込んだ ねえ わたしはなにを飲んだらいい？ どこを飲んでほしいの？ 言ってみて #官能工房 悪戯な質問