『とある飛空士』シリーズを読んでみて感じたこと

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uroak_miku @Uroak_Miku

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫) 犬村 小六 amazon.co.jp/dp/4094510524/ ラノベ史上屈指の泣ける名作ということだけど、これもし私の手でアニメ化するとしたら…と考えていくと、弱点がいくつも浮かび上がってくる。

2018-10-15 10:47:13
uroak_miku @Uroak_Miku

次期国王である皇子が、国家と皇室の威信をかけて己の許嫁を、海外領土から本国に奪還すべく艦隊を派遣して、そして大洋のど真ん中で全滅するわけですが、敵国にすればこんな大戦果をプロパガンダに使わないはずがない。ラジオ放送を使って「貴様らの艦隊は我々が殲滅した!」と戦意喪失攻勢をかける

2018-10-15 10:50:43
uroak_miku @Uroak_Miku

と思うのだけど、そういう描写がないんですよ。レーダーが実戦投入されている文明水準ならば、ラジオ放送だって普及していると思う。中波だと相手の国まで電波が届かない?大洋のど真ん中にある群島まで敵国は勢力圏に収めているようだから、飛行軍艦で空から放送電波をがんがん送るのはどうか。

2018-10-15 10:54:07
uroak_miku @Uroak_Miku

1万2千キロの大洋を、姫様を乗せて単機でのりこえる…男の子のロマン。姫様は天文観測による位置確認技術を有さないということで、夜間飛行ができない、ゆえに昼間に有視界航行で行けという設定…あのーそれでしたらもう一機、ペアを飛ばしてそちらに天文観測させれば夜間飛行できるのでは。

2018-10-15 10:57:15
uroak_miku @Uroak_Miku

大洋を分断するかのように、段差千メートルを超える超巨大瀑布が海を遮断しているという設定はやはり男の子のロマンをくすぐるのでしょうけど、これって結局『ラピュタ』的な世界を成り立たせるための作者の神の手なんですよね。海上軍艦では大洋を渡れないから飛行軍艦が発達した、とこじつける技。

2018-10-15 10:59:36
uroak_miku @Uroak_Miku

アニメ版から。こういうよくわかんないものがぎょうさんでてくる。 こういうの見ると、私の場合「ああもう結構、おなかいっぱい、いらないいらない」になってしまう。 pic.twitter.com/BB3rsmxief

2018-10-15 11:03:44
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uroak_miku @Uroak_Miku

飛行船ならまだ「ああひこうせんだねーひこうせんの軍艦かい、おもしろいねー」と思えるのだけど、これ、どうみても鉄の船ですよね。「なんで軍艦が空に浮いてんねん」で思考停止してしまう。 pic.twitter.com/gmf9Ur2qDs

2018-10-15 11:07:56
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uroak_miku @Uroak_Miku

その一方で、昔のプロペラの戦闘機が出てくるし…「これはこういう世界なんや」と受け入れられるひとはいいのだろうけれど、私を含めて大半の庶民は「ついていけまへん」ではないでしょうか。 pic.twitter.com/CC7H6NzoSC

2018-10-15 11:12:34
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uroak_miku @Uroak_Miku

「それセントウキやないテイサツキや」とつっこみたくなる方の気持ちはよーくわかります。しかしこの方面にあまり関心がないこの世のほとんどの人間(とりわけ女性)にとっては、そんな細かな差異なんていちいちフォローできない。

2018-10-15 11:14:17
uroak_miku @Uroak_Miku

飛行軍艦という設定で、庶民がついてこられるギリギリは、このへんかな。 pic.twitter.com/Hq8bSjItq5

2018-10-15 11:16:16
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uroak_miku @Uroak_Miku

私がアニメ版の監督なら、原作にあるような空飛ぶ戦艦とか空飛ぶ巡洋艦とか空飛ぶ空母とかは外して、実際の私たちの世界にある(あった)ような航空母艦とかを出して、それといっしょにこういう某風の谷アニメに出てくるようなでっかい航空機を「航空戦艦」とか名付けて登場させるところですが。

2018-10-15 11:19:07
uroak_miku @Uroak_Miku

「海上空母」といっしょに「航空戦艦」が併用されている世界…これなら大衆を引かせずに、この物語世界に引き込めると思う。

2018-10-15 11:20:16
uroak_miku @Uroak_Miku

原作小説の欠陥はほかにもある。主人公である天才パイロットくんが、空で戦う理由が「死んでいった仲間のため」というのはわかるんですよ。姫様移送作戦で囮になってくれた戦友たちのことを思うと、自分ひとり、賞金で悠々と暮らすなんてできるか!と。これは感情移入できる。

2018-10-15 11:22:37
uroak_miku @Uroak_Miku

しかし姫様はどうだろう。自分が生きて大洋を渡りきれたのは、天才パイロットくんの決死の努力のおかげだと明言してはいるけれど、この作戦遂行のために命と引き換えに囮になってくれたほかの飛行士(この物語世界では「飛空士」か)、それに自分を殺すために追ってきて逆に撃沈された敵国軍艦の

2018-10-15 11:25:25
uroak_miku @Uroak_Miku

乗員たちのことは考えないのかな。私が彼女なら「自分ひとりのために、敵も味方もなくこんなに犠牲が出てしまっている」事実に恐れおののくと思う。そして、この恐るべき事実を乗り越える唯一の手段として、自分が次期王妃として権力を握って一日も早く休戦にこぎつけようと覚悟を決める――

2018-10-15 11:27:44
uroak_miku @Uroak_Miku

こんな風に思考するはずですが、原作小説にもそのあたりの描写がないのですね。 もはや『ラピュタ』でも『ローマの休日』でもない、もっと奥深いテーマに突入しているのに、作者さんがそこまで踏み込まないまま物語をロマンチックに締めくくってしまったわけです。

2018-10-15 11:29:18
uroak_miku @Uroak_Miku

この『飛空士』シリーズ、地元図書館に全巻あったので『恋歌』と『夜想曲』をすべて読んでみたのですが、なんかこう、今私が挙げた点を、恋と空戦(=メカとアクションと美少女)の生理的快感にすり替えてしまっているといわざるをえないのです。

2018-10-15 11:31:20
uroak_miku @Uroak_Miku

Survivor's guilt(生き残ってしまったことへの後ろめたさ)という息苦しいテーマが、『飛空士』シリーズでは巧みに青春群像劇にすり替わっている。

2018-10-15 11:36:05
uroak_miku @Uroak_Miku

光人社NF文庫(太平洋戦争の実録ものが売り)あたりをナウシカやガンダムが開拓した異世界戦争群像劇に換骨奪胎して、生臭いものは外してラノベに昇華しているのです。

2018-10-15 11:38:50
uroak_miku @Uroak_Miku

読んでいるぶんには楽しいしわくわくするけれど、読み終わってから次第に怖さがわきあがってくるのは私だけでしょうか。

2018-10-15 11:39:42

まとめ 『とある飛空士への追憶』を改めてアニメ化するならば https://togetter.com/li/1276918 これの続き 3093 pv 7