どうしたら、日本が未知に挑む宇宙探査を継続的に実施できる国にするか

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松浦晋也 @ShinyaMatsuura

先週の取材の時、1994年にNASDA/ISASが共同の月探査計画の検討を開始した時、それぞれの組織を誰がリードしたかを知った。五代富文NASDA副理事長と、松尾弘毅教授。両組織のロケット屋大立者、つまり工学系の2人が、理学探査であるはずの月探査立ち上げで協力していた。

2009-11-30 11:11:32
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

「さきがけ」「すいせい」は、ロケット工学者の、秋葉鐐二郎教授の「ハレー彗星をやろう」の一言で始まった。

2009-11-30 11:12:36
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

「はやぶさ」は、上杉邦憲、川口淳一郎というISAS宇宙工学系2代が中心となった、工学試験機である。

2009-11-30 11:14:12
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

「のぞみ」のみが、プラズマ・磁気圏を研究する鶴田浩一郎教授が中心となった理学系探査機であった。が、トラブル時の超絶的な粘りには川口教授の軌道設計が大きくものいっている。

2009-11-30 11:15:37
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

ここまで、工学系優位だったわけだが、金星探査機「あかつき」のプロマネは中村正人教授、惑星大気系で理学系。

2009-11-30 11:20:43
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

欧州との共同の水星探査機「ベピ・コロンボ」は、プロマネが山川宏助教授(工学系)から、山川氏の京大教授就任に伴って、プラズマ・磁気圏系の早川基教授に交代している。

2009-11-30 11:22:34
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

つまり日本において最先端の探査は工学系が主導してきたのではないかということ。工学が切り開いた道の後に、観測を行う理学系が続いている。

2009-11-30 11:23:30
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

今のところ気が付いているのはここまで。ここからさらに考察を進めねばならない。が、なんとなくだが、サイエンスではなくエンジニアリングこそが、未知に挑む力であったことは見えてきている。

2009-11-30 11:24:51
林 譲治 @J_kaliy

@ShinyaMatsuura ミッションの成功失敗に工学系と理学系の意思の疎通がどれだけとられていたか?という要素も大きいのではないかと思うのですが、どうなんでしょう。もっともこれは分析にすくなからず主観が左右する要素ですが。

2009-11-30 11:29:47
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

@ShinyaMatsuura かつて、天文学者が自分でレンズを磨いて望遠鏡を作ったり、植物学者や地質学者が自ら探検家だった時代があったことを思い起こしました。科学が高度になると、「考察する人」と「観測する人」を分業しないと抱えきれなくなるのか・・・

2009-11-30 11:33:05
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

あ、学者が探検家でもあるのは、現代でも同じか。怒られそうだな。

2009-11-30 11:34:01
今村勇輔 @yimamura

@ShinyaMatsuura 理学系は宇宙へ上がった観測機器がちゃんと動作して初めて成果を手にできるので、工学系より慎重になるのは普通のことと思えます。そういう話ではないのかしら

2009-11-30 11:34:08
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

@J_kaliy @yimamura @ohnuki_tsuyoshi うーん、「日本の理学系は探査なんて危ないことしなくても論文が書ける環境を整えているから、探査へのモチベーションが低い。一方宇宙工学は宇宙で世界初をしなくては論文が書けないから探査に熱心」という人もいます。

2009-11-30 11:44:24
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

そのとらえ方にも違和感があるのですが…考え込んでいます。

2009-11-30 11:45:09
林 譲治 @J_kaliy

@ShinyaMatsuura 茫洋とした話ですが、理学系の人たちの観測機器に対する工学的センスはどの辺で訓練されるんでしょう。プロジェクトを進める上で学んでゆくのか。素人ながら「良い観測機器なしに良い論文無し」と理学の人も考えているのではないかと思うのですが。

2009-11-30 11:50:13
isana @lizard_isana

@ShinyaMatsuura チャレンジングなミッションは工学系の人にとっては研究者人生を賭けるに値する対象ですが、理学系の人にとってはモチベーションになりにくい気がしますね。むしろ、手元にある機材で目標となる天体にどこまで迫れるか、を考えるほうが先になるのでは?

2009-11-30 11:51:49
En Ugata (鵜方 円) @enugata

@ShinyaMatsuura ニーズ駆動ではなくシーズ駆動なんでしょうか。潜在的ニーズを引き出しているんだとしたら優れた工学者だと思いますが。

2009-11-30 11:52:46
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

@ShinyaMatsuura これは、望遠鏡主体の観測が充実しているから、わざわざ探査機を送り込まなくていいということでしょうか?うーん、「短期間で確実に成果が上がりやすいことを好む」って、ゆとり教育とか成果主義とか、いろいろ考えちゃいます・・・

2009-11-30 11:54:02
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

@J_kaliy 自分の観測機器に関しては実際に衛星搭載機器に関わっていく中で工学的センスを身につけていくみたいです。一方で、そういう訓練を経ずに計画に参加する人もいて、そういう人の無茶な要求をどうさばくかが、かなり大変だと聞いています。うまくかみ合うと長足の進歩となるのですが。

2009-11-30 11:54:03
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

@ohnuki_tsuyoshi これ、野尻さんと議論したときの問題意識の一つです。>「短期間で確実に成果が上がりやすいことを好む」  精密科学ってこれなんですよ。沢山抱えた大学院生に割り振りをしやすく、論文を書かせやすい、そんなテーマ。

2009-11-30 11:56:23
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

@lizard_isana その意識は確実にあります。 RT @lizard_isana チャレンジングなミッションは工学系の人にとっては研究者人生を賭けるに値する対象ですが、理学系の人にとってはモチベーションになりにくい気がしますね。…

2009-11-30 11:57:42
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

@enugata うん、実は宇宙探査って、少なくとも日本において工学先行のシーズ駆動ではないか、と思いつつあるのです。

2009-11-30 11:58:45
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

@ShinyaMatsuura そうか、大学院生に論文を書かせようとしたら、あまり長くかかるテーマはできないんだ。工学側は開発過程でも論文が書けるけど、理学側は難しいですね。こういう観測のためにセンサー作りました、じゃあ工学論文になっちゃう。

2009-11-30 11:58:48
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

@ShinyaMatsuura アポロのように、工学でも理学でもなく、ナショナルデマンドでぐいぐいやらせちゃって、技術者も研究者も乗っかっちゃうのが一番楽なのかも・・・何を楽と考えるかにもよりますけど。

2009-11-30 12:00:41
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

とすると、ニース志向を打ち出した宇宙基本法の体制下において、せっかくここまで育ててきた宇宙探査が潰されちゃうのでは、という懸念もあるわけです。

2009-11-30 11:59:33
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