スカイリムのお話 「オタマ対リサ」第一話

火野リサさんが公開しているフォロワー「リサ」ちゃんとオタマのコラボエピソードです。スカイリムのSSはありません。
0
たゆさい @tayusai

スカイリムのお話 「オタマ対リサ」第一話

2018-10-16 22:51:13
たゆさい @tayusai

スカイリム北東部に位置する反乱軍『ストームクローク』の本拠地、『ウィンドヘルム』。その要塞の内部にある宿屋『キャンドルハースホール』の2階にある、宿の名の由来になった消えぬ蝋燭の目の前の椅子に、一人の小柄な女が座りながら本を読んでいる。1

2018-10-16 22:54:36
たゆさい @tayusai

その女の髪は緑色で長さは胸に達する程か。瞳は緋色をしているが、吸血鬼の様な禍々しさは感じない。服はこの寒い地域には全く不似合いなほど肌の面積が広い。一応椅子の後ろには防寒用らしいマントを掛けている。そして横にはつばが異様に広く、頭がとんがった帽子が置いてある。2

2018-10-16 22:59:20
たゆさい @tayusai

その女--名前は「オタマ」だ--は椅子の隣にあるテーブルに置かれたワインが注がれたジョッキを手に持ち、ぐいっと呷りながら、「竜戦争の真実--とある女英雄の物語--」と題名が書かれた本を目を細くして読み進めた。本の挿絵には黒い邪竜と戦う赤髪の女の姿が描かれている。3

2018-10-16 23:04:46
たゆさい @tayusai

「……ここにいるって話だがなぁ」オタマは独りごちた。そして本を畳むと、マントを羽織り帽子を被って、階段を降り、すぐ下にあるカウンターで相変わらず不機嫌な顔をする女店主エルダの目の前に金を置いた。4

2018-10-16 23:09:00
たゆさい @tayusai

精算ついでにオタマはエルダに聞いた。「さて店主さん。御代はここに置いとくよ。ところで、ここには赤い髪の女がいる筈だけど?」「ああ、”リサ”ねぇ。あの子はいつもどこかに行くから。私でも分からないよ」エルダは冷たく答えた。5

2018-10-16 23:12:47
たゆさい @tayusai

「じゃあそのリサの部屋を見てもいいか?」オタマは要求した。「ああ好きに見ていいよ。あの子特に盗まれそうなものを持ってるとも思えんしね」あっさりとエルダがそう答えた時である!バガンッという扉が蹴飛ばされる音と共に剣、斧を持った山賊達が宿屋に殴りこんできた!6

2018-10-16 23:17:24
たゆさい @tayusai

「おいッ!ここに赤い髪した女がおらんかぁおぅ!?隠してっと殺すぞ」山賊の一人はエルダに向かって剣先を向けて脅した。「な、なんだいあんた達!?」「おう、この間よぉ、俺の部下が赤い髪の女にケンカ売られたんで、それ買ってやったらぼこぼこにされたらしいんでなぁ。これはその仕返しよ」7

2018-10-16 23:21:19
たゆさい @tayusai

「なんだって!?」「山賊が女一人にのされたとあっちゃ面目丸つぶれよ。だからアイツが働いてるらしいこの宿屋をぶっ壊してやろうってわけよ。いいか店主さぁん?剣ってのはぁ、喉に刺すとなぁ、死ぬんだぞぉガハハハッ!」山賊が下卑た笑いをする。数人の仲間も大笑いする。8

2018-10-16 23:24:00
たゆさい @tayusai

「おいあんた等」この騒ぎを黙って聞いてたオタマだったが呆れた表情をしながら山賊の前に立った。「ああんなんだぁガキ? ママの乳でも吸いたいんか。それとも俺の”棒”か?げへへ」オタマの身長は実際低く、体つきも細いため、山賊が子供と勘違いしたのも無理は無い。9

2018-10-16 23:26:57
たゆさい @tayusai

「やかましいわ。それより、こんな下らん事で宿屋に迷惑を掛けるのはやめな」オタマは両手を腰に当て、胸をふんっと上げて山賊をにらんだ。「は、このガキやる気らしいぜ。ひゃははは」山賊が笑ったその時だった。「ふんッ!」オタマは一瞬で格闘姿勢になり、その山賊の腹に正拳突きを食らわせた。10

2018-10-16 23:31:22
たゆさい @tayusai

「べやっ」山賊は吹っ飛び、背後にあった石造りの壁に激突した。山賊は何が起こったかもわからず気を失った。「あ?」「い?」「う?」「え?」他の山賊も目の前で何が起きたのか理解できず頭から?を出している。その隙にオタマはこの山賊達全員に高速で攻撃を開始した!11

2018-10-16 23:34:33
たゆさい @tayusai

「はッ!」まず一人目の頬をオタマは軽く跳躍しながらのパンチで殴りつけた。その山賊は衝撃で床に叩きつけられ気絶した。「へやッ!」二人目のわき腹をオタマは左脚の脛で蹴った。山賊は身体を横にくの字にして飛び、壁に激突して気絶した。12

2018-10-16 23:38:51
たゆさい @tayusai

「らぁッ!」オタマ左脚の蹴りで得た勢いをそのままに身体を一回転させて左手に拳骨を作る。そして左拳を前に突き出し、勢いを乗せて大きく踏み込んだ。拳は四人目の山賊の腹にめり込んだ。「ぼどわっ」山賊は白眼を剥いて倒れた。13

2018-10-16 23:43:52
たゆさい @tayusai

これら全て一瞬の出来事である。周囲の客もエルダも唖然としてこの一部始終を見るだけであった。「ふん、全く人の迷惑も省みない奴等だ。まあこんな見た目なら”ガキ”なあたしに一瞬で全滅したとあっちゃこいつらの面子はもうおしまいだな」オタマは吐き捨てるように言った。14

2018-10-16 23:46:12
たゆさい @tayusai

「さて、店主さん。この山賊どもを外に捨てるのはあたしがやりますんで、そのリサって人の部屋覗かせてもらいますよ」「は、はい……部屋はあっちです……」エルダは口をあんぐり開けたまま部屋の方を指差した。オタマはその部屋にためらい無く入っていった。15

2018-10-16 23:52:20
たゆさい @tayusai

「ふうん。デカい剣。これが『ザークリドゥドヴァーキン』か」リサの部屋には巨大な剣があった。その剣は異常に重たいらしく床が抜けており床下の地面に置かれている状態である。オタマは床下に入り込み、剣を持とうとしたが素の力ではびくともしない。16

2018-10-16 23:56:28
たゆさい @tayusai

仕方無いのでオタマはわずかに魔力を込めて持った。剣は重力を無くしたかの様に軽々と持ち上がった。「ふうむ。やはりソウルの残滓はまだ残ってるな。よし」オタマは右掌を広げた。掌からは緋色の魔力が溢れ出し、それは幾何学的な形状へと変化した。「【探】」オタマそう唱え掌を剣に当てた。17

2018-10-17 00:01:37
たゆさい @tayusai

剣から少しずつ光が現れ、それはオタマの掌に集まっていった。掌を剣から離し、オタマは舌を出した。舌は蛇の様に先が二つに割れており、異様に長く伸びる。その舌でオタマは掌に浮かぶ幾何学模様を舐めた。「……よおし場所が分かったぞ。ケケケ」オタマは笑いながら剣を細腕で軽々と持ち上げた。18

2018-10-17 00:07:53
たゆさい @tayusai

ここでお知らせ。13番目に登場する山賊は「三人目」です。うっかり「四人目」と書いてしまいました。お詫びして訂正します。

2018-10-17 00:09:24