ジャーナリスト烏賀陽弘道さん、安田純平さんの自己責任論について考える上で「民主主義制度下の国民の(市民)の自由」の本質についての知識への理解は必須。

「民主主義制度下の国民・市民の自由」の根本的な本質は A 国民はリスクの多寡にかかわらず、職業であるなしに、行動を決める自由がある。原則イエスである。 B この自由は政府によって与えられたものではない。人間がもともと生まれついて自然に持っている。 続きを読む
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烏賀陽 弘道 @hirougaya

1)「安田純平さんは自己責任」賛否を眺めていて、どちらにも共通している特徴として「民主主義制度下での国民(市民)の自由」の本質について、知識も理解も乏しい意見が頻出していることに気づいた。番号をふるので、一連の文章として読んでほしい。一部だけ取り出しても意味をなさない。

2018-10-26 12:03:42
烏賀陽 弘道 @hirougaya

2)「民主主義制度下の国民・市民の自由」の根本的な本質は A 国民はリスクの多寡にかかわらず、職業であるなしに、行動を決める自由がある。原則イエスである。

2018-10-26 12:04:09
烏賀陽 弘道 @hirougaya

3)B この自由は政府によって与えられたものではない。人間がもともと生まれついて自然に持っている。 C この自由を制限するなら、国民の代表が国会で議決した法律しか手段はない。 D そうした自由を前提に、政府は国民の財産と身体の安全を守る義務を負う。

2018-10-26 12:04:44
烏賀陽 弘道 @hirougaya

4) 国民はリスクの多寡にかかわらず、行動を決める自由がある。これは案外見過ごしているが、人間の日常活動で比較的リスクが高い行動をすることはありふれたことである。クルマを運転して目的地に行くのもそうだ

2018-10-26 12:05:21
烏賀陽 弘道 @hirougaya

5)。衝突事故を起こして救急車で運ばれ医療手当を受けても「なぜ歩いてまたは電車で行かなかったのか」と、自己責任を問われることはない。救急車や救急病院を維持する公的資金の執行は社会が認めている。

2018-10-26 12:05:33
烏賀陽 弘道 @hirougaya

6)自動車の運転だけではなく、タバコを吸う習慣は健康リスクの高い行為として認知されている。しかしリスクが高いことを承知で吸い続けてガンや心臓病になっても「自己責任だから」と医療保険適用を拒否されることはない。

2018-10-26 12:05:58
烏賀陽 弘道 @hirougaya

7)飲酒も「飲まない場合」に比較すると健康リスクが高まるが、それを飲み続けて糖尿病や肝臓病になった人が公的資金の執行を拒否されることはない。

2018-10-26 12:06:10
烏賀陽 弘道 @hirougaya

8)リスクが高いのに、自動車運転、タバコ、飲酒を禁じる法律はない。なぜなら「リスクが高い行為であっても、国民はそれをする自由があり、身体・財産が脅かされた場合は政府は守る義務がある」という原則が適用されるからだ。

2018-10-26 12:06:36
烏賀陽 弘道 @hirougaya

9)もしこれを拒絶するなら、国会で議決して「自動車運転禁止法」「酒タバコ禁止法」を作るしかない。もちろん、そうした法律を可決するよう運動する自由も、国民にはある。どしどしやればよい。

2018-10-26 12:07:14
烏賀陽 弘道 @hirougaya

10)映画の撮影中にスタントマンがケガをした、鳶さんが工事中に転落してケガをした、というとき「リスクの高い行為を職業として反復しているから自己責任」と救急車の使用を拒否されることはない。公的医療保険の執行を拒否されることはない。

2018-10-26 12:08:14
烏賀陽 弘道 @hirougaya

9)「危険地帯に行くようなリスクの高い職業・行為がいけない」という説も意味をなさない。「リスクの高い職業」についている人たちは大勢いる。スタントマンや鳶職がそうだ。

2018-10-26 12:08:03
烏賀陽 弘道 @hirougaya

11)つまり国民の自由には「職業としてリスクの高い行動を日常的に行う」ことも含まれている。

2018-10-26 12:08:33
烏賀陽 弘道 @hirougaya

12)百歩譲って、安田純平さんのように「職業としてリスクの高い行動を日常的に行う」ことを自己責任に帰したいのなら、それを禁じる法律を国会で議決するしかその自由を制限する正当な手段はない。

2018-10-26 12:08:51
烏賀陽 弘道 @hirougaya

13)「リスクの高い行為や職業をしている人に税金を執行すること」を拒否するなら、ハングライダー、オフロードバイク、ロッククライミングを趣味とする人がけがをしても、救急車や救助に公的機関は不要となる。実際、こうした行為は民間損害保険では支払いが免責される。

2018-10-26 12:11:02
烏賀陽 弘道 @hirougaya

14)すなわち「安田純平さんの職業的行為は自己責任の結末であって、救出や保護に公的資金を投入する必要はない」と主張するなら、鳶職やスタントマン、ハングライダーのようなリスクの高い行為を日常的に職業か否かを問わず繰り返している人にも同じ原則を適用するべしと言っていることになる。

2018-10-26 12:13:06
烏賀陽 弘道 @hirougaya

15)すると、こうした「リスクがあっても行動を決める自由が保障されている」という憲法レベルの国民の自由の内容を書き換えねばならない。これは改憲を含めた歴史的な法的転換であり、広範な国民運動が必要になるだろう。もちろん、それに挑戦されるのもその人の自由だ。

2018-10-26 12:14:41
烏賀陽 弘道 @hirougaya

16)そうした自由のあり方を書き換える問題として「安田純平さん自己責任」説はある。それが意識的に認識されているかは別として。 (とりあえずおしまい)

2018-10-26 12:15:44
烏賀陽 弘道 @hirougaya

連続した文章をひとつだけ取り出しても、意味を持たないと申しました。

2018-10-26 12:16:48