作画崩壊の実態など『忍たま乱太郎』を手がける演出家さんの「アニメができるまで」シリーズがとても興味深い

なるほど…。
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

アニメーターの独り言。絵コンテ・演出・原画。「忍たま乱太郎(21期~27期)」脚本・絵コンテ監修及び音響演出(無表記)、「REVENGER」「くまクマ熊ベアーぱーんち」「ヘルクHelck」「弱キャラ友崎くん2」絵コンテ、他未発表作品などの制作に参加中。

葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

アニメーターは一般的に「カット単価」という尺度で仕事を受けています。なので「1カット」より「2カット」の方が報酬は多く(2倍)なります。でもどう見ても、「1カット」より「2カット」の方が多くの原画枚数が必要で、大変です。これを一人で受け持てば問題ありませんが、二人で分担したら揉めます。

2018-07-01 21:43:39
葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

かつてのアニメーターは、たっぷりあるスケジュールのもと、一人で大量の仕事を抱えていました。そのため、あるアニメ1話の内容がこんな配分だったとしても、 pic.twitter.com/wRPU0wpr2g

2018-07-01 21:47:08
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

まとめて仕事を引き受けるので、 pic.twitter.com/IgL7X1ci00

2018-07-01 21:48:05
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

平均するとさほど負担ではない。 pic.twitter.com/6qGvEGtoVA

2018-07-01 21:49:05
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

ところが、近年のアニメはスケジュールが無く、1話の中でアニメーターが僅かなカットしか担当しないケースが増えています。そのため、分担して受け持つことになり、 pic.twitter.com/62GuZt7LVs

2018-07-01 21:51:42
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

負担の差が生じます。ここにも現在のアニメ制作の抱える問題が隠れています。 続く。 pic.twitter.com/OIvSz2YYmM

2018-07-01 21:53:54
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

アニメーターを最も困らせる事態、それが「レイアウト戻しの遅れ」です。レイアウトとは原画マンが仕事で最初に提出するもので、それが手許に戻ってきた時に原画マンは「原画」の仕事に取り掛かれます。ところが、そのレイアウトがなかなか戻ってこない…という事態が現場ではよく起こっています。

2018-08-16 00:47:35
葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

まずレイアウトとは何なのかを見ていきましょう。原画マンは「作打ち」後、自分の担当するカットのレイアウトを描きます。例えば、絵コンテにこんなカットがあったとします。 pic.twitter.com/PAK1BfCjoW

2018-08-16 00:52:34
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

絵コンテの絵は省略した絵なので、原画マンはキャラクター設定画に合わせて「レイアウト用紙」にこんな絵を描きます。 pic.twitter.com/7TpzEhVfuG

2018-08-16 00:56:08
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

アニメは「絵」ではありません。動くものです。なので、レイアウト段階で 動きの設計もしなければなりません。そこで必要なのが「ラフ原画」と「タイムシート」。最近のアニメ制作では ここまで完成させるのがレイアウトという仕事です。 これがラフ原画。 pic.twitter.com/e4jKk7fOyY

2018-08-16 01:01:51
葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

原画マンが最初に提出する素材一式。 これが制作を通してまずは演出の手に渡ります。 pic.twitter.com/5dNXLNQKBk

2018-08-16 01:06:08
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

演出がそのレイアウトをチェックします。見るのは①構図②芝居③撮影指示など他部署への指示表記。しかし、出来によってはすんなりとはいかず… pic.twitter.com/oEZEnf9Whx

2018-08-16 01:10:31
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

続いてレイアウトは作画監督の許へ。主に見ているのはキャラクターが描けているかどうか。問題があれば①②③にも手を入れます。しかしここでも… pic.twitter.com/UbWmyXXeiy

2018-08-16 01:13:55
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

「忍たま」だとここでチェックは終了ですが、多くの作品ではこの後、レイアウトは総作画監督の許へ。内容によっては更にメカ作監、小物作監、エフェクト作監の許へと運ばれます。

2018-08-16 01:19:13
葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

ところが、その頃総作画監督はまだ前の仕事の真っ最中だったりするのが近年のパターン。 pic.twitter.com/9FwsKiEQNY

2018-08-16 01:21:54
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

原画マンの所に全てのチェックが完了したレイアウトが戻ってきたのは締め切りの前日、なんてことも…。 pic.twitter.com/TBtnD4Kpgk

2018-08-16 01:24:30
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葉摘田緒@ @hatsumidashiyo

当然、その後の工程(動画・仕上げ・撮影)にも皺寄せが行きます。スケジュールはたっぷりあったのに結局有効に使い切れず、いつの間にか時間が経ってギリギリで完成。制作現場ではこんなことも起きているのです。 pic.twitter.com/DGRo5fDSxh

2018-08-16 01:28:57
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