- rio11ruiagent
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私は人を殺した。もう何十年も前に。 あの人が投げたコップが置き時計に当たって割れた。あの人はこの子をお腹に置いていった。私はまだ砕けた破片を拾っている。 一緒に暮らす記念に買った置き時計は壊れもせずに時を刻む。 あの日、あの人を殺した。 #呟怖 #140字小説 残滓
2018-10-27 00:59:51あなたを愛するために裸になったのに置き去り。 寒いしここどこ? すっかり迷ってしまった。 出口も見えない、来た道もない。一人でどこへ行ったらいいのかわからない。 ここで待って、誰かが来たら抱いてもらおう。 #140字小説 寒さしのぎ
2018-10-27 01:20:03心臓がぞわぞわする。 熱く震える塊がせり上がってきて締めつけられる。 もう何もかもどうでもよくなる。 呼吸を忘れる。 ただ唇をつけただけで。 #官能工房 粘膜の敏感さを確かめる行為
2018-10-27 08:29:51じゃあ問題。 あっつくて、 ぬるぬるしてて、 びくんびくんしてて、 とっても気持ちいい、 なぁんだ。 #官能工房 あなたのすきなこと #呟怖
2018-10-27 13:21:24誰が欲しいと言い出したの。 これはだれの欲求なの。 そこは有耶無耶にしたくはない。 はっきりさせましょ。 より強く思ったほうが敗けなの? 勝ちなの、どっち。 そう思ったなら、跪いて欲しいものだわ。 そんな顔してないで。 #官能工房 心中
2018-10-27 16:18:36@DEELVLkuROM7Ud5 あの人は何度も私を殺す。その度に私は起きあがる。あなたの瞳が輝やき、私を起こす。魅入られているのかも知れない。正直わからない。 あの人は邪魔くさそうに私を押し退けていく。私に会いに行くために。 #呟怖 #返怖
2018-10-27 16:44:42夜になると結構冷えてくる。こんなときはあれが飲みたくなるなぁ。あったかくて甘いいい香り。喉越しもなめらかで、みんなは若いのが貴重だって持て囃すけど、わたしはある程度熟したほうが好き。飲み下したあと、鼻から抜ける少しスモーキーな感じ、ああ、なるほどこうして生きてきたんだって。 #呟怖
2018-10-27 20:51:28もうずっと前から消えてしまいたかった。朝日でも浴びようかな。そうこぼすと貴方は不思議そうにこちらを見た。「じゃあさ、これから街へ出て、手あたり次第にぶっ殺して血のシャワーでも浴びようぜ」そう言って月を見て獣に変身した。 貴方があんまり楽しそうに笑うからついつられてしまった。 #呟怖
2018-10-27 21:31:01静かに。静かに時が積もる。何を繰り返したのかわからないほど遠く、果てしない年月を経たその古びたものは、わたしを離さない。長いのか一瞬なのか、流れているのか止まっているのか。線なのか点なのか形なのかそうではないものなのか。 煩さも飲み込む、ただ静かに。 #140字小説 揺蕩う点
2018-10-27 23:37:34拝啓、愛しい人。どうしていますか。あの頃はこんなに長い付き合いになるなど思いもしませんでしたね。気持ちは変わらないはずなのですが温度が変わってきたように思います。 目覚めて隣の空のベッドを通り過ぎダイニングへ行くと、花瓶にバラが一輪だけ差してあった。
2018-10-28 08:15:14ふざけて弟に女装させた。やめろと言う割にリップを塗るときはおとなしくしてた。完成を見て驚いた。そのまま出掛けなよ、なんて茶化すと弟は、じょーだん、と言って口を甲で拭った。普段の姿に戻ったけど、唇に残ったルージュが艶めかしい。 なにさ、おまえなんかこれからどんどん男になってくんだよ
2018-10-28 17:18:29父の弟は季節ごとに我が家を訪れる。叔父の訪問は到来とも言えるものだった。携えてくる私宛のプレゼントや、仕事で回る旅先の話が楽しみで仕方なかった。 ある年の夏、いつもより少し遅れた時期にやって来た。見知らぬ女性を連れて。それからは大人ぶってプレゼントは辞退した。ぬるい風が私を嬲った
2018-10-28 20:57:52大伯父の法要で叔父に再会した。もとから痩型だったが、歳とともに更に無駄が省かれたような静かな佇まいになっていた。 視線の残像が交わる。私を見ている。まっすぐ私の横に来て、耳許で囁く、大人っぽくなったね。息がこそばゆく耳朶を掠め、低い声が鼓膜を揺らす。 すべてに無駄がない。
2018-10-28 21:34:22暇を見つけては釣りに来る。鱸を狙う。ずっと勤務が続き、たまの休日も所用をこなすので終わってしまうので、今日はもう2時には糸を垂らすべく急拵えの準備で挑んだ。 来た。合わせつつ暗闇に目を凝らすと、どぷんと水が跳ねた。人の頭にラインが引っ張られている。 慌てて糸を切った。 #呟怖
2018-10-28 22:46:58頭を枕に押しつけられている。これが望んだことなのかどうか判断がつかない。 脈絡のない風景が浮かび、そこは草原だった、自分の声で目を醒ます。 激しく揺すぶられる体、のんびりとしたノスタルジー。点滅する。 たまに息継ぎをしないと死んだこともわからなくなりそうだ。
2018-10-29 00:49:51人混みで視線を感じて目が合うと、その温度がわかるのだ。今日は、冷たい雨。傘をさしているものは誰もいない。 #書き出し怪談
2018-10-29 09:07:18旅先の宿で体を休める。入口は飲み屋になっている。肉とアルコールをとりあえずやり、一息つく。狭い舞台で女が踊っている。弦楽器の早いリズムに合わせ女が踊る。なぜあんなに地味な衣を着ているのだろう。にわかに裾を捲った。太腿から胸まで、炎の入墨が覆っている。凹凸の上をめらめらと這っていた
2018-10-29 09:22:17文字で人は殺せる。最近特にそう思い当たった。 その文字で魂のようなものを揺すぶられればわたしは取り憑かれて、会ったこともない本当に存在するかもわからない人間であろうそこのあなたに、焦がれるだろう。 抉られどころが悪ければ死ねる。
2018-10-29 09:37:21怒り方を忘れてしまった。あまりにも蹂躙されすぎて、ぺらぺらになってしまった。ここにいるようでいない、飛んでいるようで縛られている。ただたまに静かにどこかで燃える炎が語りかけてくる。それを聞くと、鎖の重さが急に増す。 #呟怖
2018-10-29 12:43:45一本の髪の毛が落ちている。明るいグレーの床に1本。この間の女かな。何気なく拾う、触れた瞬間鳥肌が立った。 違う。 水と一緒にシンクへ流した。水が渦を巻き、ごぼんごぼんと1本の髪を飲み込んでいった。 #呟怖
2018-10-29 13:04:55横断歩道を青で渡っていたのに跳ねられた。僕は死んだようだ。すべて上から見下ろしているからわかる。 すると白く後光が差した人物がやってきて言った。「私は神です。明日地球は終わります。今からあなたを蘇らせるのを証拠にこれが真実だとわかるでしょう」僕は生き返った。は? #呟怖 まきで
2018-10-29 13:40:21こっちを向いてよ。 どんなに思ってみてもあなたには届かない。あなたに触れたい、触れてほしい。見つめられたい。 わたしは窓を叩く。音だけが虚しくあなたを振り向かせる。 #呟怖
2018-10-29 18:07:12