エルンスト・ユンガー『労働者』読書メモ集

エルンスト・ユンガー『労働者』(月曜社、川合全弘訳、2013年)の読書メモをまとめました。Ernst Junger, Der Arbeiter, Herrschaft und Gestalt, Hanseatische Verlagsanstalt, 1932.
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荒木優太 @arishima_takeo

人間の最も深い幸福は犠牲になることにあり、最高の命令術は犠牲に値する目標を示すことにある。byユンガー『労働者』93p

2018-09-23 20:31:31
荒木優太 @arishima_takeo

「ユンガーとアラン――志願兵と前線の想像力」という論文のタイトルを思いついた。誰か書いてください。

2018-09-23 21:16:05
荒木優太 @arishima_takeo

「労働時間が二十四時間を包含するのと同様に、労働空間は無制限である。労働の反対は決して休息や余暇でなく、むしろこの視角の下では労働として理解されない状態が全く存在しない」(ユンガー『労働者』)。じゃあニートも労働者なのか。

2018-09-24 11:15:59
荒木優太 @arishima_takeo

「ひとは、前線の防御されるべき箇所への配置を許されず、むしろ攻撃を受ける箇所に配置される」(ユンガー『労働者』)。ユンガーの「前線」とか「兵士」みたいなメタファーって、狭義の戦争というより、レヴィナスがいう傷つきやすさみたいなものとして理解した方がいいんじゃないか。

2018-09-24 11:25:44
荒木優太 @arishima_takeo

勿論、ユンガー自身はそんなこと考えてないだろうが。

2018-09-24 11:26:44
荒木優太 @arishima_takeo

戦場において見捨てられた村や荒廃した森の一画が一時的に戦略的意志の戦術的象徴として現われ、最高度の努力に値する対象となることがあるように、運動の経過の中で死活的な重大性を帯びながら、運動がそれを通り越してしまえば無意味となってしまうような事物が存在する。byユンガー『労働者』

2018-09-24 11:29:20
荒木優太 @arishima_takeo

ユンガーメモ。戦争が始まると、あらゆる場所が戦場になる。世界が全体性の相の下に把握、前線と銃後に分節されるが、銃後もまた戦場ではないという仕方で戦争空間に浸される。森や廃墟も戦略拠点として甦る。同じことは人間についてもいえる。徴兵されていないという仕方で戦争に参加すること。

2018-09-24 11:51:25
荒木優太 @arishima_takeo

人間が大量に登場する時代には奇妙なことなのであるが、そもそも人間と出会うこと自体、特別の努力を要する作業である。byユンガー『労働者』128p

2018-09-24 12:01:26
荒木優太 @arishima_takeo

無名戦士が存在するばかりでなく、無名の参謀総長も存在する。視線がどこに向けられようとも、その先に浮かぶものは、このような匿名性の意味において遂行される労働である。byユンガー『労働者』132p

2018-09-24 12:35:26
荒木優太 @arishima_takeo

個々人の戦闘力はもはや個人的な価値でなく、機能的な価値である。言い換えれば、ひとは戦死するのでなく、壊れるのである。byユンガー『労働者』140p

2018-09-24 12:41:53
荒木優太 @arishima_takeo

個々人が新聞の頁をめくり、それにざっと目を通す仕草は世界中の全ての社説よりも啓発的であり、また交差点に十五分間立っていることほど有益なことはない。byユンガー『労働者』174p

2018-09-25 14:38:32
荒木優太 @arishima_takeo

結晶の軸位置ほど、また海底を覆う石灰や角質や珪石繊維から成る、あの小さな芸術作品の構造的比率ほど規則正しいものはない。また蜜蜂の巣房の直径が長さの単位の原器として利用しようと試みられてきたことにも理由がないわけでない。byユンガー『労働者』290p

2018-10-28 18:56:31
荒木優太 @arishima_takeo

「海岸の玉砂利が持つような一様性と、結晶質の形成が帯びる明確性との間には、大きな相違が存在する。それは十九世紀の原子と二十世紀の原子との間にあるものと、つまり機械的な量と有機的構成との間との間にあるものと、同一の相違である」(ユンガー『労働者』)。ここ重要なことを語ってる気がする

2018-10-28 19:00:11
荒木優太 @arishima_takeo

「類型人にとって多大の通信手段を保有できるという事実よりもはるかに有利であることは、個人主義的な意見表明の形式が退屈で古臭いものとなり始めているという事実である」(ユンガー『労働者』348p)。類型人はTwitter嫌い。メモ。

2018-10-28 19:05:36
荒木優太 @arishima_takeo

馬が騎士によって、鉄が鍛冶屋によって、船があの「青銅で三重に装甲された船首」によって、初めてそれぞれの意義を得たのと同様に、技術的手段の意味、その形而上学は、労働者という人種がこの手段に適した存在として登場するとき、初めて明らかとなる。byユンガー『労働者』353p

2018-10-28 19:08:19
荒木優太 @arishima_takeo

軍隊を廃止することはできても、軍隊的な秩序を形成する意志が全住民を掌握するという事実を廃止することはできない。しかも専門的な軍備がより大きく削減されればされるほどに、このような住民掌握はひょっとしたらそれだけいっそう確実に行われるかもしれないのである。byユンガー『労働者』372p

2018-10-28 19:10:45
荒木優太 @arishima_takeo

混沌の只中で武器と心情の鍛錬に取り組む人間、幸福の逃げ道を断念することを心得た人間を見れば、ひとは感動する以外にない。byユンガー『労働者』380p

2018-10-28 19:12:12
荒木優太 @arishima_takeo

ちなみに今日贅沢であるのは、車やラジオや電話機の所有を必要としない人である。それは労働民主主義の内部ではますます許容され難くなる類いの贅沢である。byユンガー『労働者』368p

2018-10-28 19:13:30
荒木優太 @arishima_takeo

ユンガー『労働者』読了。そもそも謎な文章の上に、途中で長い読書断絶期を挟んでしまったおかげで前半はもう忘れ、よく分からない始末に。が、なんか面白かった気もする。とくに〈大衆ー個人〉をセットとして捉えて、その超克として〈類型人ー労働者〉を見出す点はオルテガ的貴族よりも惹かれるかも。

2018-10-28 19:17:03