
近代日本に於ける"イマドキの若者や学生”を批難する人々 1905~1938
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jemappellety
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2017年12月18日付の大分合同新聞に掲載された文章(朝刊2面)。友成真一氏(早稲田大学社会連携研究所所長)は、学外の人から「最近の学生は元気がない!」とよく言われるそうだ。 pic.twitter.com/iwFOEJEiM3
2018-10-15 19:58:44

↑肩書は掲載当時のもの。件の学外の人達は「昔と比べると最近の学生は元気がない」と感じているのであろう。


便宜上、引用の際には旧字旧仮名を新字新仮名に改め、送り仮名を現在の習慣に基づいた付け方にした。画像の一部を赤線で囲った箇所がある。
"イマドキの若者や学生”を批難する人々 昭和戦前期編

「近頃のお若い方には総てに誠意が欠けていはしませんかしら」(『東京日日新聞』1938年6月3日付夕刊4面)。神奈川に住む女性からの投書。 pic.twitter.com/d48oslp7X4
2018-10-29 15:46:43
↑1938年は昭和13年。

「男子が貞操観念の薄い事、不作法な事は今にはじまったのではないが近頃青年が大いにこの方面に欠けた観あるのは将来性のあるだけ特になげかわしいことと思う」(『東京日日新聞』1938年6月2日付夕刊4面)。 pic.twitter.com/zJNjKiALrI
2018-10-29 15:48:10

「この頃の若い男達から受ける(中略)生活力にも、恋愛にも、体当たりでぶつかってゆけない頼りなさはどうしたことであろう」(『東京日日新聞』1938年5月31日付夕刊4面)。「体当たりでぶつかる胆力」と題した文章を参照。1938年当時の若者も(?)胆力がなかったのだろうか。 pic.twitter.com/8a1MwSyzeE
2018-10-29 15:49:32

「近ごろの女学生はお行儀が悪い」(『大阪朝日新聞』1937年6月23日付朝刊7面)。それ故、礼儀作法を女学校でしっかり教えることになった旨を伝える記事。 pic.twitter.com/08JxFacobC
2018-10-17 20:11:58


「此の頃の青年には気概がなくなった(と嘆く老人がいる)」(『読売新聞』1936年1月23日付朝刊9面)。 pic.twitter.com/XtMRUY9CH8
2018-10-18 20:00:55

↑「現代娘かたぎ」は1936年1月13日付~1月28日付の読売新聞に掲載された連載企画(全14回)。当時の10代後半から20代半ばの若い独身女性(おそらく中流~上流階級に属すると思われる)14名がそれぞれの「大胆率直な社会観なり男性観」(注1)を語っている。上に引用した記事の女性は打算的な結婚観を持っていたが、家族制度や男尊女卑的な風潮への不満をほのめかす人が少なくなかった。女優の水の江滝子(1915~2009)と「一生同棲できたら男なんかと誰が結婚するものですか!」(注2)と言った人がいたのも興味深かった。当時は同性婚という概念すらなかったはず。
※注1&注2はいずれも1月13日付

「現代の娘さんはもう一歩考えの足りないところがある」(『読売新聞』1936年1月29日付朝刊9面)。勝本清一郎は近代日本文学の研究者(1899~1967)。 pic.twitter.com/5T7o3yGXba
2018-10-18 20:14:31


「現代の娘ちゅうもんは、皆あんなに意気地のない考えをもっとるんじゃろうかネ?」(『読売新聞』1936年1月31日付、朝刊9面)。高島米峰は仏教運動家(1875~1949)。東洋大学の第12代学長でもある。 pic.twitter.com/8ZfZMDKO1U
2018-10-18 20:39:25

↑「現代娘かたぎを批判す」は1936年1月29日付~2月1日付の読売新聞に掲載(全4回)。男女2名ずつ、計4名の識者が先の連載企画「現代娘かたぎ」で開陳された意見への批評をしている。男性の識者は若い女性らの言い分にそれなりに理解を示しながらも、いずれも批判的である。女性識者は2人とも彼女らの意見を擁護していたが、割愛させていただく。

「(サラリーマンを志望する青年が多いのは)二つの大きな理由があるのだ。現代青年の怯懦な精神と虚栄心とが是れである」(『読売新聞』1936年1月14日付朝刊2面)。大谷光瑞(浄土真宗本願寺派第22代宗主。1876~1948)が、サラリーマンになりたがる当時の若者を批難している。 pic.twitter.com/SRLLSH8KlV
2018-10-29 15:25:33


「近頃の若いものは、大学出だなんていったって、ろくな手紙一本も書けない、おれの時代なんぞは……と、よく先輩から聞かされる」(『東京日日新聞』1934年10月3日付朝刊3面)。「ひろし」という学生からの投書。 pic.twitter.com/LAlQ1h85HD
2018-10-19 20:03:55

「(近頃の女の子は)貞操感(原文ママ)なんてなくしちゃってるし、図々しくて、鼻柱が強くて、悪趣味」(『読売新聞』1934年9月6日付朝刊9面)。当時の不良の意見。 pic.twitter.com/kGYPFC73ty
2018-10-19 20:37:36

↑「不良から観た現代娘気質 札付の不良と語る」は1934年9月3日付~9月6日付の読売新聞に掲載(全4回)。ある「札付の軟派専門の不良」(9月3日付)、つまり女性のナンパばかりしていた不良青年が若い女性の気性についてあれこれと述べている。この彼も批難の対象としての"イマドキの若者”の一人なのに。「(彼の)話を総括すると、現代の若い女性はまるで女性の欠点を全部代表したような不愉快な存在のように思えます」(9月6日付)という記者の感想も面白い。

「近ごろ若い社員なんか生意気すぎるくらい威張りすぎます」(『大阪朝日新聞』1934年5月19日付朝刊5面)。寄稿した人物は現役の職業婦人だろうか。 pic.twitter.com/HqHsReJQfw
2018-10-28 10:43:30

「現代の若者は何か極端へ極端へ走る我々の時代にはまだ楽しみが少し残っていたが、今はそれが全然ない」(『東京朝日新聞』1934年3月16日付朝刊11面)。サトウハチロー(詩人。1903~73)のコメント。 pic.twitter.com/LoSNpH2FNj
2018-10-29 15:54:41

「近頃ノ若イ者ハ気力ガナイ」(『東京朝日新聞』1933年10月11日付夕刊1面)。麻生豊(1898~1961)の4コマ漫画「人生勉強」。主人公の只野凡児が「同県ノ先輩」のもとを訪ねたところ……。 pic.twitter.com/bJ2wcNqxp7
2018-10-23 11:59:44

↑フィクションからでも当時の世相が読み取れると思い引用した。下川凹天(1892~1973)の4コマ漫画「男やもめの巌さん」にも、白虎隊の生存者を自称する老人が「近頃の若者」の軟弱さや忍耐力の無さを嘆く場面がある(『読売新聞』1933年9月4日付朝刊9面)。