ついりみっくす（ #twremix ）オムニバスついのべ　2018.11.1

赤い月が空にかかると、それは祭りの合図。悪霊や怪物や死神をバサバサと切り殺す。普通には見えない世界での出来事ゆえに、誰からの非難も受けない、これは立派な仕事。暗い快楽に思わず口元がゆるむ。地獄では人間こそが悪魔だと噂されているらしい。

2018-10-31 23:01:02

僕が王国の王子だったなんて信じられなかった。赤ん坊の時に盗賊にさらわれ、貧しい狩人に助けられ、育ててもらった。今は美しい服を着て、豪華な玉座に座っている。そして頭の上には宝石の輝く金の冠が載っている。でも、アンナ。君が作ってくれた草花の冠の方が僕は嬉しかったよ。#twremix #twnovel twitter.com/23novel/status…

2018-11-03 17:07:14

花冠はお嫌いかしら。きらびやかな宝石でいっぱいの、金の王冠でなければ嫌かしら。首が折れてもいいかしら。

2018-11-01 23:01:02

花の冠は嫌いかと聞かれたら、嫌だと答えるしかない。でも、誤解しないでよ。宝石や金の冠だったらいいわけじゃない。ただ単に恥ずかしいだけなんだ、君にそんなことをしてもらうのが。せめて僕がどこぞのフィギュアスケーター位に素敵な男だったらよかったのに、期待に添えなくてごめんね。 #twremix twitter.com/23novel/status…

2018-11-04 00:04:36

海野遥香（うみのはるか） @harukaumino

「じゃあね」と言ってピーターパンを見送った時、私のポケットにはティンカーベルがいたんだ。そう、こっそり捕まえてたんだ。それで鳥かごに入れて家で飼うことにしたってわけ。あれから３０年以上が過ぎた。ネバーランドにいないと妖精でも歳を取るのね。もうすっかりお婆さんだ。#twremix #twnovel twitter.com/23novel/status…

2018-11-03 17:22:45

「じゃあね」と言って見送った、その後ろ姿が忘れられない。どんなに大好きでも、私はもう、あなたといっしょにいられない。時間は残酷に過ぎていって、私は立派な大人になってしまった。これが私の夢だった。ありがとう、夢を守ってくれて。そしてさようなら、私のピーターパン。

2018-11-02 23:01:03

普段は絶対信じない。でも、今度だけは信じようか。「勇気を出して。素直になって」という、私の天使だという差出人からの伝言。数日後、予報に反して突然雨が降った。『…傘、貸そうか？』俄か雨のあの日、彼の手を振り払ったことを思い出した私は走り出していた。彼がきっといる筈の其処へ。#twremix twitter.com/23novel/status…

2018-11-03 19:35:20

不思議を信じるあなたへ。あなたの天使から伝言を預かっております。「勇気を出して。素直になって」とのことです。意味はわかりかねます。私はただのメッセンジャーですから。もう少しヒントが欲しいなら、数日中に「サイン」を送るそうです。よく注意してお過ごしください。

2018-10-30 23:01:03

「主人公がいない本？」「そう、怖くて誰も読んでないんだって」「へえ…そういや、この本すげえ面白いぜ。後で貸すよ」その日以来、彼はどこにも姿を見せなかった。めくられてた本のページに一瞬彼の指が溶け込んでるように見えて、光の加減かと思ったけど、あれは何だったんだろうか。 #twremix twitter.com/23novel/status…

2018-11-03 23:35:46

主人公がいなくなり、秩序を失った物語。賢者も、姫君も、殺人鬼も意味を失って、誰もが顔をなくしている。そういう本がごく稀に古い図書館には残っており、今も暗がりでひっそりと、主人公となり得る人間が生贄となるのを待ち焦がれているという。

2018-11-03 23:01:02

『子守唄を歌ってほしい』そう聞こえた気がして思わず言った。「ねえ、それもう一回歌ってあげて」孫が口ずさむ、保育園で覚えたての昔ながらの歌。そうだ、これが好きだって言ってたじゃない。もっと早く思い出せれば…。幼い回らぬ口が奏でる旋律に、眠る母が静かに笑ったように見えた。 #twremix twitter.com/23novel/status…

2018-11-04 12:44:37

子守唄を歌ってほしい。もう一度だけ、昔みたいに。旋律をたゆたう間に戻りたい。懐かしい小さなわたし、あたたかな心地よい揺りかごへ。そのままゆっくり眠れたら、静かに笑って旅立てる。

2018-10-26 23:01:02

今日も枕元で羊がたくさん待機してるんだろうな。こちとらまた始発でお帰りだよ。いっそのこと羊たちがこっちまで来てくれればいいのにとか思うあたり、俺はもう行き着くところまで行き着いてしまったのかもしれないな。今日も少しだけベッドで寝たら、また街に戻る一日が始まるのか。 #twremix twitter.com/23novel/status…

2018-11-06 08:15:43

枕元で羊がたくさん待機していた。しかしベッドの主は帰って来ない。仕方がないので、みんなで運動会をすることに。徒競走、玉入れ、借り物競走に、ダンス合戦。明け方に主人が戻ってきた頃、羊たちはもうすでにぐったりぐっすり夢の国。そうしてまた人間は寝不足になるのだった。

2018-11-04 23:01:02

今日は獏ちゃんたちの食事会の日だ。１５匹以上の獏が集まったのは１８人の大家族のベッドルーム。皆が眠った頃、獏ちゃんたちが全員集合。でも、何という事か誰も夢を見ていないようなのだ。それもそのはず。大家族は全員が学校の運動会で疲れ果てて、夢も見ずに眠っているんだよね。#twremix #twnove twitter.com/23novel/status…

2018-11-06 17:42:25

つうよ。お前はもう山へ帰りたいのだろ？　お前の「決して覗かないで下さい」と言う言葉のまま、絶対に覗かなかったのは、お前が鶴の化身だと知っていたからなのさ。お前はもう十分恩返しをしてくれたさ。もう山へお帰り。今からお前の部屋を覗いてやるからね。俺は寂しくなるけどさ。#twremix #twnove twitter.com/23novel/status…

2018-11-06 17:27:11

狐にからかわれた。山で出会った狐に。餌もやらなかったし、罠から救ったわけでもない。ただ「毎日暑いな」と笑いかけただけ。その夜、運命と思える女性と会い、結婚し、子どもも生まれ、大満足で死んだ。そういう白昼夢を見た。狐が走り去る、一瞬の間に。

2018-11-05 23:01:02

魔女のスカートの中を覗くと大勢の子供たちが見えた。皆さらわれて来たらしい。「たすけて」という声が聞こえた。魔女は僕を睨んで「おませさんね」と笑った。僕が大人になったらあの子供たちを助けてやろうと思った。魔女が言った。「大人の男がスカートめくるとただじゃおかないよ」#twremix #twnove twitter.com/suzu_lan06/sta…

2018-11-06 17:54:05

風岡なつ @suzu_lan06

「魔女さんのスカートの中はどうなってるの？」「あら、おませさんねえ」紫の爪がついた手で、彼女は僕を撫でた。「これは、二人だけの秘密よ」長いスカートの裾を持ち上げると、クロアゲハが花びらのように空に舞った。「夜の間、蝶々をかくまってるの」僕らは約束の甘い指切りを交わした。#twnovel

2018-11-01 09:41:28

引っ越しも楽じゃないわ、全く世の中は世知辛いねえ。静かで南向き、三色昼寝付きなんてせっかくいい部屋見つけたってのに、いっちょ前に食い扶持なんて見つけてきちゃって。今度の大家さんも居心地良さそうだけど、求人情報とか見始めてるし、ま、いつまでいられるかねえ。『貧乏神の嘆き』 #twremix twitter.com/23novel/status…

2018-11-07 08:05:46

「引っ越したんだ。心機一転ってやつ。新しい部屋は居心地いいし、大家さんいい人だし、まあいいとこだ。君に追い出されてつらかったけど、今はなんとかうまくやってるよ」「何読んでんの？」「貧乏神からの手紙」

2018-11-06 23:01:02

うちは毎日大賑わいだよ。え？あんた一人暮らしだろって？そりゃあそうなんだけどさ。毎日のように神様がやって来るんだよね。多い時は４～５人は居るかなあ。福の神もいれば貧乏神もいるし、幸運の女神がいればまた疫病神がいる。とっかえひっかえなのでまあごく平凡な生活だね。#twremix #twnovel twitter.com/23novel/status…

2018-11-07 18:50:18

三十路ちゃん @nk22book

いくつもの真実の中から選びとり黄色と赤を束ねて渡す #tanka 薬指に首輪をはめた私たち恋をするには遅すぎました #twremix #短歌 twitter.com/23novel/status…

2018-11-07 19:54:50