代わり映えしなさすぎて笑えるマンガに対する50年前の批判

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儀狄@パブリックエネミー @giteki

「戦後マンガ50年史(竹内オサム:著)」を読んでいるんだけど、マンガに対する批判が代わり映えしなさすぎて笑える amazon.co.jp/dp/4480052011/

2018-11-02 23:03:08
儀狄@パブリックエネミー @giteki

「最近は少女雑誌にもおしゃれ特集が組まれていたりと、少女たちはこの段階で既に女であることを強いられている。少女たちから人間を奪っていることについては激しく抗議したい」。まなざし村ですか? いいえ、『図書新聞』1963年5月4日号で、児童文学者の砂田弘が書いていた言葉です

2018-11-02 23:04:57
儀狄@パブリックエネミー @giteki

1963年というのはちょうど「週刊少年マガジン」「週刊少年サンデー」といった少年向け週刊誌が誕生して部数を伸ばし、それを受けて「週刊少女フレンド」「週刊マーガレット」といった少女向け週刊誌も生まれた頃だった

2018-11-02 23:09:17
儀狄@パブリックエネミー @giteki

同じく砂田弘は週刊少年雑誌は「忠実なサラリーマン予備軍を育てる場所になっている」と言い、総じて「子供の精神が画一的な状況に追いやられている」らしくその原因は「少年、少女雑誌が子どもの精神を誘惑している」からと書いている

2018-11-02 23:11:38
儀狄@パブリックエネミー @giteki

そして60年代初頭にはマガジン・サンデーの2誌が戦艦大和や零戦といった兵器をカッコよく紹介するようになり、この頃に戦車や飛行機のプラモの流行も始まり、『戦争の悲惨さに目をつぶっていたずらに賛美するのは問題ではないか』といった批判も賑わせるようになる。

2018-11-02 23:14:31
儀狄@パブリックエネミー @giteki

これを受けて『0戦はやと(少年キング・辻なおき著)』『紫電改のタカ(少年マガジン・ちばてつや著)』『あかつき戦闘隊(少年サンデー・原作・相良俊輔、作画・園田光慶)』などの戦記マンガブームが起きているのだが、戦争賛美という批判とは別に児童文学者の鳥越信は次のような発言をしている

2018-11-02 23:22:27
儀狄@パブリックエネミー @giteki

「ここ数年来の児童雑誌の傾向は、全体として、かつての『赤胴鈴之助』『月光仮面』等に見られたような正義対悪のパターンが姿を消し、あるルールにのっとった技術上の争いというパターンが増えている。その典型的な例が野球マンガであるが、戦記もまたゲーム化されたものという点で同系列だ」(続く)

2018-11-02 23:25:57
儀狄@パブリックエネミー @giteki

「(続き)しかし同時に、ゲーム化した対立・かっとうのパターンの中から、新しい正義観のよりどころが生まれようとしている。その一つに民族主義的な傾向があり(中略)ことに最近は、偏狭な愛国主義に立脚した正義感が押し出されてきている」(『読書科学』1963年9月20日発行号)

2018-11-02 23:37:19
儀狄@パブリックエネミー @giteki

そしてもう少し後の時代になると1968年には後追いで『週刊少年ジャンプ』が刊行され、永井豪の『ハレンチ学園』が連載されるようになる(1968年8月~)。この作品の性描写がさんざん問題になったことは知られているが(続く)

2018-11-02 23:44:30
儀狄@パブリックエネミー @giteki

別に性描写はハレンチ学園に限ったものではなく、テレビでも『コント55号の裏番組をぶっ潰せ!』では女性に野球拳をさせていたし、『8時だよ! 全員集合』で志村けんがストリップを演じたりもしている。

2018-11-02 23:45:22
儀狄@パブリックエネミー @giteki

ハレンチ学園のヒットを受けて週刊少年チャンピオンでは『やけっぱちのマリア』の連載が始まり、性交や女性器のしくみを真面目に解説したことで福岡県から有害指定を受けている。

2018-11-03 00:00:01
儀狄@パブリックエネミー @giteki

作者は「こどもたちに、まんがを通して正しい性教育をする必要性を感じて、たいへんまじめにとりくんだつもりです(『赤旗』70年8月28日)」「考えてみて下さい。今の子供は性そのものをよく知っているんです。2DKの団地などでは、両親の性行為をみてすらいる(『週刊ポスト』9月18日)」と述べている

2018-11-03 00:03:00