「自己責任論」が話題だけど、哲学的には超難問だよという話

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灰原とう★英語ロギア開発中 @haibaratou

G逆フーリエ変換。脳活動から意味や知覚の情報にデコードすることに成功。すごい。 pic.twitter.com/DdMkjTOXYB

2018-06-27 13:16:27
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サンセット @Sunset_Yuhi

「自己責任」というワードを見て思い出したけど、よく考えるとまず「自由意志は存在するか」という命題の時点で、哲学的には難問だったりするのよな。 少なくとも実証主義・機能主義的に科学的研究を進める上では、「意識」や「こころ」の存在を認める必要がないはず。

2018-11-02 20:07:34
サンセット @Sunset_Yuhi

哲学的難問になるのにはまず、一人称視点で見た時には自分の意識やこころが存在すると感じるのに、第三者視点で見た時にはその存在を確認する方法が無いということがある。 今ならfMRIとか使えば脳の働きは見られるけど、それは結局のところ化学反応やニューロンの発火現象を見ているに過ぎない。

2018-11-02 20:17:26
サンセット @Sunset_Yuhi

とどのつまり、人間の意識やこころというものは、第三者視点から見る限り存在すると言い切る理由が無く、究極的には原子・分子を支配する物理法則に還元されるように見える。 そういう中での「自由意志は存在するか」という命題は、「無い」側に軍配が上がりつつあるのでは、というのが自分の印象。

2018-11-02 20:26:27
サンセット @Sunset_Yuhi

「京(けい)」を使い10兆個の結合の神経回路のシミュレーションに成功 | 理化学研究所 riken.jp/pr/topics/2013… @RIKEN_JP ヒト脳の神経回路の研究は結構進んでいて、理研は2013年に脳の約1%の神経回路をシミュレーションしている。1%ができたなら、いずれ100%もできてしまう気がする。

2018-11-02 20:33:02
サンセット @Sunset_Yuhi

ヒトの脳全体シミュレーションを可能にするアルゴリズム | 理化学研究所 riken.jp/pr/press/2018/… @RIKEN_JP 今調べなおしたら、理研は割と早くに「全脳シミュレーション」をやる気らしい。ひえ~。

2018-11-02 20:48:35
サンセット @Sunset_Yuhi

@RIKEN_JP さて、じゃあ「自由意志は存在しない」ということでいいかと言うと、困ることになる。 例えば、人間の自由意志を認めないなら、殺人犯の責任能力だって無いことになるので、殺人犯を罪に問えなくなってしまう。けれども、日常的にはそういう風には考えない。

2018-11-02 21:01:51
サンセット @Sunset_Yuhi

少なくとも一人称視点では、「意識」や「こころ」の存在を実感できる以上、問題なのは「自由意志はどういう形で存在するか」ということだ。 科学的にはどうも存在が否定されてしまいそうだが、認知のレベルで存在すると感じるものなのか。

2018-11-02 21:17:21
サンセット @Sunset_Yuhi

「個人主義」というのも割と最近に生まれた信条のはずだが、交友関係が大規模で多種多様になる中で、個人は合理的で主体的に選択ができると見なされている。 法廷でも被告の有罪・無罪は、ある行為を意識的に行ったかどうかがしばしば争点になる。

2018-11-02 21:35:38
サンセット @Sunset_Yuhi

かつて人々は、親族や目上の人に対して忠実であることを期待され、結婚相手や働く場所などを選ぶ自由もあまり無かった。法制も個人というものをほとんど考慮していない。 そのような、個人を拘束する社会的圧力が強かった時代には、個人の自我というのも限られた形でしか存在しなかったのではないか。

2018-11-02 21:41:29
サンセット @Sunset_Yuhi

「人間は主体的な自我を持つ」というイメージは、単に世間に広まっているだけでなく、道徳的にもそれを持つことが理想とされているように思われる。 人々は個人であることを許されているだけでなく、個人であることを「期待されて」もいるということ。

2018-11-02 21:47:40
サンセット @Sunset_Yuhi

今までに自分がしてきたこと。それは私がしたことなのか。私は自由なのか。 決定論自由論の論争はまだ当分、哲学における未解決の難問として残るだろう。哲学的には「限定的な自由論」が優勢な気がするけど。

2018-11-02 22:22:26
サンセット @Sunset_Yuhi

心理学でも特に実験系の本を読んでると、条件付けとか動機づけの話は人間をすごく機械的に扱ってる印象を受けるよねえ。 タバコやギャンブルに依存してる人(快楽を学習した人)は、自分の意志でやってるとどこまで言えるだろうか。まあ自分の意志でやってると言えないと困るんだけども。

2018-11-02 22:31:58
サンセット @Sunset_Yuhi

食べたい、寝たい、みたいな生物学的メカニズムによる動機は「生物学的動機」と言う。一方、褒められたい、偉くなりたい、みたいな社会生活に由来する動機は「社会的動機」と言う。 生物学的動機は薬とかで制御できそうだけど、社会的動機は薬物治療だけだと不十分な印象。あくまで印象だけど。

2018-11-02 22:46:36
サンセット @Sunset_Yuhi

「自己責任論」に戻ると、まあ自由意志の存在は虚構っぽいけど、自分の行為に対する責任は自分で取るべきだろうという、理解はできても少し悲しい結論が暫定的な回答かと思う。 でも現代でも、例えば未成年の犯罪は割と緩い辺り、「何歳から責任を追えるのか」というデリケートな線引き問題があるな。

2018-11-03 00:53:26
サンセット @Sunset_Yuhi

画像解析で神経細胞の発火パターンが明らかに youtu.be/SALBAZ9dQUU @YouTube ちなみに、神経細胞の発火現象はリアルタイムで観察できるようになっている。リンク先はOISTの2012年の動画。

2018-11-03 01:54:01
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サンセット @Sunset_Yuhi

@YouTube 自分の中では「自分の意志で行動した」と思っても、科学的には「ただ特定個所の神経細胞が発火しただけ」と捉えられるんでしょうか? そんな時代の、これからの自己責任論とは? 哲学の問題は意外と身近にある

2018-11-03 12:39:16
サンセット @Sunset_Yuhi

@YouTube 『実験心理学 心理学の基礎知識』の冒頭の文章はかなり潔い。 > そもそも「心」という臓器は私たちの体内には存在しないのである。「心」という臓器が存在しないのであるから、「心」を研究することは本当はできないのである。

2018-11-03 18:01:21
サンセット @Sunset_Yuhi

> 心理学は(中略)、調査や実験という場面を用意して、その枠組みの中で人や動物の行動を観察する。そして、観察された行動の変化から人や動物の心理状態を推測し、さらには「心」の法則というものを見つけていく。 これは所謂、行動主義的な考え方。臨床心理とかやってる人からは異論がありそう。

2018-11-03 18:01:36
サンセット @Sunset_Yuhi

一方、現象学と呼ばれる哲学の分野では、「経験的事実」を重視して哲学の問題に取り組む。 科学的探究をする限りは「自己」の類に客観性を持たせることは難しそうだが、それでも物を見たり触れたりすることは日常的な経験のはず。そうした「主観的な経験」を拠り所にして議論を進めるのが現象学

2018-11-03 18:14:02
サンセット @Sunset_Yuhi

『WM現代現象学』での指摘。 > 物理主義は、世界のあらゆるものは物質であるという想定から出発して、あらゆる対象を物理学によって説明しようとすることがある。 > しかし、「経験という観点」は、理論の上で採用することを決定して、場合によっては撤回するような出発点なのではない。→

2018-11-03 18:40:04
サンセット @Sunset_Yuhi

経験はすでに事実上私たちの誰もが手にしており、(中略)取り除くことのできないものである。 > 物理主義が論証に成功する場合にも、さしあたり「心として経験されているものを考察する」かぎりで、心の経験が出発点になっていたのであり、その事実を打ち消すことはできない。 鋭い指摘だと思う。

2018-11-03 18:46:00
サンセット @Sunset_Yuhi

「科学的探究にしても、探求の出発点となるのは、私たちの経験なのでは?」という視点から、意識経験について論証を進めていくスタイル。 物事の価値とか道徳についても、一人称視点から記述的分析を行っていて、個性的で面白いと思った。

2018-11-03 19:11:15
サンセット @Sunset_Yuhi

「哲学なんて役に立たねえ」という意見もまあ分かるけど、「刑事責任を問える条件」というのは刑法学とかでよく論点になるらしい。調べたら1949年の論考が出てきた。 J-STAGE Articles - 刑事責任と自由意思 doi.org/10.11205/jalp1…

2018-11-04 00:14:14
サンセット @Sunset_Yuhi

J-STAGE Articles - 自由意志信念に関する実証研究のこれまでとこれから doi.org/10.14966/jssp.… こちらは2015年の研究。自由意志や決定論の仮説を概観しながら、道徳的責任の位置づけについて考えている。実験哲学とか聞きなれないワードが出てくるけど、割と読みやすいと思う。

2018-11-04 01:00:11