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2018年11月11日

紅野謙介氏による大学入学共通テスト(新テスト)試行調査(平成30年11月実施分)の国語について【ちくま新書「国語教育の危機」補講】

紅野謙介氏の一連のtweetをまとめました
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紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

今日のプレテストの問題が大学入試センターから公開されました。dnc.ac.jp/daigakunyugaku… 驚くべきことに、これまでと様変わりしています。明日、今回の「国語」の試験内容についてtweetしていきたいと思います。

2018-11-10 23:40:27
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

予告だけすると、記述式は前回までと100%違った。こんな転換をされて、共通テスト対策を出した出版社や書き手たちは唖然としているだろう。もうすでに駿台文庫やいいずな書店からは問題集出てたのに。これを大学入試センターの「転向」と言うべきか。よくなった、しかしダメだというのがぼくの評価。

2018-11-10 23:47:21
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

さて、昨日のプレテスト2。「国語」の問題について、「国語教育の危機」補講です。今朝の「朝日新聞」に短いコメントのみ載りましたが、多くの人がそう思ったように、これまでのサンプル問題、前回の問題に比べると工夫がこらされ、試験問題としての質があがったことは間違いありません。だが…。

2018-11-11 08:35:36
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

一般の試験問題として評価するかどうかということと、これから大きな変更がなされるそのための試行調査では意味が違います。来年11月にプレテスト3を実施するかどうかは未定になっていますが、となると本番直前の最後かもしれないプレテストでここまでコンセプトを変えていいのか。

2018-11-11 08:38:01
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

これまでサンプル問題もプレテストも、さかのぼればその前のモニター試験においても、ずっと記述式はいわゆる「実用的な文章」、実際には無署名の、作成委員会による仮想作文を素材にしてきました。そのように全員が受けとめたはずです。ところが今回は署名入りの既存の評論から取ってきたのです。

2018-11-11 08:45:55
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

大学入試センターからすれば実施方針のなかに素材選定について「論理的な内容を題材にした説明、論説等」も入れていると主張するのでしょう。そこには新聞記事、会議録、実務的な文章、契約書や法、公文書、統計資料を用いた説明などがあがっていました。ではなぜ、これまで後者ばかりだったのか。

2018-11-11 08:51:43
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

「実用的な文章」という定義の曖昧な言葉を用いながら、前回までのような文章もあり、今回のような評論もありというふうになると、どちらの傾向が本番で出るのか分からない。試験問題としてはレベルがあがっても、そうしたコンセプトに疑問があります。個々の問題についてはもう少しあとで。

2018-11-11 08:54:14
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

さて、個々の問題を見てみます。まず第1問。鈴木光太郎、正高信男氏のそれぞれの評論からの出題。これにあとで川添愛氏の文章が加わる。発達心理学や自然言語処理の学者によるエッセイで、無署名の作成委員によるこれまでの問題文よりはるかに優れた選択である。「ヒトと言語」というテーマもいい。

2018-11-11 11:28:48
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

新聞にも第1問は掲載されたので、要確認。問1は適切かつ平易な設問で、おそらく正答率は高い。問2も悪くはないが、よく読むと「初期の指差しと言語習得」をめぐるノートの展開が不十分ではないか。

2018-11-11 11:30:39
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

「→」が思考の推移を表すとすると、初めは子どもが「ある単語を耳にする」。そこで「子どもは無数の候補の中から適切な一つを選ぶ必要が生じる」。ところが、このあと「しかも/大人は」とあって空欄になる。大人はひとつひとつをこれは何々と指差して教えてくれない、「だから」という流れになる。

2018-11-11 11:32:36
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

でも、これはピースが一つ抜けている。「しかも」の前に、無数の候補の中からある単語にあたる対象を選ばなければならないのに、選ぶことができない、分からないというプロセスが必要。小さなことだけど、論理的思考の流れに飛躍があるので、ほんとうは回答しにくいのではないか。

2018-11-11 11:35:37
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

問3は、鈴木、正高の評論に、さらに川添の評論の一節を組み合わせ、指差しと記号と指示対象をめぐる考察に結びつけようという設問。これはかなりいい問いだと思うが、80〜120字という文字数はかなりの分量に及ぶため、正答のバラエティも多く、採点が困難だろうと推測される。

2018-11-11 11:36:41
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

よく見ると、地図上の諸記号が何を指すかのルールを話し手と聞き手が共有しているから理解が成り立つという前提は不要と禁じ手にしています。そこで受検者は考えをめぐらさなければならない。前の評論を読み直し、そこで他者の視点を想像するということに気づく。そのようにもっていこうとしています。

2018-11-11 11:38:17
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

誘導ともいえますが、与えられた材料のなかで複雑な思考と判断を要求される問いです。しかし、同じ試験でも大学入学共通テストとなると、量的条件が質をゆがめないかという問題が発生します。基準を明確にしたといいますが、採点となるとかなり大変な作業ではないかと思います。

2018-11-11 11:40:03
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

地図を例にしろといっても、地図のどの要素をあげるかは受検者任せです。正答例1〜3もバラエティがありますが、相当な幅をもつでしょうし、その得失点差をどう公平にしたらいいか、採点者は苦しむでしょう。設問の質がよくなることと、共通テストに記述式を持ち込むことの矛盾がここに現れています。

2018-11-11 11:41:32
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

センター試験に戻ったという評価もあり、よかったという声もあがっていますが、この問題をマークシート式の試験にしても十分面いいでしょう。誤答の選択肢の作り方もいろいろありえます。それこそ採点の効率性もいい。内容的にも記述式より悪くなるとは思いません。

2018-11-11 11:47:20
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

十分面いいでしょう。訂正:十分面白いでしょう。

2018-11-11 12:04:16
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

採点の難しさを意識したのか、細かく点数化せず、「総合段階」という組み合わせで評価しようとしています。低い正答率や採点の誤差が直接に反映しないような工夫だと思いますが、逆にそれだけ採点に不安を抱えているということの証左とも言えるのではないでしょうか。

2018-11-11 12:06:31
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

完璧な試験というのはありえません。ならば無理矢理、記述式を入れなくても、十分このような問題を出すことで能力を測ることができる。この程度の記述式で教育を変えることができるというのが僭越なのではないかと思います。

2018-11-11 12:09:42
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

一方、試験は採点評価の道具ではなくて、こういう問題文を読ませたい、ここに書かれているような視点や思考、世界観を知ってほしいと考えながら作るものです。その意味では、今回の第一問は持ち帰って、教室で再読したり、さらにその著者の文章にふれたくなるものでした。そこは◎という評価。

2018-11-11 12:14:13
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

第二問は「著作権のイロハ」という図解、著作権法の抄録、名和小太郎氏の評論から構成されています。これが「実用的な文章」の分類になるのでしょうか。著作権とか情報リテラシーについてはこれまでにも教科書にふつうに評論として載っていました。表は文章の一部ですし、法律は参考資料の役割です。

2018-11-11 12:17:59
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

問1は漢字問題。問2は傍線部Aをめぐる説明問題だが、選択肢すべてを的確に把握し、資料1、2、文章から導き出すので、良問ではあるが、やや難しい。とりわけ本文の「プラトニズム」という言葉が注のないままなので、概念の理解に困難が予想されます。

2018-11-11 12:19:19
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

問3は文章の内容要約の設問。早い段階で要約を問うのはやや異例、設問の流れからすると難しい。問4は文章中の表1と表2を比較させて、その違いを説明させるもの。表の読み方を問うという狙いはよく分かるし、正確に読めばわかるが、これも難度が少し高いのではないか。

2018-11-11 12:21:13
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

問5は文章の「表現」の特徴をとらえる問いだが、段落ごとへの説明を変えた選択肢という形式になっています。「適当ではないもの」を選ぶという問い方からして、個々の選択肢をじっくり吟味しなければならないので、かなり時間がかかるのではないでしょうか。

2018-11-11 12:22:05
紅野謙介@「国語教育 混迷する改革」 @konokensuke

問6は図のなかの空欄をうめる問いで、これまでの問いから総合的に判断すればできます。これは比較的容易でしょう。複数の資料をまたいだ問いを用意するというのがこれまでの方針でしたが、この図はいわば板書のようなものです。内容を箇条書きにして書くのと基本同じ。相当に方針を弛めてきましたね。

2018-11-11 12:24:31
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コメント

Mongyang @taisyo_2015 2018年11月11日
最初の現代文は「ノンバーバルコミュニケーション」とか「手話言語」の概念有無で違ってくるんじゃないか。さらに、出題者は身振り→言語への進化や発達を想定してるようだけど、有力仮説の一つでしかない。背景にある知識も問うてるの?これ
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