バーナード・スーツ『キリギリスの哲学』レジュメ的な、そうでもないような何か-前篇

難題の預言者、悉若無＠いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

Bernard Suits『キリギリスの哲学』内容ちょっと纏め 時間つぶしとも言う 尚、カラーパイの時にプリズムで喋った「黒はスーツ的じゃないんじゃないか」言説はメモ帳に取ってある。お頼みされたらいつでも紹介できるようにしてある。

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前スーツの哲学をカラーパイに持ちこんだらプチ盛り上がったんで、自分なりにおさらい。 これから読む人や読みたいが図書館などにない人のために紹介。ある程度ここで議論できるように持ち込みやすく書いてみる

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バーナード・スーツ「キリギリスの哲学」(和訳はナカニシヤ出版)とは？ ・ゲームの定義について哲学した。 ・それを手掛かりに、「人生の本質はゲームプレイの他に無い」事を宣言した ・対話篇。キリギリスが議論をする物語形式。 ・この本の大元が出た年まだ電子ゲームはあんまり広まってない

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ってかこの本が出た同じ年にスペースインベーダーが生まれた

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全15章。構成として、1，2章で議題・問題を呈示したのち、3章～13章まで、ゲームの定義とその定義の批判的検討を行う。 14・15章でその定義を踏まえて、何故スーツ＝キリギリスはゲームプレイが人生の本質だと考えているのか、が提示される。 巻末に補論があるが、今日はその話はしない。

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この本はプラトンが書いた本の方式を真似ているため、対話編である。 3人(3匹)の登場人物が出てくる(彼らがたとえ話に出す人物を入れるともっといるけど、基本3匹)。

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①キリギリス アリとキリギリスのキリギリス。働く事を拒否しているが、それは彼が思索の上で至った真理に従って生きる為にそうしている。哲学的昆虫。2匹の弟子が居る。序章で死んでしまうが、本書の重大なテーゼとその謎を弟子たちに託す。

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②プルーデンス キリギリスの弟子の昆虫。キリギリスを師と仰ぐ。名前の意味は「用心深い」。 ③スケプティコス プルに同じだが思弁深い。キリギリスが元気だったころに、彼が述べたゲームプレイの定義をあらゆる角度から疑い、それを検討する。名前の意味は「思慮深い」。こっちは何故かギリシャ語。

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第【１】章：キリギリスの死 キリギリスが死ぬのを2匹の弟子が見舞いに来る。彼らはキリギリスに死んでほしくないので食べ物を持ってこようとするが、彼は拒否する。自分の使命として自分の哲学に従って死ぬ為、2匹の手を借りるつもりはないそうだ。

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キリギリスは自分の死を恐れる2匹の弟子が、自分が掲げた原則を、殉じるに値すると思っているけど実践できずにいると言ったうえで、死に間際、幻視していた夢の話をする。

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そこで、キリギリスは啓示を受ける…すべての人間は、実は仕事をしながら生きているようでいて、実際は偽装したキリギリスであり、やってる事はゲームプレイであるのだと言う啓示である。彼は夢の中で、それを全ての人間たちに説く。

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議論、問答によってその人間たちを納得させると、何故か人間たちは消えてしまうのだと言う。こうしてキリギリスは、すべての人間を議論で消滅させてしまう。彼は絶望する、命が世界からなくなってしまったと――――そしてまた(夢の中で)目を覚ますと、まだ命が生きてるのだと安心するんだという。

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彼はどうしてそんな説き伏せが成功するのか皆目わからない。しかし、この夢は何か恐ろしい物を含んでいるかもしれないと言って、幻視の内容を怖れる。 そういう感じの話をしている間に、キリギリスの体が下半身から冷えはじめ、死ぬ。

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【２】弟子たち 師の死を見送った弟子たちだが、スケプティコス(以降Sk)は、キリギリスが語った謎について熟考していた。プルーデンス(以降Pr)はその夢の何が謎なのか、Skに訊く。Skは話す⇒

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キリギリスは2匹に死ぬ前に怠惰に生きよと言い、ワークよりプレイこそが本質と言う。しかもただのプレイではなくゲームプレイこそが本質なのである。 なぜ、プレイなのか、しかも何故ゲームプレイでなければならないのか、その事が、Skにはわからないのだと言う。

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【概念整理】 プレイとは、それ自体で価値がある事をする事である。 ワークとは、他の何か価値があるもののためにする事である。 キリギリスはプレイこそが人生とは言っていたが、それはトロンボーンをプレイするとか、ではなく『何でもいいから何かをやる』人生の事である。

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キリギリスの夢から、Skが受け取った「謎」はこんがらがっていた。 ①人間たちの本質はキリギリスである。本質的にキリギリスである者が、ゲームのプレイヤーであらざるを得ないのはなぜか。 前①：そもそも「ゲーム」の定義とはなんであるか。

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①-１:何故彼らは自分がゲームプレイヤーである事を知らないのか ①-２:①を人間が知ると消滅してしまうのは何故か。 Skは、この夢は恐らくキリギリスが自分達に何か大事な命題を伝える為の語りだったと思っている。だからこの謎を解く必要がある、とPrに持ちかける。

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これをうけて、２匹は過去にキリギリスと議論した「ゲームの定義」の議論を精確に回想する(と言う形で、ゲームの定義に関する議論が展開される)。

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【３】定義の構築　１３章まで続く過去回想の始まり。 キリギリスはSkに、まずゲームプレイの定義を提供する。一旦Skは目を廻すが、キリギリスはパラフレーズしてそれを纏める。