宮台真司さんのつぶやき 自由主義むずし(2010-04-06)

宮台さんのブログにもまとめがアップ されていましたが、 http://ow.ly/1uWmb 作っちゃんたんでアップします。 ほぼならべただけですけど…
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宮台真司 @miyadai

米国政治思想は[共和主義=共同体的自己決定主義]と[自由主義=自己決定主義]の対立史だ。リバタリアニズムは前者だ。共同体が空洞化した昨今、共同体的自己決定主義を選ぶか否かが自己決定に委ねらる。だからこそ正義を、自由主義でなく共和主義の文脈で理解し直すべきだというのがサンデルだ。

2010-04-06 06:44:08
宮台真司 @miyadai

主著と言えるものは二冊だけ。『『リベラリズムと正義の限界』と『民主主義の不全感』。翻訳は前者のみですが、英語が読めるなら中身は後者が読みやすいですよ。RT @inukoya: @miyadai 宮台先生、はじめまして!サンデル先生のお勧め著書紹介してください。

2010-04-06 06:55:45
宮台真司 @miyadai

公文先生、先日はどうも。逆ではありません。リバタリアニズムとは人々に善性が宿るので、それ競合する政府の介入に絶対反対の立場。リベラリズムとは、人々が自由(機会の平等など)であるための条件を整えるべく政府が介入せよとの立場。@kshumpei えっ?なんとなく逆みたいだけれと…

2010-04-06 09:14:03
宮台真司 @miyadai

さらに言うと、リバタリアニズムは「善性を壞すな(国家懐疑)」なのに対し、コミュニタリアニズムは「善性を涵養せよ(パターナリズム)」であり、両方と対照的にリベラリズムは「善ではなく正」です。リバタリアニズム⇒リベラリズム⇒コミュニタリアニズムの歴史順です。@kshumpei

2010-04-06 09:14:32
宮台真司 @miyadai

「それと競合する」というのは、教会や家族やNGOの相互扶助と競合するという意味です。ちなみに教会や家族やNGOの背後に市民宗教(ベラー)があり、だから「小さな政府」でやれるのだというのが政治学の通説です。徹底して小さな政府に執るのがリパタリアンです。@kshumpei

2010-04-06 09:18:26
宮台真司 @miyadai

ちなみにこうした由来ゆえに、昔はリバタリアニズムとアナーキズムは同じ意味で使われていました。両方とも「国家を否定する中間集団主義」だったからです。ただ米国起源はアソシエーション(トクビリイズム)を、欧州起源はコミュニティを持ち出します。@kshumpei

2010-04-06 09:19:59
宮台真司 @miyadai

コミュニタリアンは国家の大きさにはインディファレントの場合が多いです。例えばウォルツァーは「国家を肯定する中間集団主義」で、強大な国家が共同体の共和を担保する責務を負うと考えます。だからネオコンたちの戦争支持声明に名を連ねました(起草したとの説あり)@kshumpei

2010-04-06 09:23:38
宮台真司 @miyadai

古典的自由主義はアダム・スミスに瞭然ですが、市場の自由の前提として道徳感情の共有を置きます。これをまんま継承したのがミルです。『道徳感情論』⇒『国富論』という理路です。RT @akita_kia: @miyadai リバタリニズムは古典的自由主義から派生したものですよね。

2010-04-06 09:27:07
宮台真司 @miyadai

自由主義の言葉の使い方次第。リバタリアニズムは古典的自由主義です。「米国」リベラリズムは古典的自由主義でなく「自己決定のための国家介入」主義で、リバタリアニズムの対極。「欧州」リベラリズムは古典的自由主義と近縁RT @akita_kia: リバタリアニズムは自由主義ではないと?

2010-04-06 09:30:57
宮台真司 @miyadai

だから「欧州」リベラリズムの今日的な姿が「補完性の原則」(米国の「共和主義の原則」と類似)なのです。「欧州」リベラリズムと「米国」リバタリアニズム&コミュニタリアニズムは共通して「共同体的自己決定主義」です。ただしコミュニタリアニズムはリバタリアニズムと違ってパターナリズムです。

2010-04-06 09:35:30
宮台真司 @miyadai

逆にいうとリバタリアンにとって共同体は、ハナ・アレントが『イェルサレムのアイヒマン』で述べたように、言葉の上で共同体を否定しようが、勝手気ままに振る舞おうが、否応なしに刻印されてしまう米国性とでも言うべきものになります。このあたりが日本人に全く理解されていません。

2010-04-06 09:38:05
宮台真司 @miyadai

僕の個人的見解を追加します。リバタリアンは、『イェルサレムのアイヒマン』的な自明性が崩れることで、多くの場合、リベラリズムではなく、コミュニタリアニズムに移行するだろうと思います。生活世界がもはや自明でない以上、〈生活世界〉を再帰的に創造・維持せよというふうになる。それが自然です

2010-04-06 09:41:43
宮台真司 @miyadai

ただし、〈生活世界〉を再帰的に創造・維持する段になると、自明性をもはや欠いているので、何を自明性とするかを人々に選択してもらわなければならなくなります。これが最初に述べた「共同体的自己決定(という前提)についての自己決定」です。93年のロールズの転向は一言でいえばコレです。

2010-04-06 09:43:56
宮台真司 @miyadai

「共同体的自己決定(という前提)についての自己決定」という概念が孕む無限退行や再帰性に敏感なのが、パターナルな感情教育を主張するプラグマティスト・ローティです。こうして90年代半ば以降「頭のいいリベラル」は事実上コミュニタリアンと接合可能な図式に自己修正しました。それが僕の見方。

2010-04-06 09:46:44
宮台真司 @miyadai

つまり、今日では「頭のいいリベラル」と、頭のいいリバタリアンとしての「コミュニタリアン」とは、截然とは区別しがたくなっていると思います。その意味で、僕が「自己決定主義」から「共同体的自己決定主義」にシフトしたというのは間違いです。それは十年前から『M2』で繰り返し述べてきました。

2010-04-06 09:49:30
宮台真司 @miyadai

別の言い方をすると(『M2』シリーズでの言い方ですが)、共同体的自明性の揺らぎゆえに、「共同体的自己決定」は「自己決定」抜きにはあり得なくなったということです。こうした議論のさわりは、『自由な新世紀、不自由なあなた』(12年前)に書かれています。

2010-04-06 09:51:29
宮台真司 @miyadai

以上で述べたようなことは、数年前から僕のゼミやカルチャーセンター講義で繰り返し述べてきました。こうした現代政治哲学の最前線を知らずに「右だ」「左だ」とホザいているのは、単なる頓馬です(^_^)。ちなみにデイキャッチで述べた、twitter関与の最大動機は、いまやったようなQ&A。

2010-04-06 09:53:53
宮台真司 @miyadai

僕にいわせると、今述べたような政治哲学の流れは、普通に読書をしてくれば分かることだと思います。僕のような学者を含めて、「専門」といえば聞こえいいいけれど、読書範囲がとても狹いのではないかと思います。「専門」を理解したければ、学会での保身や昇進に役立たなくても、専門外を読みまくれ。

2010-04-06 09:56:31
某Y @sukuraia

ええと、そこら辺さらに詳しく教えていただけたらありがたいのですが RT @miyadai: そうです。RT @sukuraia: リバタリアニズムとは性善説の要素が強いのですね RT @miyadai: さらに言うと、リバタリアニズムは「善性を壞すな(国家懐疑)」

2010-04-06 09:54:17
宮台真司 @miyadai

その質問はよく受けます。一番良いのはクリント・イーストウッド監督の『許されざる者』以降の作品を全て見ることです。彼は米国では極右のリバタリアンを代表します。RT @sukuraia: ええと、そこら辺さらに詳しく教えていただけたらありがたいのですが

2010-04-06 09:58:29
宮台真司 @miyadai

彼の映画を理解するためのキーワードは、「不条理(に耐える力)」と「感染(をもたらす近接性)」です。「不条理を感染によって越えるしかない。感染を邪魔する障壁は国家であれ何であれ除去しろ」「国家のような遠隔でなく、家族や仲間といった近接を信じろ」というメッセージになります。

2010-04-06 10:02:27
宮台真司 @miyadai

パターナリズムに好意的かどうかが、コミュニタリアンとリバタリアンを分けると一次的近似では言えます。ただ二次三次に進むためには国家の概念化をどうするかがポイントです。RT @sukuraia: …国家のパターナリズムが人間や中間集団本来の善性を妨害する、という解釈で…

2010-04-06 10:05:47
宮台真司 @miyadai

米国は国家stateの集まりstatesを国家だと考えますので、コミュニタリアンでさえ多くはパターナリズムというとstate(州)によるものを考えます。ただ個個のstateによるパターナリズムを憲法に基づいて断固として守るべく連邦政府が機能せよというメタパターナリズムがありえます

2010-04-06 10:10:07
宮台真司 @miyadai

こうした発想は「国家を肯定する中間集団主義」の典型です。むろん州が中間集団というのではなく、共同体への段階的補完の最上位に国家を持ち出すという意味です。これが米国の共和主義ですが、欧州の「補完性の原則」の場合、米国の州が欧州の国となり、米国の連邦政府が欧州の国家連合となります。

2010-04-06 10:17:55
宮台真司 @miyadai

ぷっ。米国リベラリズムが一番括りやすいんだよ。多くの論者がロールズ『正義論』をたたき台にするからな。RT @o_tsuka: 「米国」リベラリズムなんて括りが無理あり過ぎ。RT @insiderivers RT @miyadai: 自由主義の言葉の使い方次第。

2010-04-06 10:20:00