編集部イチオシ

仮想世界で起こったパンデミック事件 Corrupted Blood incident(汚れた血事件)

@jinchangzさんがツイートした、2005年にMMORPG「ワールド・オブ・ウォークラフト」内で起こった事件の内容。ちょっとだけ話に聞いたことがあったけど、詳しい経緯は知らなかったのでまとめさせていただきました。 感染した人たちがどういう行動を取っていたか等知る良いきっかけになりました。ヤケ起こして感染拡大させるとか、無駄なことでもついやってしてしまう延命とか、じっと死を待つとか、現実でも同じことしそうだなと。野次馬感染はゲームならではの気がしますが。 ※デバフの秒数について、修正して注意書きを追加しました。 続きを読む
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この事件は2005年9月13日に発生し、運営による強制処置が取られるまで1週間続きました。

@jinchangz

汚れた血事件に以外と関心が多いらしくてちょっと解説 汚れた血事件、Corrupted Blood incidentとはwowで実際起きた伝染病事件であります この事件は先ず今日説明したハッカルと言うレイドボスのあるデバフから始まります

2018-01-03 21:40:27
@jinchangz

血神ハッカルのスキルでは「汚れた血」と言うスキルを持っていますが、効果は「10秒の間、毎秒200-250dを対象に与える。これに掛かった対象は隣の対象にもこのデバフを与える。解除不能」と言った効果であります pic.twitter.com/avtMZeRCR5

2018-01-03 21:40:28
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攻撃を食らったら3秒間、毎秒200~250のダメージを受け続ける状態異常。
更に毎秒技を食らったPC(プレイヤーキャラ)の近くにいるPC・NPC(ノンプレイヤーキャラ)にも同じ状態異常を感染させる上、ダンジョンから出ない限り解除できないという嫌な技。

※10秒は感染効果等を修正したパッチが当てられてからの秒数だそうで、当初はわずか3秒間の効果だったようです。

@jinchangz

当時の最終レベル基準で体力は凡そ5000-6000くらいだったので体力の25%をdotで減らす当時としては結構やばいデバフですよね だが基本的にダンジョン用技なので出ると消える仕組みであります だが、これにはちょっとした罠があり、それはハンターやウォーロックが持ってるpetにありました pic.twitter.com/Z4EydjJLFl

2018-01-03 21:40:28
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動物への感染・感染した動物の移動

@jinchangz

ハンター、そしてウォーロックはbattle petやminionと呼ばれるnpcと一緒に戦うと言うシステムを持っています このpet系列NPCは召喚と召喚解除と言うコマンドがありますが、ハッカルのデバフが掛かった状態のpetをそのまま召喚解除したユーザーがあったらしいです pic.twitter.com/B9Hi7jmq1n

2018-01-03 21:40:29
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@jinchangz

そして、それを違う場所でまた召喚するとなんと、デバフが掛かったままのpetが召喚される事になりました これにより、外に出ると解除されるデバフを外に持ち込む事が出来た訳です そして、偶然か悪意かは知らないが、この動物による伝染病を移動によりwowの大都市では悲劇が始まります

2018-01-03 21:40:29

人口密集地での拡散

感染した動物(ゲーム内でプレイヤーが召喚できる使い魔的なNPC)がダンジョン外に持ち出され、大都市へ。
街中にいる絶対死なないNPCによる無限ループ感染と、体力の低いPCの大量死に発展。

@jinchangz

元々は10秒くらいしか続かないdotでしたが、周辺にいる対象全部にdotを移すと言う効果により人口が密集している大都市であっと言う間に広まります そして、petと言うNPCにも掛かるデバフと言う事で街のNPC全体にもこのデバフは有効でありました

2018-01-03 21:40:30
@jinchangz

だが、基本的にNPCは戦闘状態では無い限り体力が大幅に回復する仕組みで体力もその拡張の最終レベルと同じくらいに設定されるのでデバフに掛かっても死にません つまりずっとそのデバフを持ってその場に立っている訳です だが、200-250dは体力が低い低レベルプレイヤーには直死レベルのdだったですね

2018-01-03 21:40:30

「ダンジョンから出る」が唯一の回復方法だが、ダンジョンにいない状態では当然「ダンジョンから出る」という行動は取れない。
このため、死ぬことでしか状態異常を解除できない。
死ぬ→その場で復活→近くのPCやNPCから感染→死ぬの無限ループに陥る人も

@jinchangz

それにより感染したプレイヤーやpet、NPCの側を移動していた低レベルキャラは理由も知らずに直死する訳です 高レベルキャラも大都市で変なデバフに掛かるし解除も出来ない訳であっという間にゲームで大混乱が訪れます だった10秒続く短いdotなのにも関わらず

2018-01-03 21:40:30

対処の遅れとテロによる感染拡大

運営による処置も追いつかず、パニック状態に。
愉快犯により別の都市まで感染が広がっていく。

@jinchangz

これにwowの運営は自体的な検疫を始め不具合に対するお知らせを出し、低レベルプレイヤーを待避させ、伝染した高レベルプレイヤーの移動を禁止します だが、混乱で話を聞かない人、復活する為死体がある場所で復活してまた掛かって死ぬ人、面白さや八つ当たりでわざと伝染し伝染区域を広げる愉快犯pic.twitter.com/Nn0G7bE5W5

2018-01-03 21:40:31
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※スクショの灰色部分はPCの死体(骨)

@jinchangz

挙句の果てには伝染のルーツを運営より早く見つけた天才的なプレイヤーによる伝染病の持ち込み活動と言ったテロ行為まで始まり、テロ犯による低レベルPの待避区域での生物テロ、他の都市に移動しまた同じ伝染病を蔓延させる色んなテロ行為が同時多発的に行われる事になります pic.twitter.com/DMRYujmDJK

2018-01-03 21:40:31
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運営によるゲーム停止処置

@jinchangz

これにより運営である鰤はサバーを閉ざすしか無くなり運営を停止し、バクの緊急fixを行い修正する事になります でも、この事件はゲーム歴史上初に伝染病が拡散した事件に記録されBBCなどの海外メディアに大きく扱われる事になります

2018-01-03 21:40:32

心理学・伝染病の研究に生かされる

伝染病の研究者や行動心理学者の目にとまり、論文にも引用される。

@jinchangz

そして、伝染病を研究する学者などはこの事件の伝染ルートが現実の伝染病、特に鳥インフル等と非常に似ている事から興味を持ったらしいです 動物感染→人口密集地域に感染原が移動→密集地域での拡散→耐性の低い弱い伝染者の大量死亡 とか現実のあれと似ており、非常に興味深いサンプルらしいです pic.twitter.com/t5uQD4Ya05

2018-01-03 21:40:32
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@jinchangz

そして、この伝染病の蔓延による人の行動は行動心理学者の興味を刺激して、生物兵器テロやエイズに対して人が示す行動原理にとしても研究されたらしいですね 結果この事件を引用した幾つかの論文が出る事になります 上の伝染経路に対する画像もその論文の内容だとかw 面白いですね

2018-01-03 21:40:33
@jinchangz

この混乱では悪意あるプレイヤーのテロ活動だけあった訳では無く、無駄なのに人助けの為ずっとヒールや解除魔法を続いて死ぬ事を防ごうとするヒーラーや、仲間の死で待避しないで仲間の周りをずっと回るプレイヤー解除不能と知り伝染者同士に集まり静かに死を待つ人とか色んな事があったらしいです

2018-01-03 21:47:32
@jinchangz

twitter.com/jinchangz/stat… ハッカルに対してはこちらをどうぞ

2018-01-03 23:40:24
@jinchangz

パッチ1.7 血神の目覚め Rise of the Blood God 昔、アタル・ハッカル神殿の廃虚からソウルフレイヤー・血神ハッカルの信心深き司祭達によるこの悪神の降臨儀式が誰にも知らずに行っていた だがアタライ司祭達は古代グルバシーの都ズルグルブでは無いと完全な降臨には至らない事をしる pic.twitter.com/vBfikYdTfC

2018-01-03 12:36:25