春田さんは博識4

ドルフロ妄想怪文書
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アグラ @Agura_DC

ドルフロ妄想怪文書を投下する!

2018-11-23 22:05:51
アグラ @Agura_DC

揮官「正射必中という言葉を知っているか?」 春田さん「はい、正しい動作で射られた矢は必ず的に中るという意味ですね」 指揮官「正解だ。ところで戦術人形は同じ射撃姿勢をどれくらいの精度で、何度まで再現できる?」 #ドルフロ

2018-11-23 22:06:45
アグラ @Agura_DC

春田さん「何度でも寸分違わずできますが、誰もやらない。といったところでしょうか。なぜそんなことを?」 指揮官「各人形の訓練における命中率のデータが届いたんだが、毎日無視できないばらつきがある。」 春田さん「あら、手を抜いているとお考えですか?」 #ドルフロ

2018-11-23 22:07:52
アグラ @Agura_DC

指揮官「そうは言わん、ばらつきの理由を知っておきたいだけだ」 春田さん「正射必中はあくまで心構えに過ぎません。それはお分かりですね」 指揮官「当然だ。いくら射手が完全に同じ動作を再現したところで、そのときの温度、湿度、風向、その他の条件が異なれば得られる結果も異なる」 #ドルフロ

2018-11-23 22:09:21
アグラ @Agura_DC

春田さん「はい、戦場では特にそうですね」 指揮官「だが、諸条件が適切に管理された屋内演習で命中率がばらつく理由にはならんよな」 春田さん「それならば簡単なことです、ばらつくだけの理由があるということですわ」 #ドルフロ

2018-11-23 22:10:36
アグラ @Agura_DC

指揮官「聞かせてくれるか?」 春田さん「ええ、もちろん。繰り返しになりますが、私達は定められた射撃姿勢を何度でも完全に再現することができます」 指揮官「だが敢えてやらないと言ったな」 #ドルフロ

2018-11-23 22:11:17
アグラ @Agura_DC

春田さん「はい、いわゆる正射……の姿勢を取れば、自然と得られる結果はかなりの精度で予測できます。これは現行の戦術人形なら誰でもできます」 指揮官「鉄血もか」 春田さん「調べようがないので確実ではないですが、できていると見るべきですね」 #ドルフロ

2018-11-23 22:12:28
アグラ @Agura_DC

指揮官「……第二世代の戦術人形は離れた位置でも銃口の向きを感知できる、とは聞いたことはあるが」 春田さん「どこまで感知できるかは個々の人形次第ですが……例えば熟練したサブマシンガンの人形ともなると敵味方の銃口と射線が手に取るようにわかるそうです」 #ドルフロ

2018-11-23 22:13:36
アグラ @Agura_DC

指揮官「まるでガン=カタだな、その人形は被弾知らずなんじゃないか」 春田さん「そうはいかないようです。実際に被弾するところも見ていますから。ところでガンカタ……とはなんですか?」 #ドルフロ

2018-11-23 22:14:20
アグラ @Agura_DC

指揮官「古い映画に登場する架空の武術というか戦闘理論だ。相手の銃口の向きを察知し、弾道を予測し、自身を安全な領域に置いて、接近ないし攻撃する」 春田さん「まさに、机上の空論ですね」 #ドルフロ

2018-11-23 22:15:13
アグラ @Agura_DC

指揮官「その通りだ、スクリーンの中でしか再現できない理想論に過ぎない。だがこの前半部分を戦術人形は達成し得るわけだ」 春田さん「はい」 指揮官「ではなぜ実戦の場で戦術人形は被弾してしまうのか」 #ドルフロ

2018-11-23 22:16:02
アグラ @Agura_DC

春田さん「そうですね……では一つ、六面の賽があったとしましょう」 指揮官「あるとしよう」 春田さん「一から六の数字が出る確率は『同様に確からしい』です」 #ドルフロ

2018-11-23 22:17:07
アグラ @Agura_DC

指揮官「懐かしい響きだ、数学の講義が始まるのか?」 春田さん「人形に学問の見識なんてありませんよ。あるとすればそれは、雑多な知識の集積です。さて、この賽をふるためだけに作られた精密なロボットアームがあります」 指揮官「まあ、あるとしようじゃないか」 #ドルフロ

2018-11-23 22:18:23
アグラ @Agura_DC

春田さん「賽の目が出る確率を確かめるためにロボットアームは全く同じ動作で……そうですね、百万回賽をふります。このとき必ず一の面を上にしてふるようにします」 指揮官「では各部品の摩耗などは無視できる要素としたほうが良さそうだな?」 #ドルフロ

2018-11-23 22:19:12
アグラ @Agura_DC

春田さん「うふふ……何度ふってもアームは同じ目を出し続けます」 指揮官「正射必中か。確かに賽の目程度なら人間にもできる、最新技術の塊である人形にできないはずがないのか」 春田さん「私たちが正射を用いるのは、今からここに撃ちますよと自ら喧伝するのと同じことなのです」 #ドルフロ

2018-11-23 22:20:54
アグラ @Agura_DC

指揮官「無作為化か」 春田さん「ええ、つまり戦術人形の射撃には二つのモードがあるのです。性能試験をするための、いわゆる正射モードと」 指揮官「実戦で、相手の予測を無意味にするためのランダムモードか」 春田さん「はい。戦場で正射を行う人形はほぼいないといっていいでしょう」 #ドルフロ

2018-11-23 22:22:12
アグラ @Agura_DC

指揮官「射撃訓練の意義を考え直す必要がありそうだな」 春田さん「いえ、その必要はないかと。指揮官はなんの訓練もなしに賽の目を操作したり予測したりできるわけではないですよね?」 指揮官「できないな」 #ドルフロ

2018-11-23 22:23:04
アグラ @Agura_DC

春田さん「その予測不能な要素が、戦場では必要なのです。そして不確かさ……揺らぎ……そういったものがどれくらいの範囲で存在するのか。私たちが自ら把握するには数多くの試行を重ねるしかないのです」 #ドルフロ

2018-11-23 22:24:07
アグラ @Agura_DC

指揮官「鉄血のクソを千体並べて戦場を銃弾で埋め尽くすほうが……最終的な弾薬の消費は少なくなりそうだな」 春田さん「人間がそう考えた結果が、今日の状況ですよ」 #ドルフロ

2018-11-23 22:24:50
アグラ @Agura_DC

指揮官「分かっているさ。だが、ほんの少しでもいいからこちらの懐具合のことも考えてからトリガーを引いてくれればいいと、指揮官として考えてしまうのが人情というものだ」 春田さん「それは可能ですが……無用な雑念が入れば余計に射は乱れてしまうのが道理というものでしょう」 #ドルフロ

2018-11-23 22:27:27
アグラ @Agura_DC

指揮官「ああクソ……では戦術人形さんたちには無心で戦闘と訓練に取り組んでもらうほうがよさそうだ。我らが麗しの後方幕僚様にどう取り入るかは、自分で考えるとしよう」 春田さん「うふふ、それがよろしいかと」 #ドルフロ

2018-11-23 22:28:41