@machidamegane によるファイナルロマンス夜話
ファイナルロマンスという麻雀ゲームが、かつてゲーセンにあった。新宿には、対戦が成り立つ環境が多く。僕は、苛酷な戦いに身を投じていった…… 「常連」は皆、オヤジ。学生なぞ、僕以外にどれだけその場にいたのだろう。
2011-04-26 23:21:36ファイナルロマンスの基礎は、「三局の戦いの中で、三局目にデカい手を和了って勝つ」→「つまり、役満」→「確実なのは四暗刻」→「そのためには、アイテムを手に入れる」→「一局、二局目でわざと負ける」といいきれる。
2011-04-26 23:28:18何故、最初負け無くてはいけないか。それは、不利な状況だと強力なアイテムをもらえるからだ。その中で抜きんでて輝いているアイテム。それが、「クリスタルリーチ棒」だ。この棒は、ひどい。恐ろしい。
2011-04-26 23:31:34「クリスタルリーチ棒」がひどい理由。それは、必ず一発ツモで和了れるという能力。さらに言えば、「ツモれる」という事。そう、「ツモ」が約束されているので、テンパイ形さえ整えれば必ず四暗刻になる。役満で確実に相手を殺すためのロードマップが見えただろうか。
2011-04-26 23:36:26相手が、クリスタルリーチ棒を使用する場合、基本的には「死」が見える。しかし、必ずしも四暗刻とは限らないので、必然のあがきとして「鳴き」をいれる。上手く行けば、「一発」の役が消える事でギリギリ勝つけともあるからだ。だから、全力で鳴く。
2011-04-26 23:41:10クリスタルリーチ棒の恐ろしさはエフェクトでも十分に伝わる。深刻に重たい棒が、地にめり込み、稲妻が走り。理不尽な暴力がこれから振るわれる事が。明確に。
2011-04-26 23:43:37対戦を繰り返し、決して会話する事も無く、だが互いに認識しあっていた「彼ら」と僕。それが、ある戦いの中で緊張に綻びを起こし、不思議な友情を確かめた時があった。クリスタルリーチ棒が紡いだ。
2011-04-26 23:47:26接戦の勝ち負けを繰り返し、緊張が高まった対戦の果て。僕は、狡猾にもクリスタルリーチ棒を手に入れ最終局を迎えた。しかし、経験でわかっていた。相手のテンパイ速度に遠く及ばないと。負けたく無い僕に、非道の閃きが走った。
2011-04-26 23:51:20クリスタルリーチ棒、投下。しかし、その時の浦田の手、バラバラ…… だが、クリスタルリーチ棒のエフェクトとアニメーションだけは走った。このゲーム、ノーテン状態のリーチになんら罰則が無く、エフェクトとアニメーションだけ発生するのである。
2011-04-26 23:54:17僕は。そしておそらくは彼も。現実世界でも麻雀を打つ。だから、罰則があろうがなかろうが、テンパイしていないのにリーチを宣言するなんて身体が、心が許さない。できない。 ……でも、僕は、たとえ電子ゲームの上の事だとしても。やってしまった。
2011-04-26 23:56:53鳴いた相手のとまどいがわかる。クリスタルリーチ棒を出したのに、ツモが続く。クリスタルリーチ棒は不成立とされ、また僕の手元に戻る。鳴いてしまった相手には、もう手は入らない。ゆったりと手を僕はすすめ、再び死刑を宣告し、即座に執行した。
2011-04-27 00:00:31たゆたった状況が、僕の雀士としてのプライドを汚させた。対価は、ひと時の勝利。だが、「彼」は。僕に近づき、具体的な言葉は忘れたが。健闘を讃えてくれた。褒めてくれた。笑ってくれた。
2011-04-27 00:07:07それ以後、めっきりファイナルロマンス対戦はしなくなった。新宿ファイナルロマンス界最高の状態を体験したと確信したからだ。次にゲームにハマるのは、しばらく後、バーチャファイター3まで待つ事になる。
2011-04-27 00:10:23ファイナルロマンス対戦がどれだけ世界で盛んだったのかは、わからない。そもそも、それが高度な戦いと言うに値するものかも謎だ。だが、新宿で。あのゲームがなんらかの精神的な高みに連れていってくれたのは確かだ。……思い出してみたよ、久しぶりに。
2011-04-27 00:14:53