rsbs日誌#50

艦これ二次創作SS。 胡散臭い女提督と脛に傷持つ艦娘たちの狂った御伽噺なり。 一部性的表現並びに残虐的表現を含むため未成年の閲覧を禁ず。 ブルーバード
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イブキ(かはたれどきの魔女) @r_s_b_s
#rsbs日誌 ―――もしも機械に思いが届くのであれば、私は喜んで機械に魂を授けよう―――
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#rsbs日誌 ……執務室のタイプライターが独りでにパチパチと文字を刻み始めた。チーンと言う小気味よい改行のベルが鳴る。その有様は不気味でもあったし、とても不思議な物にも見えた。ロール紙がゆっくりと吐き出されていく。スタンプされた文字を綴って。
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#rsbs日誌 ―――…南洋の海の果てにある鎮守府…俗称、レズボス鎮守府の工廠には、何時もニコニコと楽しげに働く夕張が居る。何故彼女がこの海の果てにある鎮守府へとやってきたのか。これはその物語りである。…―――
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#rsbs日誌 あくる日の事、比良坂は日本本土の技術交流会へと呼ばれた。だが然し、比良坂の発明した兵器群は本土の提督達からは悉くが失笑を買った。比良坂は酷く憤慨した。怒りの余り交流会の会場の扉を蹴破る程に。ぷしゅぷしゅと頭からは蒸気さえ噴出していたと、その様子を見た人は言うだろう。
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#rsbs日誌 宛らまるで蒸気機関車か、蒸気エンジンが歩いているかの様だった。「何が悪いと言うのだ。グレネードランチャー方式の爆雷投射着や、フレシェットを参考にしたヘッジホッグ爆雷の何が悪い。対近接様炸薬式パイルバンカーや駆逐艦艦娘用のガトリング砲の何が悪い。全く頭の固い奴らめ」
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#rsbs日誌 比良坂はそれら兵器群の図面の入った図面ケースで肩をとんとんと叩きながら愚痴を零した「全部だぞ。ウチの艦娘が欲したから。わしが作ったに過ぎん。艦娘からの要望に素直に応えたに過ぎん。それの何が悪いと言うのだ!」比良坂は宛ら自分の艦娘を馬鹿にされた様な気分であった。
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#rsbs日誌 ブツクサと文句を零しながら、今すぐにでも艦砲射撃でこの技術交流会の会場を吹き飛ばしてやりたい等と危険な考えを巡らせて曲がり角を曲がった途端、比良坂はどんっと何かにぶつかり尻餅をついた。「おわっ」「きゃぁっ」それはそれは随分と可愛らしい声が聞こえた。
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#rsbs日誌 「いたたた…はっ!御免なさい提督さん!私の不注意で…あわわわ…」「何、構いやせんよ。こちらも不注意だった故な」可愛い声の主は実験型軽巡洋艦の夕張であった。必死になって散らばった書類をかき集める様は何処か愛らしさを感じさせる。比良坂は書類集めを手伝った。その時だ。
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#rsbs日誌 視界の中に面白げな図面があった。『ユ式高速飛行機』と名付けられた図面が。「わぁっ!み、見ないで下さい!恥ずかしい!」マジマジと見つめられていた事に気が付いた夕張は顔を真っ赤にしながら図面を取り返した。然し比良坂の反応は違った。寧ろ技術交流会よりも楽しげでさえあった。
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#rsbs日誌 「いや、内を恥ずかしがる必要があるのだね。わしが見るに手堅い設計の様に思う。後退翼を持ったトラクタ型の飛行機。揚力点と重量中心点さえバランスが取れていれば、良いスピードが叩きだせる事だろう」そう言いながら、比良坂はポリポリと顎をかいた。まるで何かを思案するかの様に。
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#rsbs日誌 「どうかね?ひとつワシとお茶でもせんか。夕張よ」「……口説いてるんですか?」「馬鹿言え。ティータイムである。若しくはコーヒーブレイクでも良い。それで、どうかね?」夕張は恐る恐る頷き、比良坂の後ろを付いていった。どうせ自分ははみ出し者だし、問題無いだろうと思いながら。
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#rsbs日誌 会場の駐車場に止めてあった銀色のポルシェは、主を今か今かと待ち惚けていた。そして比良坂の姿を見るや否や、エンジンを目覚めさせ、まるでお抱えの運転手が主を迎えに来たかの様に、目の前で停車した。そしてゆっくりとドアを開く。その様子に夕張は酷く驚いた。恐れたと言っても良い。
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#rsbs日誌 「な、何なんですかこのポルシェ!?勝手に動きましたよ!?」その驚きように比良坂はクックッと笑い、ポルシェ901は憤慨する様にぷしゅぅ。キャブレターを鳴らした。「ほれほれ、怒るな怒るな。驚かせたお前さんも悪いんじゃぞ?」比良坂は優しくルーフを撫でてやった。
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#rsbs日誌 撫でられたポルシェはまるで頷く様にサスペンションを緩く上下させた。そんな様子を目の当たりにした夕張は、驚いた事に何処か申し訳なさを感じて、ポルシェへと謝った。「えっと…ごめんね?吃驚しちゃって…貴女みたいなポルシェ、初めて見たから。ごめんなさい」夕張は丁寧に謝罪した。
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#rsbs日誌 謝るや否や、ポルシェは「パッパッ」と小気味よいクラクションを短く鳴らした。気にするな。とまるで言っているかの様に夕張には思えた。「さて、此処でコントをやっている時間は無い。乗るが良い、夕張よ。ティータイムに出かけなくてはならんのだからな」そしてポルシェは走り出した。
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#rsbs日誌 銀色のポルシェは緩やかなワインディングを通り抜け、静かな喫茶店へと駐車した。見るからに穏やかで、まるで此処だけが別世界の様な、そんな落ち着いた佇まいの喫茶店だった。比良坂は珈琲を頼み、夕張は紅茶を頼んだ。暫くして、注文の品が届く。緩やかなティータイムが其処にはあった。
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#rsbs日誌 「あ、さて」比良坂は切り出した。「では聞かせて貰おうか?お前さんの飛行機の話を」紅茶を飲みながら、最初はもじもじとしていた夕張も、ゆっくりと話し始めた。「何時だったかなんて覚えて居ないんです。でも一つだけハッキリと覚えてるんです。白い飛行機雲を残して青い空を飛ぶ姿を」
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#rsbs日誌 「それは何よりも鋭く、何よりも速く、何よりも美しく飛んでいく飛行機の姿を。それに魅入られちゃって…自分でも、飛行機を作りたいって思って。だけども私は…私は、所詮ただの軽巡洋艦でっ…空母なんかじゃなくって…」少女の言葉に嗚咽が混じり始めた。比良坂は察した。痛々しい程に。
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#rsbs日誌 「たかが軽巡洋艦が飛行機を作りたいだなんて、馬鹿馬鹿しいって周りから笑われ続けて…!」夕張が語り終える頃には彼女の目には大粒の涙がボロボロと零れ落ちていた。まるで大雨の様に。比良坂はそっとハンカチを差し出してやり、涙を拭った夕張はその後、遠慮なくハンカチで鼻をかんだ。
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#rsbs日誌 「ずびばぜん…こんな話を聞かせて」夕張はばつが悪そうにそう答えた。「いいや構わん。お前さんの気持ちはよぉく分かった。そこでだ」比良坂はニヤリと哂いながら用件を切り出した。「わしの鎮守府に来ないかね? 飛行制限も何も無い、自由な場所ぞ」比良坂の言葉に夕張はポカンとした。
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#rsbs日誌 「それに仲間も居る。飛行機が大好きな、空を飛ぶのが大好きな奴らが。そこで思う存分、飛行機を作ればいい。お前さんが為したいがままに」余りにも魅力的な提案。それは宛ら悪魔の囁きの様でもあった。しかし夕張は困惑する。「で、でも私…中央勤務だし…」悲しい現実があるのだ。所が…
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#rsbs日誌 「嗚呼、それならもう移動届を出してきた」「は…?」突拍子もない比良坂の言葉に夕張は間抜けな声を出さずには居られなかった。彼女は、比良坂は微塵たりとも自分の目の前から離れていない筈。だと言うのにもう書類は提出したと彼女は言ってのけた。一体どうやってこんな事を為せたのか?
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#rsbs日誌 「ほれ。証拠の移動届の受理証。晴れてお前さんは詰まらん奴らから離れられる」ニシシとばかりに比良坂は笑って書類を差し出した「……本当に、飛行機、作って良いんですか?」夕張の問いに、比良坂は答えた。「おう。資源の無駄遣いをしない限り。好きなだけ」心配そうに、言葉を連ねる。
イブキ(かはたれどきの魔女) @r_s_b_s
#rsbs日誌 「こ、壊しちゃったりするかもしれませんよ?」素直な気持ちを伝える「失敗は成功の母とも言うだろうに」それがどうしたと比良坂は言う。「迷惑だって、かけるかも…!」怖がるように呟いた。「100人以上の艦娘を相手にしとる。始末書なんて毎日出てくるぞ。御託はもう良い。だから…」
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