茂木健一郎さんの「市場のメカニズム」
- toshihiro36
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市場(1)世の中にはさまざまな「!」があるが、みな、市場という荒波の中でもまれている。市場が求めなければ、退場するしかない。そのことを、しみじみ、味わい深いことだと思う。
2011-04-30 07:41:31市場(2)集英社の少年ジャンプは、毎号アンケートをとって人気を測っている。落ちた漫画は、退場。どんなに理想論を説いても、市場がなければ仕方がない。もちろん、市場以外の表現の場もあるが、そこに留まる愉しみも必ずあるはずだ。
2011-04-30 07:42:46市場(3)スタジオでタレントたちの顔を見ると、みなどこか緊張感を持っているのは、需要がなければ退場しなければならないという、メカニズムをみんな知っているからだろう。何も保証などありはしないのだ。
2011-04-30 07:44:01市場(4)『生きて死ぬ私』の原稿を書き上げて編集者に持っていった時、「うーん。これが、五木寛之さんだったらいいんですけどね」と言われた。「脳」といったタグのついていない、人生論エッセイの市場についての、厳しい現実。この本が生き残って文庫にもなったのは一つの奇跡だ。
2011-04-30 07:45:32市場(5)世間にはさまざまな商売があり、職業がある。そのどれもが、市場の需要がなければ退場しなければならないのだと考えると、しみじみと味わい深い。みんながんばっている。そして、市場の荒波と独立した価値があるはずだという思いを封印している。
2011-04-30 07:46:38市場(6)もっとも、政府に関わる事柄だけは市場と関係がない。だから、無駄も生じるし、弛緩した空気が流れる。市場にもまれている人たちは、どんな仕事をしている人たちでも、きびきびとしている。権益にまもられている人たちの顔は、どこかしなびて、淀んでいる。
2011-04-30 07:49:05市場(7)市場のメカニズムがすべてではない。たとえば、友人との関係は、市場とは関係がない。市場価値がないからこそ、愛する友の資質がある。一方では市場の荒波に飛び込む。一方では背を向けて、小さな花を見つめる。そんなバランスが大切である。
2011-04-30 07:50:34市場(8)若い時には、自分の思いを伝えるのが表現だと思っている。そのうちに、市場の穴を埋めることが大切だとわかってくる。そのうちに揺り戻しがくる。自分の思いと需要のバランスをとる綱渡りが、きっと唯一の道なのだ。
2011-04-30 07:51:58市場(9)市場のメカニズムは、ダーウィンの進化論に通じる、生命としての必要不可欠な存在基盤であり、一つの「原罪」である。いやでも向き合わざるを得ない。もまれるほどにかえって、市場とは関係のない小さなスミレの花が愛おしくなるのだろう。
2011-04-30 07:54:12