とあるブックのとある新兵のお話

今日生まれた幾千幾万もの錫の兵隊達。既に物語を始めた個体、物語が始まるのを待つ個体。 そしてこれは幾万の中のとある1体のお話 ところで名前メッチャ迷うよね。どうしよ
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童話に興味を持ったプテル(停止中) @manabuAschesama

継母どもを家から叩き出し、平穏になった私の家。両親も亡くなって独り暮らしになった。だがそれでも最近は少し賑やかになった。 家族同然の2羽の鳩、訳あってうちに住まわせているミクサ。そして…今回新たな居候がもう一人やってきた。 「…朝か。ミクサ、起きるんだ。ちょっと手伝ってほしい」

2018-12-12 09:55:48
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「んん……手伝う?」 「そうだ。この大きな鉄のハートがあるだろ。一緒に持ってくれ」 「ふあ…分かった」 「これをこの兵隊さんの背中に装着させるんだ。行くぞ」 「「よっこいしょ…っと」」 ウィーン… 「起動完了。おはようございます。アシェンプテルさん、ミクサさん」 「ああ、おはよ」

2018-12-12 09:59:38
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「それじゃ、早速3人で朝ご飯にしようか。いただきます」 「いただきます」 「……アシェンさん、これは必要な事なのでしょうか?」 「君は食事も可能だとアナスンからは聞いているが?」 「機能としては備わっています。ですが私の動力源には一切無関係な行動です。私は必要性をお聞きしたいです」

2018-12-12 10:03:46
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「必要性はある。食事による団欒。これも人間の営みだ。必ずしも必須ではないのだが、君にもこれに慣れてほしい」 「はぁ」 「アナスンはこう頼まれた。君に『心』を学ばせてほしいと。その食事機能も恐らくその一環で付けられた機能なのだろう。だから、な?」 「…承知しました」

2018-12-12 10:06:55
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心を教える…。漠然とした難しい事を頼まれたものだ。 アナスン…彼(彼女?)は何でもいいと言っていた。勉強でもいいし、なんなら遊ぶだけでも十分だと。 世話係を任された私はそれならと自分なりに色々教えてるが、反応が淡白で手応えを感じない。最初はこんなものなのだろうか?

2018-12-12 10:08:15
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「じゃあミクサ、この子と少し出かけてくる。留守番、頼めるか?」 「分かった。でもどこに行くの?」 「私は世話係だからな。次は教育係に任せてくる」 「うん、いってらっしゃい」 「…。」 「君、いってらっしゃいと言われたらな、行ってきますって返すんだ」 「了解。行ってきます、ミクサさん」

2018-12-12 10:11:26
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【イタリアの童話世界】 「おまたせ、待ったかジュゼ。いや先生?」 「茶化さないでよ。はぁ…教育係ってボクそんなガラじゃないのにさ」 「いいじゃないか。結構上手くやってるって聞いたぞ。今日も色々教えてやってくれ」 「よろしくお願いします。ジュゼさん」 「…まあ、今日もよろしく」

2018-12-12 10:14:54
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「じゃあジュゼ、また2時間くらいしたら戻ってくるぞ。あとは頼む」 「あっ待ってアシェン、今日はちょっと一緒に見ててくれない?」 「私が見てるとやり辛くないか?」 「そんな事ないよ。ねえねえいいでしょ?見てるだけでいいからさ」 「まあそうしてほしいなら別に構わないが」 「ん、ありがとね」

2018-12-12 10:16:41
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(見晴らしのいい丘だな。外で授業するのか) 「じゃあ今回の話なんだけど…えっとね、オトナの言う事はちゃんと聞いた方が良いよ」 「…。」 「何でかって言うとね…あっその前に悪いオトナもいるからそういうのは聞いちゃダメ。良いオトナの言う事を聞かないといけないって意味」

2018-12-12 10:20:46
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「えっとね…良いオトナはちょっとうるさいけどボクらの心配をしてくれて言ってくれてるんだ。だから…あぁ〜、言う事聞いた方がいいよ」 (むぅ…恐らく事前に考えていた言葉が緊張で飛んだようだな?) 「五月蝿いとは否定の言葉です。五月蝿い大人は悪い大人なのでは?」 「えっ?あ、それは違うよ」

2018-12-12 10:23:13
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(予想外の質問で完全に頭の中が飛んだな…最初に言いたかった理由も結局言えてない) 「あぁ〜…だから、その、どうしよ、何から言えば…」 「ジュゼ、一度落ち着こう」 「アシェン…」 「大丈夫だ。言葉が詰まる時もある。そうだな。分かりやすく筋道を立てて…ジュゼの経験から話すのはどうだ?」

2018-12-12 10:26:38
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「…うん、もう一回やってみる。ねえ、ここの丘、あるでしょ?」 「はい、良い景色の丘です」 「この丘は『奇跡の丘』って言われていてね、ここに金貨を埋めると金貨のなる木が生えてくるんだ」 「…?」 「そこは嘘だぁ〜って否定するとこだよ」 「…嘘だぁ〜(CV:悠木碧)」 「サンキューサンキュー」

2018-12-12 10:29:42
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「そう。普通ならすぐ分かるよね。でもボクは…騙されちゃった。悪いキツネと猫に」 (ほう、原典のエピソードだな。ピノッキオは見世物小屋の親方から貰った金貨を騙されて埋めてしまう。そして埋めた金貨はまんまとキツネ達に盗まれてしまうのだ) 「ジュゼさんがですか?」 「そ。バカだよね」

2018-12-12 10:30:18
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「…ですが、知らなかったのなら仕方の無い事だと思います。私だってまだ何も知らない」 「ありがと。そうだね。知らなかった。でも知らなかったでは済まない事もこの世にはあるんだ。ボクの取られた金貨だって返ってこなかった」 「…。」 「だから…良いオトナの言う事は聞かないといけない」

2018-12-12 10:35:14
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「お父さん、コオロギさん、見世物小屋の親方さん、ボクの周りには良いオトナが沢山いて、正しい事を言っていた。でも…うるさかったから無視してたら、そんな事になっちゃった。 だから…そうならないよう、良いオトナから学ばないといけないんだ。バカなままだと悪いオトナに利用されちゃうから」

2018-12-12 10:39:57
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Q.良い大人にラ・ファータさんは含まれないの? A.プテル「それで合ってるぞ。キツネ達に騙された時点ではピノッキオはラ・ファータ先生にまだ会ってないのだ。だから含まれない(細かい)」

2018-12-12 10:45:21
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「……ボクの言いたい事、おしまい。どうだったかな?」 「うん、良いじゃないか。私も聞き入ってしまったぞ」 「へへっ、そうかな」 「了解。よく憶えておきます」 「…うん」 「…はい」 「…な、なんか反応が淡白だなあ」 「まあこういうのはあくまで心構えだからな。すぐに変化は出ないさ」

2018-12-12 10:45:37
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「はぁ…さっきはありがと。アシェンのお陰でいつもより上手く喋れたよ」 「私は最初のヒントを出しただけだ。あの言葉はお前の経験から出たものだぞ」 「へへっ。でも教えるってちょっと怖いな。間違った事を言っちゃうかもしれないから」 「私に見ててほしいと言ったのはもしかしてそれが理由か?」

2018-12-12 10:49:22
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「まあそうだな。私だって童話解説やってるが、たまにそう思う事もある」 「アシェンも?」 「そうだ。というか間違ってるのを指摘された事もある。私とマスターなんかよりも詳しい人は大勢いるのだよな」 「そんなもんなの?」 「でも素晴らしい童話の数々を皆に伝えたい。そう思って続けている」

2018-12-12 10:50:55
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「ジュゼはどうだ?伝えたいって気持ちもあるんじゃないか?」 「うん。あの子はなんだか他人の気がしない。だからボクが『あの冒険』で学んだ沢山の事を伝えてあげたい。ボクみたいにならないように」 「その意気だ。その気持ちさえあればお前はきっと良い先生になれるさ。あの子も分かってくれる」

2018-12-12 10:54:25
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「…ところでアシェン、あの子なんだけどさ、大丈夫なんだよね」 「大丈夫って何がだ?」 「あの子…『アイツ』なんだよね」 「……ああそうだ。記憶は完全に無いが、たしかに『アイツ』だ」 「大丈夫なのそれ。ボクも人の事言えないけどさ。闇に呑まれたりしない?」

2018-12-12 11:00:10
童話に興味を持ったプテル(停止中) @manabuAschesama

「『そうならない』ように私もお前も頑張ってるんじゃないか。大丈夫だって。その為にマスターもお前に教育係の『仕事』を任せてるんだ。お願いじゃないぞ。仕事だ」 「うん、お給料も貰った…」 「是非ともジュゼに頼みたいと名指しだったのだろう。じゃあ最善を尽くさないとな」

2018-12-12 11:00:55
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(ピノッキオはゼペット爺さんを助けた後、ついに心を入れ替えて仕事に励み、生活費と治療費を稼ぐのが原典のお話。これがその仕事か。あの男どれだけ原典に拘るのだ…) 「そういえばアシェン、あの子って機械だから整備するんでしょ。ウチでやるよ?」 「ウチってゼペット氏か?まだ絶対安静だろう」

2018-12-12 11:03:44
童話に興味を持ったプテル(停止中) @manabuAschesama

「それがお父さんさ、最近いつもいつも仕事をさせろ〜ってうるさいんだよ。お医者さんには寝てろって言われてるのに」 「あの人巨大ザメの腹の中に2年いたのだろ?衰弱しきって動きたくても動けないくらいだと思うのだが」 「職人だから」 「職人だからか」 「ガテン系だし」 「ガテン系だからか」

2018-12-12 11:08:04
童話に興味を持ったプテル(停止中) @manabuAschesama

「困ったな…あの子はまたワンダーランドの機密事項だからメンテも身内だけでやりたいのだ。…待てよ、あの子の銃があった」 「銃かぁ。それならリハビリにも丁度良いかも」 「明日があの子の念願の出撃だからな。万全を期す為に一つ頼めるか」 「任せて!まあやるのはお父さんだけど」

2018-12-12 11:13:01