シンガポールの並行輸入

シンガポールの商標、著作権、特許と並行輸入の関わりに関して。
1
yosuke tanaka @yosuke__

商標権や特許権を持っている人が並行輸入品を止められるのかという話。シンガポールは割と並行輸入には寛容。安い商品が入ってきて競争があるのは消費者にとって望ましいことだから。

2011-04-02 11:38:49
yosuke tanaka @yosuke__

でも権利者から見ると並行輸入は嬉しくない。例えばquality controlができない。国ごとに甘さを変えるなどのカスタマイズをしている場合(例えばマイロの甘さはシンガポールとマレーシアで違うらしい)消費者に悪い印象を与えるかもしれない。そもそもただ乗りして儲けるとはケシカラン

2011-04-02 11:48:51
yosuke tanaka @yosuke__

WTOの知的財産に関する取り決めであるTRIPS協定では並行輸入に関して何も書いてない。そんな訳でminimum standardがなく、各国で勝手に決める。シンガポールには商標、特許、著作権、意匠、レイアウトデザインのそれぞれで一応輸入を規制する法律がある。条件付きだけど。

2011-04-02 12:13:55
yosuke tanaka @yosuke__

商標と関連して、商標登録しなくても保護されるpassing offなる仕組みがある。トレードマークが有名である、問題の商品が誤解を招いている、損害が発生している、の3条件が揃えば適用される。誤解とは、出所の混同、または品質の誤認。これを並行輸入に当てはめてみようという流れ。

2011-04-02 12:23:29
yosuke tanaka @yosuke__

並行輸入のpassing offの場合、大抵有名な商品だし、損害の発生も証明できるから、誤解の有無が争点となる。そこでケーススタディー。シンガポールでは判例がないので英国のをお勉強する(よくある)。revlon flexというシャンプーをUSからUKに持って行って販売はOKか?

2011-04-02 12:38:15
yosuke tanaka @yosuke__

まず出所の混同。USのrevlon本社とUKのrevlon支社は別だから混同が起きてると主張するが、消費者はrevlonとしか認識しないから混同なし。次に品質の誤認。anti-dandruffシャンプーって言っても似たようなもんだろ。そもそも成分表見れば良し。という訳で棄却。

2011-04-02 12:49:52
yosuke tanaka @yosuke__

次のケース。colgate歯磨き粉。ブラジルのcolgate社でナイジェリア向けに作ってるやつにはchalkが入ってる。イギリスで販売されているものにはシリカが入ってる。ナイジェリア向けのをUKに持ってきて売るのはOKか?どっちもcolgateグループだから出所の混同はなし。

2011-04-02 13:04:43
yosuke tanaka @yosuke__

品質に違いがあるので並行輸入を認めないという判決。これも成分表見ればいいんじゃないのと思ったがそういう判断はしないらしい。シャンプーの成分表は見るけど歯磨き粉の成分表は見ない英国法廷。ちなみに国外での販売を禁ずるなどの文言は、考慮されないらしい。契約法には絡むかも。

2011-04-02 13:10:27
yosuke tanaka @yosuke__

SGのケースはスタンダードじゃないな。自動車のパーツ関連で2件あり。Remusというexhaust pipesに関して、自分が独占販売権を持ってるぞ、勝手に売るのはtortに該当すると言ったら、裁判所にそんなものはない、rabbishと言われた。ライセンサーを訴えろよと思った。

2011-04-02 13:20:46
yosuke tanaka @yosuke__

もう一件はユアサのバッテリー。並行輸入業者がユアサを訴えているのが面白い。純正品の並行輸入をしていたらユアサに「イミテーションだ」と悪評を広められたのでdefamationで訴訟。裁判所に支持されたとのこと。やはり嘘はいけない。基本的に品質に違いがなければ並行輸入OK。

2011-04-02 13:26:28
yosuke tanaka @yosuke__

商標のpassing off の次は、実際に商標登録した場合について。マークが一緒で対象となる商品やサービスも一緒の場合、誤解の有無に関わらず輸入を差し止めることができる。でも例外規定があって、例外に相当するかどうかが争点となる。それはシンガポールの商標権者が市場に出したものか?

2011-04-02 14:47:01
yosuke tanaka @yosuke__

商標権者が市場に出すことに同意しているか?どちらかを満たせば例外となるので、輸入してもOK。ここでケーススタディ。Katanaというゴルフクラブ(道具の方)が日本とシンガポールで売られていて、同じトレードマークだけど権利者は別々。親会社子会社という関係でもない。並行輸入はできる?

2011-04-02 14:57:22
yosuke tanaka @yosuke__

シンガポールの商標権者はその商品を日本の市場に出してないし、出すことに同意したわけでもないので、例外に該当せず。並行輸入不可。日本のメーカーの純正品ではあるけれども、シンガポールのメーカーの純正品ではないということ。そもそもカタナってゴルフクラブを商標登録するのが大変そうと思った

2011-04-02 15:02:11
yosuke tanaka @yosuke__

例外に該当すれば並行輸入できるけど、例外の例外というややこしいのがある。市場に出された後に商品の状態が変えられた場合、かつその商標の使用が商標の識別力を不当に希薄化する場合、例外に該当せず、並行輸入は認められない。争点となるのはパッケージの変更が商品の状態の変更になるかどうか。

2011-04-02 16:40:49
yosuke tanaka @yosuke__

1)Q:Colgateのケースのように品質に違いがあるとき、例外の例外になるか?A:商品の状態に変化がないので該当せず。2)Q:repackageとは何を指すか?A:商品の定義による。箱も商品に含むなら箱の変更も該当。中身だけが商品ならば箱を変えてもrepackageにならない。

2011-04-02 17:06:24
yosuke tanaka @yosuke__

商標法は輸入を規制するけど、例外に該当すれば並行輸入OK、でも例外の例外ならだめ。こういうやり方はUKから導入されている。違いは2点あって、結果的にSGよりも並行輸入に対して厳しくなっている。1つはエリア。EU域内での並行輸入はOKだけど、それ以外の所から持ちこむと例外にならない

2011-04-03 09:30:45
yosuke tanaka @yosuke__

もう1つの違いは例外の例外の規定がUKでは商品の状態の変更などというように例示になっている点。これにより例外の例外になる範囲がシンガポールよりも広がるため、並行輸入をより規制すると言える。商標はここまで。あとは特許と著作権。

2011-04-03 09:36:14
yosuke tanaka @yosuke__

シンガポール国外で著作物をコピー、販売などをしてもシンガポールの法律は適用されない。ただ、商業目的でそのようなコピーを持ち込むのは著作権侵害となる。ただし3つの条件が全て満たされたときだけ侵害となる。1つ目は著作権者のライセンスなく商業目的で輸入した場合。

2011-04-03 09:49:22
yosuke tanaka @yosuke__

2つ目はコピーの作成が著作権者の同意なく行われた場合。3つ目は同意なく行われたと知っている場合。つまり著作権者がシンガポール国外で販売したものをシンガポールに並行輸入するのはなんら問題ないわけだ。なぜなら純正品であれば2番目の条件が満たされないから。

2011-04-03 10:03:19
yosuke tanaka @yosuke__

並行輸入の最後は特許。基本的に商標と一緒だけどUSとのFTAにより医薬品の並行輸入がほとんど不可能に。あとアメリカとは関係なくWTOの取り決めで、貧しい国から医薬品を持ち込む並行輸入は禁止。そうしないとdrug companyが貧しい国に安く薬を提供しないから。

2011-04-04 13:35:13