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バイオテック・イズ・チュパカブラ #6

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
第1巻「ネオサイタマ炎上」より 「バイオテック・イズ・チュパカブラ」#6 #NJSLYR
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
(あらすじ:タマチャン・ジャングル奥地に建つバリキドリンク廃工場の正体は、ヨロシサン製薬のバイオ研究所であった。謎のUMAニンジャ「チュパカブラ」と交戦状態に入ったニンジャスレイヤーは、救出した研究員の生き残りをナンシーに託し、タマチャン・ジャングルの闇へと消えていったのだが…)
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テーッテテレレレッテテッテレッテーテレッテレー、テテレレレッテレッテレッテーーーーーーーピロリロピロリロピロリロピロリロ……。錆び果てたスピーカーから、ザラザラとした8bit系音楽が洩れる。電源復帰した工場内のネットに、ペケロッパ・カルトのプロパガンダ電波が忍び込んだのだろうか。
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遠くから聞こえてくる微かなクランク音とタービンの回転音が、物悲しい8bitのBGMに混じってナンシーたちの心を掻き乱した。「古き善き時代。むろん私は知らないが」研究員タケシタは足の痛みを堪えながら廊下を歩く「テクノロジーは未発達でも、人間はより人間らしい生活をしていたはずだ」
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「果たしてそうかしら。知らない過去を美化しているだけではないの? 誰しもタケダ・シンゲンやハンニバルを名将と信じて疑わない。そんなものよ」タケシタに肩を貸しながら歩くナンシーの言葉には、いつになくニヒルな冷たさがあった。廊下に転がる水牛の死体のせいで、脱出が手間取っていたからだ。
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「いずれにせよ、行き過ぎた科学は怪物を生み出してしまったんです」タケシタはうめく「…チュパカブラを」。「その観点から行くと、私も怪物の一種だわ」ナンシーはやや自嘲的な笑みをこぼした。「何か言いましたか?」「…何でもないわ。それよりあなた、ニンジャソウル測定器の原理は知ってる?」
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「あのデータは所長の脳内素子にしか存在しないのです。所長は恐らく、もう生きてはいないでしょう」。「そして最後の1個も、さっきの戦いで壊されてしまったわけね」とナンシーは溜息をついた。あの技術さえあれば、生身の人間である自分でもニンジャに対抗できるのではないかと考えてい たのだ。
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ザザーザリザリザリ……。プロパガンダ放送にノイズが入り、ジャジーな音に乗って、レトロなコマーシャルソングが鳴り始めた。「バリキボーイ、バリキボーイ、空を飛ぶ。バリキボーイ、バリキボーイ、力が強い……」かつて世界がずっとシンプルでミニマルだった時代の、信じがたいほど安直な歌だった。
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「僕たちはハイテクを捨ててあの時代に戻るべきなんです……もうフートンに入って寝たい……」タケシタは水牛につまづきながら言った。ペケロッパ・カルトの洗脳放送効果は随分と高いようだ。「愚痴は後で聞くわ。インタビューと一緒にね。今は急ぎましょう、ヨロシサンのヤクザ軍団が近づいているわ」
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『ブガー大変お世話になっておりますブガー』 突如、スピーカーに割り込んでくる電子マイコ音声とブザー音! エントランスの近くまで辿り着いていたナンシーは、窓から外の様子をうかがった。おお、ナムサン! 粗野なエンジン音と、威圧的な漢字サーチライトの光が工場に近づいてくるではないか!
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こうなってしまっては、脱出は難しい。窓やエントランスから出れば、漢字サーチライトに照らされて射殺されるだろう。一時的に隠れてやり過ごすしかない。でも、何処に? ナンシーはエントランス付近を素早く見渡し、隠れ場所にふさわしい遮蔽物がないかを探した。
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(((受付の机の下? まさかね、子供の隠れんぼじゃないのよ。……あった、これだわ…!)))獲物を狙うイーグルのように鋭い彼女の観察眼は、エントランスの片隅に打ち捨てられた、レトロなバリキドリンク着ぐるみを発見した。手足と顔が出るタイプだ。これを着て座りこみ後ろを向けば完璧だろう。
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「部長、着きました」運転ヤクザの無機質な声が発せられる。黒塗りにされた3台の武装バンが、廃工場の駐車場に止まった。ルーフの上には「制圧」の二文字を照らし出す四基の漢字サーチライトと、最新型のマシンガン、そしてタケヤリが備わっている。ヤクザの一個中隊にも対抗できるほどの戦闘能力だ。
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「…総員、展開せよ!」クローンヤクザよりも冷酷で無機質な声が、助手席から発せられた。ヨロシサン製薬バイオテック部のオダワラ部長だ。オーダーメイドの3ピーススーツに、ナチスめいた丸いアイグラス付きガスマスク。ヨロシサンの社章が入った黒い規格帽。両腕は最新鋭の機械義手。重役の風格だ。
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オダワラ部長が武装バンから降りる。重金属酸性雨に濡れた冷たい泥水が、強化PVC製の黒いロングブーツにはね飛んだ。激しい怒りと苛立ちを表すように、右手に持ったグンバイに力がこもる。それに続いて、武装バンの後方のドアが開き、Y-13型クローンヤクザたちが1体、また1体と姿を現す。
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サッキョー・ラインの満員電車からあふれ出るサラリマンのごとく、クローンヤクザたちは際限なく吐き出されてくる。全員右足から地面に降り立ち、同じ歩幅で進む。クローンならではの統一感だ。左手にはチャカ、右手には鋭い輝きを放つチタン・カタナ。整然と列を成し、エントランスへと向かう。
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四人のクローンヤクザを前衛に配しながら、オダワラは薄暗いエントランスに足を踏み入れる。「営業中」とショドーされた古い立て看板が、無言のうちに彼らを迎えた。50畳ほどの空間。朽ちたデスクが散乱し、部屋の隅にはバリキドリンク着ぐるみ。「くだらんノスタルジアだ」オダワラは吐き捨てる。
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「ザッケンナコラー! スッゾコラー!」前衛に立っていたクローンヤクザたちが動く。暗闇の中に人影を発見し、取り囲んだ。タケシタである。「アイエエエエエ……部長……」床にへたり込んだタケシタは、複雑な思いで上司を仰ぎ見た。全く表情の見えない、赤いレンズを。
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「とりあえず君、ドゲザしたまえ」オダワラ部長が冷たく言い放つ。「ヨ、ヨロコンデー!」タケシタが何の躊躇もなくドゲザを行う。「プラントは、壊滅かね?」「はい、もう駄目です、使い物になりません」「そうか……」シュコー、シュコー。オダワラ部長のガスマスクから、不愉快そうな息が漏れ出す。
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「地下プラントへ案内します」恐怖のあまりどもりながら、タケシタ研究員が言った。横目でちらちらと、部屋の隅に置かれたバリキドリンク着ぐるみを見ながら。((ナンシー=サン、あなた方は僕の命の恩人だ。生きて逃げて欲しい。この事件を闇に葬らせてはいけない。どうか記事にしてください!))
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「いや、その前にだね…」オダワラ部長は胸ポケットから、葉巻カッターめいた携帯式ケジメ器具を取り出した「私の怒りが収まらないから、君、ちょっとケジメしてくれたまえ」。「アイ、アイエエエエ!」タケシタは失禁する。「何をモタモタしているんだね。タイムイズマネー!私の時給は君の何倍だ?」
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「アイエエエエエ!」「仕方ない、私がしてあげよう」オダワラ部長は、機械義手の有無を言わさぬ力でタケシタ研究員の腕をつかみ、まるでサラミソーセージを切るような気軽さで人差し指をケジメした。「アイ、アイエーエエエエエエ!!」ナムアミダブツ! 血飛沫がオダワラ部長のガスマスクにはねる!
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「アイエーエエエ! アイエーエエエ!」タケシタは生まれて初めてのケジメの激痛に耐え切れず、床を転げまわった。「ところで君、何か隠してるんじゃないのかね? 私はイディオットではないよ。伊達にヨロシサン製薬で部長を努めてきたわけじゃない。君のような低所得者の考えることはお見通しだ」
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(((すみません、ナンシー=サン、ニンジャスレイヤー=サン、僕はもう駄目です。早く楽になってフートンに入りたい……)))タケシタは無念そうに涙を流しながら、もごもごと口を動かした。「バ、バリキ……」「何だって? 聞こえないな。もう一本ケジメかね?」
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2011-05-01 02:05:53
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