ライク・ア・ブラッドアロー・ストレイト #1

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

** 確立している機構第一話最後エピソード

2011-04-30 21:06:54
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第一話「ネオサイタマ炎上」最終エピソード「ネオサイタマ・イン・フレイム」 #1 「ライク・ア・ブラッドアロー・ストレイト」

2011-04-30 21:11:02
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(直前エピソード参照: 「ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・フィクション」 http://togetter.com/li/81948

2011-04-30 21:13:35
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ピラミッド型に積まれたダルマと列を為すカドマツ、そして荘厳な名付き巨大フラワーアレンジメントが防衛機構めいて飾り立てるは、当然ながら、きたるネオサイタマ知事選挙候補者の事務所だ。

2011-04-30 21:17:11
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「汚職を憎む」「私は安心」「ありあまる信頼」「ひとり五票入れる価値が実際ある。しかし実際一票なのは惜しい」「利益を約束(法律の範囲内で)」 お決まりの選挙スローガンを書き記したショドーが壁一面に貼り出され、すべてのダルマの左目には黒目が無い。

2011-04-30 21:20:09
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上空の夜空をものものしいヘリコプター編隊が斜めに横切る。「ネオ利益」と書かれたノレンをかきわけ、事務所の中から夜風のもとへ現れたのは、白いスーツ姿の長身男性だ。

2011-04-30 21:22:05
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首のあたりまである白髪めいた金髪を後ろへ撫でつけ、浅黒い肌、彫像めいた眉目秀麗なその男は、眉間に深い皺を刻み、年齢を類推しがたい超然とした雰囲気を漂わせている。目を開くとその瞳は灰色で謎めき、胸元から取り出した携帯IRC通話機はオブシディアン一枚板のよう。

2011-04-30 21:32:35
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「ドーモ、シバタ=サン」事務所へ訪れた支援者が男にオジギした。そのままノレンをかきわけ入っていく。シバタは携帯IRC通話機を指でなぞった。「……ドーモ。ああ、……ああそうだ。問題は起こらない。どう転んでも、長い目で見れば上手くいくようになっている。そう。そのまま進めるように」

2011-04-30 21:40:53
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シバタは短い通話を終え、携帯IRC通話機を胸にしまった。そして曇天の夜空を見上げた。

2011-04-30 21:42:11
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「シバタ=サン、センセイは?」さきほどの支援者がノレンの奥から顔を出し、尋ねた。「ええ、もう少ししたら、センセイと映像通話がつながりますよ」シバタはにこやかに答えた。「スシでもお食べになってください」

2011-04-30 21:46:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スシ!スシですよ!そうそう!アワビチャン!」支援者は緩んだ笑顔で再び中へ入っていった。その背中を一瞥したシバタの視線は恐ろしく虚無的で、それを見たものはそれだけで失禁したことであろう……。

2011-04-30 21:52:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フジキドは電子パルスが流星群めいて無限に流れ続ける空の下にいた。

2011-04-30 21:59:22
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ゆっくりと回転する金色の四角い立方体の下、青一色の不自然な地面はなんの遮蔽物も無く、まっすぐの地平線を形作る。見渡すかぎり何も無い。フジキド自身と、彼の前に立つ、凶悪な哄笑を張りつかせた邪悪な黒い姿。ただそのふたつ以外は。

2011-04-30 22:02:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なんと情けない、情けない事よフジキド。わしにまかせておれば、今頃オヌシは敵の首級をその手に握っておったであろう」黒いシルエットは哄笑した。その笑いは音ではなく、ぞっとする寒気めいた感覚となってフジキドのニューロンを逆撫でする。

2011-04-30 22:07:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フジキドはナラク・ニンジャの狂気に耐えた。「力を貸せ」「力を?」ナラク・ニンジャは芝居がかった疑りの声で返した。「力など幾らでも貸してやる!幾らでも!昔からずっとそう言い続けておるぞ?もっと早う言えば、今頃オヌシは敵の首級を……」

2011-04-30 22:14:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「だが意志は渡さぬ。ただ力を貸せ。私のために」「虫のよい話だ!なんたるワガママ!」ナラク・ニンジャは心底あきれ果てた、という様子で激しく笑った。「観念してインガオホーせよ、フジキド!ワシに体を渡せば、なにもかも滅ぼしてやるでな!そこのフートンで寝ておれ!」「ダメだ」

2011-04-30 22:17:18