尾上先生の勉強風景 (9)

2
尾上正人 @9w9w9w92

Ellis, Lee and Linda Ebertz (eds.)(1998) Males, Females, and Behavior: Toward Biological Understanding, Praeger. ♪どんなに悲しいことも、私に伝えて〜(古) 多数の執筆者に私の知ってる名前が全然ないことからして、これは進化心理学や社会生物学なんかではなくガチの生物学書かも…(^ ^;)

2018-12-22 12:17:41
尾上正人 @9w9w9w92

「この本の焦点は、いかに生物学的要因が行動の性差に影響を与えているか、である。この焦点は決して、学習と社会的環境の変数の重要性を否定するものではないことを強調しておきたい。…生物学的要因が果たす複雑な役割を、社会的学習を排除することなく、それとの相互作用において明らかにする」xxii

2018-12-22 19:53:36
尾上正人 @9w9w9w92

「小児性愛者の18.5%は、家族内にもう1人小児性愛者がいる」p.3. ←G. R. Gaffney et al., “Is There Familial Transmission of Pedophilia?” Journal of Nervous and Mental Disease 172, pp.546-8.

2018-12-22 20:06:17
尾上正人 @9w9w9w92

露出症などの不適切な性行動とトゥレット症候群(TS)の関係…TS患者の32〜48%。抗精神薬ハロペリドールを処方すると根治できる。p.4.

2018-12-22 20:15:36
尾上正人 @9w9w9w92

トゥレット症候群は汚言症(coprolalia)とも結びついている…20%未満。p.4.

2018-12-22 20:38:57
尾上正人 @9w9w9w92

トゥレット症候群(TS)の発端者(家族で最初に医者にかかった者)の50〜80%にADHDの症状。また絶対数としては少ないが、TSとADHDを併発した人のうちの同性愛者の割合は他のグループ(TS発端者でない者、TS発端者だがADHDでない者、TSの非血縁者、対照群)の4倍。p.5.

2018-12-24 06:16:23
尾上正人 @9w9w9w92

「同性愛が多遺伝子現象であるとする概念は、同性愛の遺伝的理論のパラドクスと思われたものを説明する。もし遺伝子が同性愛に関与しているのならば、なぜその遺伝子は、同性愛者における遥かに低い出生率の結果として絶滅しないのか?」p.8.→ 杉田水脈に対してはこういう批判もあり得たかもなあ

2018-12-24 06:33:15
尾上正人 @9w9w9w92

承前「もし複数の遺伝子が関与しており、またもしそれらが、衝動的・強制的・常習的な行動を含む一連の疾患において役割を果たしているのと同じ遺伝子であるならば、それらの遺伝子はある組み合わせで遺伝子の選択を生むような行動(色情症、若くして子を持つ、多子を持つ)を招き得るだろう」p.8.→

2018-12-24 06:41:07
尾上正人 @9w9w9w92

承前「これらの遺伝子のいくつかが結果として選択されれば、これらの遺伝子の他の組み合わせが同性愛を生む時に起きる[繁殖しないことによる]似た遺伝子の喪失をバランスすることができるだろう」p.8. 同性愛関与遺伝子を「生産性がない」とプールから取り除くと、結果的に「生産性」を落とす可能性

2018-12-24 06:46:49
尾上正人 @9w9w9w92

「[深刻なアルコール依存症を引き起こす]D2A1アレルは147人のTS[トゥレット症候群]発端者の44.9%にあったが、対照群の314人では24.5%だった(p<0.0001)、D2A1アレルはまた、ADHD、自閉症、多剤乱用の被験者で有意に多かった」p.9.

2018-12-24 06:55:59
尾上正人 @9w9w9w92

「ドーパミンとセロトニンの代謝に影響を与える5つの異なる遺伝子[DRD1, DRD2, DβH, DAT1, TDO2]の遺伝的マーカーと、性行動を含むTS[トゥレット症候群]の様々な症状の深刻さの間の有意な相関…2つのドーパミン遺伝子(DRD2とDAT1)は、性行動と有意に結びついていた」p.12 性差の話が全く無しw

2018-12-24 07:41:54
尾上正人 @9w9w9w92

生前に母親の胎内で脳がアンドロゲンにさらされると、特に生得的男性化副腎皮質過形成の女の子では、一般的な女性よりも左利きになる確率が上がり、空間課題で高いスコアを出す。p.14.

2018-12-24 10:42:55
尾上正人 @9w9w9w92

「両方の性ホルモン[アンドロゲンとエストロゲン]が、適切な受容体を表現するニューロンにおける向神経性因子として機能し、それが神経突起成長とパターン形成における特殊な変化をもたらしているように思える。…神経発達への、エストロゲンとアンドロゲンの二分法的だが相互補完的な効果」p.24.

2018-12-24 13:30:10
尾上正人 @9w9w9w92

「純粋に思弁的だが、ホモセクシュアルとトランスセクシュアルの男性における視床下部構造の変化が、性ホルモンの集中ないし効果のローカルな変化の結果として起きたのかもしれない」p.24. 数式はないがラットの実験の記述がゴリゴリ理系でちんぷんかんぷんやったorz

2018-12-24 13:34:10
尾上正人 @9w9w9w92

Miller, Edward M., “Evidence from Opposite-Sex Twins for the Effects of Prenatal Sex Hormones,” pp.27-57. これは面白そう

2018-12-24 13:37:03
尾上正人 @9w9w9w92

「動物の文献は、子宮内でオスの近くにいたメスは、他のメスの近くにのみいたメスよりも、よりオスらしい形態・行動の形質を発達させると報告している。…この効果がヒトでも起きるならば、子宮での相棒が反対の性であった双子は、同性であった双子よりも形態や行動がより性典型的でないだろう」p.27.

2018-12-24 13:44:03
尾上正人 @9w9w9w92

どちらの性であっても、子宮内でオスの仔にはさまれて彼らからテストステロンを浴びていたネズミは、メスの仔にはさまれていたネズミよりも体が大きく重くなる。特にメスのネズミで効果が大きい。p.28.

2018-12-24 18:33:53
尾上正人 @9w9w9w92

子宮内でオスの仔にはさまれてテストステロンを浴びていたメスのネズミは、運動が活発でなく、胎内での攻撃性が2倍、授乳期の攻撃性は2倍超、肛門と性器の間の距離が開く。pp.28-9.

2018-12-24 18:47:52
尾上正人 @9w9w9w92

齧歯類以外では、ブタで唯一、効果が認められている。雌牛では「フリーマーチン効果」(雄牛とともに生まれると卵精巣を持ち不妊化する)が知られているが、テストステロンのせいではないようだ。p.30.

2018-12-24 18:54:07
尾上正人 @9w9w9w92

ヒトの双子に関しゲシュウィンド&ガルバーダの予想…「男の双子はどちらもテストステロンを作るので、各々がことによると単胎の場合よりも高いレベルにさらされるかもしれない。この仮説により、反対の性のペアの女児は男児の相棒が作るテストステロンにさらされるため、高率で左利きになるはずだ」30

2018-12-24 20:25:25
尾上正人 @9w9w9w92

「誕生前の女性ホルモンは哺乳類の性器の女性化には必要でないと思われる一方、男性ホルモンは性器の男性化に必要である。…かくして、[胎内で]女の方へ拡散する男性ホルモンの効果は、男の方へ拡散する女性ホルモンの効果よりもあり得ることであるかもしれない」p.32.

2018-12-25 13:23:00
尾上正人 @9w9w9w92

エストロゲン(女性ホルモン)は血中でαフェトプロテインと結びついてサイズが大きくなるので、血液-脳バリアを越えられない(男の胎児の脳に作用できない)が、テストステロン(男性ホルモン)はαフェトプロテインと結合しないので血液-脳バリアを越えられる(女の胎児の脳に作用できる)。p.32.

2018-12-25 13:30:59
尾上正人 @9w9w9w92

母体と胎児の間で様々な性関連ホルモンの行き来があるのだから、双子の胎児の間でも当然あるだろうという多くの議論・研究。pp.32-3.

2018-12-25 13:37:11
尾上正人 @9w9w9w92

男の方が女よりも右脳のサイズが大きいことから、男の右の顎の歯[右の下奥歯?]は女よりも大きくなり、骨の性を推測するのに使われるのだが、反対性の二卵性双生児では男女とも判別がつきにくい。これは、双生児が男女ともホルモンで互いに影響を与えて部分的に反対の性にしているためでは。pp.33-4.

2018-12-25 14:52:28
尾上正人 @9w9w9w92

性が異なる双生児の男の方の胎児死亡率は、男どうしの双生児よりも低い…これも相棒の女の胎児からのホルモンの効果か。逆に、女の胎児の側にはこのような効果は見られない。新生児死亡率では、男女とも、同性双生児の方が異性双生児より高い…これもホルモン移転の効果と思われる。p.34. 興味深いな

2018-12-25 15:56:12