アルター・オブ・マッポーカリプス ＃１０

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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◆赤い雨はニンジャスレイヤーの肩に落ちると蒸発し、煙となって装束に吸い込まれてゆく。前傾姿勢をとったニンジャスレイヤーのマフラー布は銀色の輪郭を燃やしていた。黒炎と混じり合う銀の炎に呼応するように、サツガイの身体の奥で、弱々しい輝きが明滅していた。それがゾーイだった。◆

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【アルター・オブ・マッポーカリプス】#10

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サツガイの肩の上に四枚のハッポースリケンが出現した。「……」ニンジャスレイヤーは右手を掲げた。その手にはヌンチャクが握られていたが、腕の中に燃えながら沈み込んでいった。左腕も同様だった。腕と腕を繋いだ鎖を、彼は黒い炎で焼き切った。「イヤーッ！」1

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肩の上のハッポースリケンは宙を躍り、旋回し、時間差でニンジャスレイヤーに襲い掛かる。「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは回転の中からチョップを繰り出し、全てを焼き払い、サツガイに回し蹴りを叩き込んだ。「ンンー……！」サツガイは腕で受けた。タタミ2枚距離のノックバック！　2

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは大地を滑り、ポン・パンチを繰り出した。サツガイは八方向にブンシンした。ニンジャスレイヤーの拳を受けて砕けたのはブンシンに過ぎなかった。入れ替わりだ。そして、「イヤーッ！」ブンシンが立て続けにニンジャスレイヤーを襲う！　　3

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは襲い来るサツガイハッポーブンシンをチョップで迎え撃ち、破壊していった。「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」そのたび砕けたハッポースリケンが地に落ち、叩きつけるように降りしきる赤い雨に溶かされていった。「BWAHAHAHAHAHA！」サツガイは吠え笑う！　4

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その身体は宙に高く飛び上がった。否、地の底から呼び出したのである。砂色のエネルギーによって生成されたカラテの大蛙を。「GROOOOWL！」カラテ大蛙は口を開き、数十枚のハッポースリケンを吐き出す！ナムサン！その悪夢じみたジツは黙示録の四ニンジャのごとし！　5

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーはクロス腕で突進し、カラテ大蛙に決断的な連続打撃を打ち込んだ。「アバーッ！」黒い炎が非物質のカエルを痛めつけ、破壊する！「イヤーッ！」さらにニンジャスレイヤーが腕を打ち振ると、燃える縄が放たれ、鉤爪がサツガイの足に食らいつき、再び地に引き戻す！　6

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「コイツ……」サツガイは訝しんだ。「コイツは何だ……？」「イイイイイ……」ニンジャスレイヤーは右拳を振り上げ……「イヤーッ！」殴りつけた！「グワーッ！」（イヤーッ！）銀の火がニンジャスレイヤーの拳を伝い、サツガイの胸を焼いた。ニンジャスレイヤーの頭上背後、銀の影が手をかざした。7

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ドクン！鼓動音がひとつ、シトカ全域に鳴り響いた。サツガイは怯んだ。銀の炎がサツガイの胸から噴き上がった。「……！」サツガイは胸を押さえ、後ずり、キアイによってその干渉を断ち切った。（グワーッ……！）現世と違う位相で銀の影は血を流し、弾け飛び、01粒子の再構成を始めた。　8

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「イヤーッ！」続く攻撃をしかけるニンジャスレイヤー！サツガイは瞬時にタタミ4枚距離を後退し、左手を打ち振った。白く光る八筋の蜘蛛糸が放たれ、ニンジャスレイヤーを絡めとった。「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーの黒炎は繭めいて動きを封じられるコンマ１秒前に危うくそれを焼き払った！　9

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「イヤーッ！」サツガイは既に眼前！超音速の拳を危うく止めるニンジャスレイヤー！だが拳を止められながらサツガイは指先をチョップ突きにし、眉間を打つ！「グワーッ！」「イヤーッ！」逆の拳を叩き込む！「グワーッ！」バウンドするニンジャスレイヤー！サツガイは腕を振って跳ねる！「HAHA！」10

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そしてサツガイは右手の人差し指と中指を立て、口元にもってゆくと、「ニンポ！」青白い炎の塊を飛ばした！ニンジャスレイヤーは目を見開く。防御姿勢！KA-BOOOOOM！「グワーッ！」「MWAHAHAHAHAHA！」瞬時に接近！ヤリめいたサイドキック！「イヤーッ！」「グワーッ！」　11

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赤くぬかるんだ大地を転がり、ニンジャスレイヤーは起き上がった。大地の血はニンジャスレイヤーに吸い込まれてゆく。再び彼の瞳は燃える！サツガイは容赦せぬ！カラテを構え、スタスタと向かい来る。彼の周囲には黄金の葉がバリアめいて舞っていた。明らかに危険！　12

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは両腕を霞ませ、血から生成した燃える鋼のスリケンを無数投擲！襲い来る黄金の葉を撃ち落とし、焼き払う！既にサツガイはカラテを振り上げている！だが間に合った！「イヤーッ！」「イヤーッ！」拳同士が衝突し、両者タタミ6枚距離ノックバック！　13

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「スウーッ……フウーッ……！」ニンジャスレイヤーは砕けた右腕を垂らし、深く呼吸した。ナラクの炎が拳を燃やし、傷を塞いでゆく。「……ナラク……！」ニンジャスレイヤーは呼びかけた。「ナラク！抑える必要はない！」彼の髪は白く変じた。その目は赤く、光り輝いて瞳すら見えぬ！　14

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「おい……おい……オイ……オイ！」サツガイは敵意を剥き出しに、ニンジャスレイヤーに向き合った。「何をやっている……お前……！」サツガイの胸は銀色に光っている！「AAAARGH……」メンポがひび割れ、ますます禍々しい形状に変わってゆく。「ナラク！構うな……！」　15

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すると、おお、ナムサン。（ニンジャ）（ニンジャ……）（ニンジャ……）（ニンジャ……）赤い雨の中に蜃気楼じみた無数の影が生じた。影はだらりと手を降ろした無名の人々であり、足を引きずりながら、互い違いの方向、各々の思い思いの方向へ歩き、消えてゆく。現れる。消えてゆく。　16

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サツガイはこの現象を訝しんだ。無意味な影たちである。ただ滅ぼすべきはニンジャスレイヤーであり、特に変わりはない。しかし。（ニンジャ……）（ニンジャ……）不快である。その虐げられた影はニンジャではない。モータルだ。「ンンンン……！」サツガイは腰を落とし、カラテを漲らせる。　17

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サツガイの胸はいまだ銀色に光っている。ニンジャスレイヤーの後方ではシルバーキーが両こめかみに指を当て、ゾーイへの呼びかけを強めている。KRAAAACK……ついに巨大モニュメントの一端は鎖によって引き剥がされ、奇妙なスローモーションで地上に落ち始めた。　18

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「オヤオヤおやおやオヤオヤ！これはこれはこれは！」クローザーは瓦礫上に着地し、意外そうにその光景を見上げた。それから彼はニンジャスレイヤーを見た。彼は満面に邪悪な笑みを浮かべた。「これだ……これだよニンジャスレイヤー君！これなのだ！」ヒュンヒュン！振り回し、構えるは、ボー！　19

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「それが、どうかしたか」「ン？これはな、ボー・オブ・ザ・トラベラーと申す品で……」「ドラゴン・ドージョー所蔵のレリックだな」「然り然り……然り……？」クローザーの目の前に今、ジェットブラックのニンジャが立ちはだかる。マフラー布に橙色の火が散った。　20

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「ドーモ。サツバツナイトです」サツバツナイトはクローザーに決断的にアイサツした。そして喝破した。「久しいな、ケイトー・ニンジャ＝サン！」「ヌ……！」クローザーは僅かに狼狽した。「何の事やら」だが瞬き一つせずクローザーを凝視するサツバツナイトに、彼は苦笑し、瞬時に装束を纏った。　21

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「よく見破ったものだ。だが考えても見給え。その認識が罠かも知れんぞ？私がケイトーだと敢えて貴公に見破らせる事自体が私の罠であったとすれば、貴公は致命的な弱点を晒す事にもなりかねんのでは？私がケイトー・ニンジャと思わせる他の何某である可能性も捨てきれん筈……」「イヤーッ！」　22