MMT関連小噺集―Hut taxと租税貨幣論、金本位制≒ドルペッグ、最終需要から天下り式に発生する貨幣所持需要

歴史的実例や、分かりやすい例示などでMMT的観点を色々と解説してみました。
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

租税貨幣論(Tax-Driven Money)でよく引用されるお馴染みの歴史的事例、Hut tax(小屋税)について、英語版Wikipediaがあったので en.wikipedia.org/wiki/Hut_tax 、冒頭部分を翻訳してみようかなと思います。 ざっくり言えば、英国がアフリカの植民地に通貨を流通させるにあたって課税を利用した話。

2018-12-29 23:07:06
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『小屋税(hut tax)は、英国の植民地統治者が小屋あるいは家族ベースで課した課税タイプのことである。 この税は、貨幣、労働、穀物、あるいは資産などの様々な支払方法があり、四つの経路から植民地支配に貢献した。』 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-29 23:24:22
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『一つは資金調達、一つは通貨のサポート(表券主義を参照のこと)、一つは現金経済の普及(これは一層の成長を目的としていた)、そしてもう一つは、アフリカ人たちを植民地経済において働かせることである。』 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-29 23:25:55
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『家族達は生き残り、牛牧場による富を貯蓄するにあたって、納税のための現金調達を目的として植民地統治者に働き手を送り出した。植民地経済はアフリカ黒人の労働による新しい町や鉄道建設(加えて南アフリカでは急速な鉱山開発)に依存していた。』 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-29 23:26:41
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

要するに、植民地(Hut taxの場合はアフリカ)において、家族単位あるいは共同体単位の自給自足で完結していた人々を貨幣経済に引きずり出すためには、宗主国通貨建ての課税が有効だった(それで事足りた)ということです。 そして基本の構図は自国通貨普及でも同じなのです。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-29 23:45:46
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

例えば日本の場合は、いわば「ぽっと出」の新政府が発行する新通貨”円”の流通がいかにして基礎づけられたかというと、地租改正といった円建て課税制度の定着のおかげなわけです。 単に発行するだけでは流通しません。国家による受領が通貨を流通させる(表券主義)のです。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-29 23:48:01
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

租税貨幣論を考えるにあたって、和同開珎の歴史ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%8C…を参照するのも良いですね。 和同開珎は適切な最終需要設定が出来ず、あまり上手く流通しませんでした。 蓄銭叙位令(和同開珎の貯蓄高で官位昇進)といった、流通と矛盾する制度を作って迷走したり…。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-29 23:52:36
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『老いの一徹:『人物「中野剛志」考』』 ⇒ ameblo.jp/shingekinosyom… #アメブロ @ameba_officialさんから このコメント欄でも話題にしたのだが、レイの教科書では「金本位制とドルペッグは同じものだ」と解説されていて、中々分かりやすく興味深かった。

2018-12-30 15:59:55
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

レイの教科書によれば ・金本位制≒ドルペッグ ・正貨準備(金準備)≒外貨準備 ・兌換停止≒変動相場制移行 というまとめになる。 兌換紙幣と不換紙幣は完全に不連続な存在では全然なくて、単に固定相場制を採用しているかしていないかの違いしかないという。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:06:01
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

兌換紙幣が兌換停止して不換紙幣にしても、管理通貨制度で例えれば、単にドルペッグ(外貨ペッグ)をやめたのと同じことなので、少なからず為替レート変動はある(基本的には減価する)ものの、急激に紙屑になるようなことはないと。 納税手段としての流通価値が残るので。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:07:51
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『一年の最後にする“お金”の話』 ⇒ ameblo.jp/shingekinosyom… #アメブロ @ameba_officialさんから ここのコメント欄で書いたのだが、貨幣の「最終需要」と、個々の主体の貨幣保持需要を区別できず、貨幣の最終需要から天下り式に個々の保持需要が生まれることが分からない人が多いのかも。

2018-12-30 16:20:44
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

「租税や返済が貨幣の最終需要です」という話をすると、すぐさま『租税や返済のために貨幣を持っている人はごく少数』、『むしろ富裕層は節税に勤しんでいる。租税のために貨幣を持つなんて嘘だ!』みたいな、完全にピントの外れた反論が飛んできて困惑することが多い。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:22:48
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

というわけで、貨幣の最終需要と、最終需要から天下り式に発生する個々の貨幣保持需要について平易な説明を以下記事のコメント欄で行ったわけだ。 このツイートツリーでも、このことを簡潔に説明してみよう。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:24:32
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

古代の中近東~ヨーロッパの通貨制度を意識した模型例で論じてみよう。 ある国に、王室、宮廷の労働者、農家の三者がいたとしよう。 王室は農家に穀物納税を課しているとする。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:29:29
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

ここで王室は宮廷労働者に穀物を分配するのではなく、給与として発行コインを支払うとする。 そして、農家は、穀物納税の代わりにコインを納税することを可能であるとする。 すると、農家は自発的に宮廷労働者に穀物を売り、コインを稼得するようになる。(※レート次第だが) twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:32:55
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

宮廷労働者も、コインによる代替納税制度の下では、コインが農家に対して確実に購買力を持つため、コインによる給与支払いを受容し、コインを貯蓄するようになる。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:35:01
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

ここでは、宮廷労働者には課税されていないことに注意しよう。 あくまで農家への課税から、天下り式に宮廷労働者の貨幣所持需要が発生している。 これが「貨幣の最終需要から天下り式に発生する貨幣所持需要」である。 宮廷労働者に課税がないことは何の問題にもならない。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:36:47
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

例えを変えてみよう。 租税回避に熱心な富裕層と、きっちり課税される庶民層が居るとする。 ここでは、極端な仮定として、富裕層が完全な租税回避に成功し、一切税を支払わないとする。(仮定を緩めても、含意の大枠は変わらないので。) twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:38:51
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

完全な租税回避に成功した富裕層には、貨幣所持需要がなくなるだろうか? 全くそういうことはない。 この例では、きっちり課税される庶民層が居て、この庶民層は、生産物を富裕層に買ってもらうことで、納税のための貨幣を調達しようとする。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:40:04
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そこで富裕層は、庶民層が納税のために生産物を売って貨幣を得ようとするだろう、ということを見越して、貨幣を所持し、貯蓄しようとする。 富裕層には一切の課税がなされていないにも関わらず、庶民に課される租税から、天下り式に富裕層の貨幣所持需要が生まれるわけだ。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:41:25
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

仮定を緩めて富裕層が多少は納税するとした場合でも、「自身の納税需要以上に、他者の納税需要から、天下り式に貨幣保持需要が生まれてくる」という原則は不変である。 上記二例は政府発行通貨を元に論じたが、融資で創造され返済で破壊される銀行貨幣でも構造は同じになる。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 16:43:41
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

中央銀行貨幣(通貨)にしても、銀行貨幣にしても、そこにあるのは創造と破壊のサイクルであって、作られたら作られっぱなしで循環しているわけではないんですよね。 その意味では、貨幣の流れは、循環浴槽とは別物で、河川の方に近いわけです。

2018-12-30 17:03:55
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

貨幣の流れが循環浴槽的だと誤解してしまうのは、それこそ貨幣外生説の「罠」なのだと思います。 経済学教育で貨幣をニュメレール財として教育してしまうから、どうしても貨幣が財貨として経済を回り続けるものだと勘違いしてしまう。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 17:05:46
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そうではなくて、貨幣には入口と出口がしっかりとあって、出口の排出力によって、貨幣が流通力を得ているわけです。 貨幣の入り口というのは、通貨の場合は財政支出、銀行貨幣の場合は銀行の投融資で、貨幣の出口というのは、通貨の場合は租税で、銀行貨幣の場合は返済。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-12-30 17:07:26
BugbearR @BugbearR

税収の大きさで需要が決まるなら、税金どんどん取れば需要が増えることになってしまうんだけど、実態は明らかに逆なわけで、それはどういうことなのか、と考えれば、難しい話ではないと思うんだけどなぁ。

2018-12-30 16:53:53