140ssログ12月

石かり、薬宗、髭膝、くにちょぎログ
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やまたに@極めのネタばれをします @mw_snc

のれんをくぐるように、気安く君は前髪を上げるのだ。青江はその度にどういう顔をしていいのかわからなくなる。困ろうか、照れようか、怒ったふりでもしようか。けれど、君は幸せそうに近付くから。青江のとれる表情はいつも同じで。目を閉じる。そこに柔らかな体温が重なるまで。(石かり)

2018-12-03 20:40:36
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細い首に跡を残す。君ねぇ、と呆れる声に、どうせ君は服をきちんと着るだろう、と返した。僕に風呂へ入るなと言うのかい。馬鹿にしたような言葉に、石切丸は頷くのだ。私以外と入らないようにね。仕返し、と同じような跡を残されたのはそれからすぐの話だ。今日は二振りきりで風呂へ行こう。(石かり)

2018-12-16 11:43:30
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長い髪は好きだなぁ、と石切丸が触れてくる。君のために伸ばしてるんじゃないんだけどね、つれなく言えば、刀としての形だものね、とわかったような顔で。その瞳も、肌の感触も好きだよ、と誉める言葉は続くくせに、肝心なことには気付かない。せっかく、君のために香を焚いてきたのに。(石かり)

2018-12-16 11:47:22
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石切丸、と声がした。それを甘いと感じてしまうのは、気の持ち方のせいだろう。石切丸は振り向きながら、その名を呼ぶ。青江、どうしたんだい。そうすると、彼は少しだけ不思議そうな顔をして。君、偵察は低いのにいつもよくわかるね。君の声なら、姿なら、いつだってわかるよ。それだけだ。(石かり)

2018-12-16 11:57:09
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大太刀の背後に忍び寄る。まぁ、脇差の能力で彼に気配がばれるわけもない。3尺、1尺、3寸。背伸びしても届かないから、背中に囁く。だいすきだよ。以上。さて、機動も君には勝てるだろう。石切丸が赤い顔で振り向く頃には、青江はとっくに逃げていた。(石かり)

2018-12-16 12:43:17
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脇差を抑え込む。体重をかけて、両腕をまとめるだけで、ほら。大太刀と脇差の体の差なんて歴然だ。石切丸は組み敷いた細い体を視線で舐めた。追い付けないと高を括っているからこうなるんだよ。結局、本丸から離れられないというのに、可愛らしい子だ。(石かり)

2018-12-16 12:50:11
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おいで、と手招くと青江はあっさりやってくる。いつも、いつも。警戒心はないのかい。君に警戒してもねぇ。他の刀じゃあるまいし、と笑う姿に悔しさを覚えたのはいつからか。私だって、穏やかなだけの男ではないんだよ。うん、知ってるよ。本当かい。だから、なにされてもいあってことさ。(石かり)

2018-12-16 17:14:11
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見下ろすと、旋毛が見える。実は、背丈の差が憎らしいのは君だけでなく、と石切丸は思う。こちらだけでは届かない、君が不満に思うなら、こちらだけでは顔も見れない、そう思ってしまうのだ。青江。呼ぶと、彼はすぐ見上げてくれるけれど。弱ったときや、涙を隠すときにも顔が見たい、なんて。(石かり)

2018-12-16 17:41:21
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お姫様抱っこがしたい。無理じゃないかな。お姫様抱っこ。潰れてしまうよ。抱っこ。なんの攻防だ、と石切丸は苦笑する。あれは長物の体格と腕力があってこそだ。君は細いから、と言えば余計意地になりそうだから、と石切丸は逆にその体を抱き上げる。納得のいかない顔で、けれど君は逃げない。(石かり)

2018-12-17 06:59:52
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さすがに体格の違いはわかっている。でも、頑張れば出来るんじゃないかな。刀剣男士だし。と適当にお姫様抱っこを要求したのに、これは逆だ。抱き上げられながら青江は思う。君は頑張り過ぎるから、僕が抱えて逃がしてあげられたらいいのに。僕だって助けられたくせに思うのだ。君を守りたい。(石かり)

2018-12-17 07:11:26
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ほろ酔い気分で青江は縁側を歩く。踏み外すほどではなく、板目に沿って歩けるほどでもなく。あー、なんだかいい気分だね。ゆらゆら歩いて行くと、どん、と頭がぶつかって。酔っぱらいさん、捕まえたよ。そう自分より酒臭い大太刀へと捕まった。ゆらゆら、ふわふわ、運ばれる先はわかっている。(石かり)

2018-12-17 21:04:58
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よく飲む、と誉められたから石切丸は徳利を直接飲み干した。これでも神社育ちでね、強い方なんだ。そんな横で、外へと消えていくのは、見た目の変わらない、けれど足取りが覚束ない大脇差で。〆を食べに行ってくるよ。そう立ち去る大太刀に、三日月は笑う。ふむ、酔わずとも浮き足立つか。(石かり)

2018-12-18 17:04:32
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短刀が懐を求めるなら、脇差は他の刀を求めるものだ。だからね、不思議ではないんですよ。堀川はそう諭す。でも、彼は打刀じゃない。だから違う、と言い張る彼は、それなら脇差の本能でもなく求めているのだと告白していると、わからないのだろうか。青江さん、普段はとっても察しがいいのに。(石かり)

2018-12-18 17:09:01
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許してくれ、と請い願われた。畳に押し倒されて、上に乗られて、青江は自分をそんなにしておきながら願う男に笑いだしそうになる。迷子の子供のような顔で、君はそんな傲慢なことを願うのか。君を、私のものにしたい。返事の代わりに、青江はその肩へと手を伸ばした。(石かり)

2018-12-22 16:32:12
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両頬を石切丸は包み込む。そのままじっと見つめると、青江の驚いた顔は、戸惑いへと変わって。なんのつもりかな。いたたまれなさそうに、視線が逸れる。なにがしたいんだい。君の色んな顔を見たかった、と伝えたら今度は怒るだろうか。ちゅ、仕上げに口付けると、赤く染まる顔も愛しい。(石かり)

2018-12-22 16:44:31
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ずるい、と青江は思う。彼は穏やかな振る舞いでこちらを愛しい子と呼んで、かと思えば無邪気に大好きだよと騒いで。そればかりか、支配者の顔で私のと教えるのだ。せめて、ひとつであれば慣れることも出来ただろうに。掻き回されっぱなしの心臓は、まるで石切丸の手に握られているようだった。(石かり)

2018-12-22 16:49:50
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敵わないな、と石切丸は思う。掴み所のない彼が、するりと横へ寄ってくる。擦り上げだと言い切るくせに、戦では助けになって。そして、垣間見せた幼い声色がいけない。これでも千年穏やかに過ごしてきたというのに、今や君の手の上で踊らされているようだ。それが嫌でないのだから、敵わない。(石かり)

2018-12-22 16:54:32
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隣に立つ。並んで座る。一緒に寝る。それが当たり前になったのは、いつからだろうか。当たり前過ぎて気付かなかったのだ、と青江は手で熱を持った頬を隠した。いや、三日月がいけないのだ。そう転嫁する。彼がおもむろに隣を空けるから。俺は先に行くぞ、なんて二振りきりにしてしまうから。(石かり)

2018-12-22 17:28:42
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石切丸との夜はいいけれど、朝は困る。それは起きたての彼が、やたらに昨夜の感想を言うからで。ねだる様が可愛かったとか、名前を呼んでくれるのが愛しいとか。なにも口にしなくたっていいのに。そう言えば、彼は不思議そうに。後朝の歌は難しいと言ったのは君だろう。ああ、僕のせいなのか。(石かり)

2018-12-22 17:33:30
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腕の中で泥のように眠る子は、それだけ気を許したのか、それとも疲れさせてしまったのか。幼い寝顔を見ながら、石切丸はそんなことを思う。首筋に散る痕は無体を働き過ぎただろうか。目尻が赤く腫れているのは。いくらでも見ていられると愛しく思ってしまうのは。こうして、今宵も更けていく。(石かり)

2018-12-22 18:46:15
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袴、狩衣、シャツに白装束。点々と畳に落ちるそれを、青江は拾う。夕べはお互い余裕がなかった。それを示す痕跡は少し気恥ずかしいけれど。ふと見た鏡に、写る赤い痕ですら。無理をさせたと思ったけれど、早起きだね。そう眺める男の顔さえ、夜の余韻を残して少し意地悪だった。(石かり)

2018-12-22 19:47:01
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偽物くん、と彼は呼ぶ。多分、彼としては悪口か嫌味なのだろうそれを、国広は黙って聞く。写しと偽物は違うが、それでもいい。呼ばれ方が大事だと言うなら、それもそうだろう。偽物くん、聞いてるのかな。ああ、聞いているとも。あんただけが呼ぶ、俺を示す名前だ。いくらでも聞こう。(くにちょぎ)

2018-12-22 19:54:40
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馬鹿、と開口一番詰られた。信じられない。最低だ。続く罵倒に、国広はにやけそうになる顔を必死で隠す。けれど、それすら見破られて。そんなに無様な俺を見て楽しいか、そう叫ばれても困ってしまう。夕べのあんたは可愛くて、朝の、寝惚けてすり寄ってきたあんたも可愛いのだから。(くにちょぎ)

2018-12-22 20:13:49
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国広、と呼ばれて、ついつい堀川は返事をした。それが相棒の声でないとわかったけれど部屋には他にいないから、と。まさかこんな結果になるなんて。あ、兄弟は今出ていて、あの、兄弟のことそんな風に呼んでたなんて僕知らなくて。墓穴を掘ったと気付いたのは、長義の赤い頬を見てからだ。(くにちょぎ)

2018-12-22 20:17:25
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翡翠色した瞳が、きらきらとこちらへ向けられる。それを美しいと言ってやることが出来ない自分を、長義はたまに苦しく思う。俺は本歌で、そう認められなければならなくて。そんな矜持が、許さないのだ。好きだ、長義。あんたに触れたい。それを許すと応えることしか、今はまだ出来ない。(くにちょぎ)

2018-12-22 20:34:51
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