2018年は神仏判然令公布150周年でした ~御札・御神影の変遷で見る神仏分離の様相~

当まとめでは1868年(慶応4年/明治元年)に 新政府より公布された神仏判然令に伴って、 従前の神仏習合・混淆を行っていた社寺が 頒布した御札類に表わされた奉祀対象等の 内容の変化を通じ、当時の社寺の動向の 続きを読む
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一魁斎 正敏@浮世絵スキー&狼の護符マニア @ikkaisai
残り僅かとなった本年ですが、慶応4年に新政府が公布した神仏判然令から150周年に当たります。それにより仏像を神体とする事や権現号の使用は禁止され、それまで頒布されていた御札等に描かれた奉祀対象を変更せざるを得なくなりました。以下にその一部を紹介、当該社寺の動向の概略を記述します。
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【其の一:京都・八坂神社】牛頭天王と習合した素戔嗚尊を祀り近世には「感神院・祇園社」であった同社では牛王宝印が頒布されていましたが、神仏分離により牛頭天王が排され八坂神社に改められると、牛頭天王を想起させる「牛王」を「生土(うぶすな)」へ変更した形式の物へと変え現在に至っています pic.twitter.com/ikBZGiD6QS
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【其の二:京都・伏見稲荷】応仁の乱以降、同社の本願所として境内の愛染寺(東寺末寺)が社殿造営や修復勧進の管理を行いましたが、神仏分離により破却。これに伴い、稲荷神の本地仏である荼枳尼天の同所での信仰は廃され、神札に記された宇賀神の名も現行の主祭神の宇迦之御魂神へと改められました。 pic.twitter.com/BPzpUCOJvA
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【其の三:京都・愛宕神社】中世以降、勝軍地蔵を本地仏とする愛宕権現を祀る愛宕修験の白雲寺と6つの宿坊により各地へと勧請が行われ隆盛を極めましたが、神仏分離により修験道に基づく愛宕権現は廃され、白雲寺は廃寺となり愛宕神社へと改組、主祭神も垂迹神とされた伊弉冉尊へと改められました。 pic.twitter.com/bJYK40yhKv
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【其の四:長野・戸隠神社】平安後期以降、真言・天台・神道の混淆である顕光寺は、聖観音・釈迦如来・勝軍地蔵を本地仏とする戸隠三所権現と九頭龍を祀り、加えて戸隠修験の本拠地となって繁栄をしましたが、神仏分離と修験禁止令により戸隠神社へと改められ、本地仏を排して垂迹神のみを奉祀しました pic.twitter.com/129nAE7Eqh
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【其の五:東京・武蔵御嶽神社】金峯山・御嶽蔵王権現社として近世には神主・御師・世尊寺の三者による合議制で運営がされるも江戸中期に世尊寺が没落、江戸後期には日本武尊の武蔵国号伝承と狼(お犬様)信仰が結び付き、蔵王権現信仰は衰退。神仏判然令に際しては神職が速やかに対応し、神社へ移行。 pic.twitter.com/t8ZFuplzQt
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【其の六:東京・高尾山薬王院】南北朝時代に京都・醍醐寺から俊源大徳が入った際に飯縄権現を守護神として奉祀し、以降は修験道場としての信仰を集めましたが、神仏分離令の権現号の使用禁止に伴い、一時は飯縄権現を本地仏である不動明王とするなどの対応を行いましたが、現在では旧に復しています。 pic.twitter.com/KfP2qxjcM0
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【其の七:神奈川・江島神社】中世以降は弁財天を奉祀し、近世には与願寺と称し岩屋本宮・上之宮・下之宮を岩本坊・上之坊・下之坊の三坊が司っていましたが、神仏分離に伴い諸堂は破却、江島神社へと改組され祭神は宗像三女神と改められました。※旧本尊の弁財天像は現在は奉安殿に安置されています。 pic.twitter.com/UTomw3ij7K
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【其の八:埼玉・三峯神社】十一面観音が本地仏の三峯山権現を奉祀。室町時代より天台修験の関東総本山となり、近世には狼を神使とする御眷属信仰で隆盛を誇りました。神仏分離に際しては山主が上京し聖護院との協議を重ね、比較的円滑に神社へと移行、御眷属信仰も当時の岩鼻県より存続が許されました pic.twitter.com/OnpMIdF3OR
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【其の九:埼玉・宝登山神社】大日如来を本地とする宝登山権現を奉祀。中世以降は玉泉寺が別当を勤め、江戸期には狼信仰が習合。幕末期に現在の社殿の造営が開始されるも途中で神仏分離を迎え各々が独立。還俗した住職が初代の宮司となり、玉泉寺は常勤の住職が廃され神社による管理を受ける形へ移行。 pic.twitter.com/8eUoioAKfw
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【其の十:山梨・大嶽山 那賀都神社】近世には羽黒修験の支配下・観音寺が別当となり、大嶽山金剛坊権現と薬仙坊・大天狗を相殿に奉祀する形を取っていましたが、神仏分離と修験禁止令により祭神は大山祇神・大雷神・高龗神に改められるも、天狗信仰は存続し現在に至っています。 pic.twitter.com/E7c1fIkzdQ
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【其の十一:群馬・榛名神社】勝軍地蔵を本地仏とする満行権現を奉祀し、近世には輪王寺宮の兼帯所となり、榛名山 巌殿寺・満行宮と称しましたが、神仏分離により三重塔を除き仏教色は排され、また、本殿背後に聳える御姿岩内の神体を描いた護符も満行権現以下の姿が削られ二柱の祭神名に変わりました pic.twitter.com/EMYJQ79Rh9
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【其の十二:茨城・蚕影神社】常陸国に漂着した天竺の王女・金色姫(蚕影大権現:本地仏は勢至菩薩)の伝承を基に、日本での養蚕発祥の地として東日本各地へ信仰が伝播しましたが別当・桑林寺は神仏分離に伴い退転、明治後期に後嗣が無く廃寺となり、同社も養蚕の衰退と共に現在は斜陽の途にあります。 pic.twitter.com/FK5IOkuuVW
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【其の十三:香川・金刀比羅宮】平安時代に別当・松尾寺(金光院)が金毘羅権現を奉祀し、これに同地で崩御された崇徳上皇を併せ祀り、加えて近世には天狗信仰も習合し隆盛を誇りましたが、神仏分離により金毘羅権現は排され松尾寺は廃寺となり金刀比羅宮へと改組。主祭神は大物主命へと改められました pic.twitter.com/lWpSOPxycB
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以上で神仏分離に伴う奉祀対象の変更による、御札類に描かれた図様の変更に関するツイートは終わりですが、手持ちの資料が無いため出羽三山をはじめとする、その他の有名どころが無い点については御容赦下さい。続いて、神仏分離によって失われた御札や御影を紹介するツイートを致したく存じます。
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【其の十四:埼玉・両神御嶽神社】十一面観音を本地仏とする両神権現を奉祀。周辺域の社寺と同様に狼を眷属とし、江戸期には本山派修験の金剛院が別当を勤めましたが、神仏分離と修験禁止令を受けて木曽系の御嶽神社となり、本地仏は廃されましたが狼信仰についてはその後も存続し現在に至っています。 pic.twitter.com/P1dG3PRdmy
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【其の十五:兵庫・広峯神社】先述した八坂神社と同様に神仏分離以前には牛頭天王を奉祀。同社との総本宮を巡って今なお対立が続くという古社で、往時は広嶺山・増福寺と称し、配下の御師が牛王札を頒布していましたが、神仏分離で牛頭天王は廃され、加えて神職の世襲が禁止となり信仰は衰退しました。 pic.twitter.com/JYdRFyurAM
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【其の十六:東京・今熊神社】紀州・熊野本宮社を勧請したと伝わる古社で、失せ物に霊験あらたかな「呼ばわり山」の別称があります。大天狗・小天狗を眷属とする今熊権現を奉祀し、近世には正福寺が別当を勤めましたが神仏分離により独立。今熊権現は廃され須佐之男命・月夜見命が主祭神となりました。 pic.twitter.com/rHfUK6yJHY
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【其の十七:神奈川・大山阿夫利神社】本地仏を不動明王とする石尊権現を奉祀し、中世以降は大山寺が別当を勤めましたが神仏分離により石尊権現は廃され、頂上の石尊社と大山寺は其々が大山阿夫利神社の頂上本社と下社に改組されました。なお、大山寺は後年再興されるも石尊社の牛王札は廃絶しました。 pic.twitter.com/Le6ltp1BzX
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【其の十八:宮城・黄金山神社】日本五大弁天の一つと称せられ、近世以前は弁財天を奉祀する金華山・大金寺という真言宗の寺院でしたが、神仏分離により大金寺は廃寺、僧侶は還俗して神職となり、鉱山の神である金山毘古神・金山毘売神を主祭神とする黄金山神社へと改められました。 pic.twitter.com/staq2zOA6H
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これ以降は掲載可能な社寺画像が無いため御札の画像のみとなります。御了承下さい。 【其の十九:栃木/群馬・根本山神社】栃木・群馬両県に跨る根本山に鎮座し、本山派修験の大学院・大正院の2寺が別当でしたが、神仏分離により神社へと改組されました。なお、同社は彦根藩・井伊家の祈願所でした。 pic.twitter.com/3mSnPLfR0y
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追加【其の二十:福島・小高神社】近世には小高妙見社で妙見菩薩を奉祀し、金性寺と浄光院が別当を勤めるも、神仏分離により天之御中主神を祭神とする小高神社へと改組。金性寺は妙見菩薩を奉じて退転しましたが、印面にある浄光院はその際に廃寺となりました。※金性寺は小高町・関場地区に現在も存続 pic.twitter.com/JhHwAq2mJi
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追加【其の二十一:東京・武蔵御嶽神社(2)】従前の金峯山・御嶽蔵王権現から神仏分離により大麻止乃豆天神社⇒御嶽神社と改称を行った同社ですが、これに伴い金峯山の名を冠した神札は廃止。また政策により御札の授与は原則として社頭のみとされたため、御師による檀那場巡回の配札も無くなりました pic.twitter.com/pK2SpySues
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さて、上記で挙げた物以外にも細々とした資料はありますが、取りとめなくなってきたので以上と致します。なお、自分の知る限りでは神仏分離150年に関しては僧職系男子さん開催の企画展示(togetter.com/li/1250751)しか存じませんが、結局は公的な博物館・美術館での開催は無かったんでしょうか… pic.twitter.com/vZRpBeJHNV
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コメント

さば*とぅん!📿卍 @sabakuzukago 2019年1月5日
廃仏毀釈に関する本を読んでいるので参考になるかも。
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