尾上先生の勉強風景 (11) 『ヒトの変異』

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尾上正人 @9w9w9w92

Leroi, Armand Marie. (2003) Mutants: On Genetic Variety and the Human Body, Viking Penguin. =2006 上野直人監修・築地誠子訳『ヒトの変異ーー人体の遺伝的多様性について』みすず書房 パラパラ見た感じ、エピソードがグールドの連載エッセー並みにてんこ盛りだが、理論的な解明もあると嬉しい

2018-12-30 06:54:08
尾上正人 @9w9w9w92

「機能喪失型のほうは劣勢遺伝になりやすいから、両方の親から遺伝子の欠損を受け継いだときだけ、子どもの体に影響が出る。逆に機能獲得型のほうは優性遺伝になりやすいから、片方の親から受け継ぐだけで影響が出る」15頁

2018-12-31 04:57:48
尾上正人 @9w9w9w92

「新しい胚には両親になかった変異[de novo変異]が、およそ100個は見られる。…この約100個のうちのおよそ4個が、タンパク質のアミノ酸配列を変えることによって[非同義置換]、遺伝子の意味を変えてしまう。さらに、このうちのおよそ3個は有害なものだろう」18頁

2018-12-31 05:02:54
尾上正人 @9w9w9w92

「普通に生まれてくる一卵性双生児の50%は女児だ。どの時代のどの集団でも、女児のほうが男児より出生率はやや低いことを考えれば、この数字は予想よりもやや高いことになる。ところが結合性双生児では…77%が女児なのだ」30頁

2018-12-31 06:59:38
尾上正人 @9w9w9w92

シュペーマンのオーガナイザーの実体…「『シグナル分子』、つまり細胞が別の細胞とコミュニケーションをとるのに必要な分子…ヒトゲノムの3万個の遺伝子のうち、少なくとも1200個の遺伝子は、細胞間のコミュニケーションにたずさわるタンパク質[シグナル分子]をコードしていると考えられる」36頁

2018-12-31 07:13:43
尾上正人 @9w9w9w92

「人間の場合、糖尿病の母親は、アルコール依存症の母親同様、単眼症の子どもを産む確率が200倍になる」65頁

2018-12-31 10:39:49
尾上正人 @9w9w9w92

「左脳と右脳…の分割はソニックヘッジホッグ(ほかのたくさんのシグナル分子同様、これもモルフォゲン)によって誘導される。…ソニックヘッジホッグ遺伝子は発生中の胚のいたるところ、つまり胚が器官を発生させる場所のほとんどで、働いている」66-7頁

2019-01-01 03:45:24
尾上正人 @9w9w9w92

「ホメオティック遺伝子のおもしろい点は、種のあいだの相違よりも類似にある。はっとするような普遍性があるのだ。…ヒトの体を作る分子装置の多くは昔[10億年前]からあったことを最初に示したのが、ホメオティック遺伝子だ」87-8頁

2019-01-01 04:24:58
尾上正人 @9w9w9w92

「ジョフロア流の考え方の一部はいまや復活しつつある…四足の脊椎動物は…背腹をひっくり返したロブスターそのものだという考え方だ。…脊椎動物胚ではBMP4(骨形成タンパク質4)は腹側を形成するように細胞に命じるが、ショウジョウバエ胚では同種のシグナル分子は背側を形成するように命じる」91頁

2019-01-01 04:34:11
尾上正人 @9w9w9w92

「一段落するころには、サリドマイド薬害の子どもは46カ国1万人以上にも達したが、アメリカ合衆国だけがこの薬害から逃れた。食品医薬局(FDA)の慎重な役人たちが、当時ヨーロッパで売り上げ第3位だったこの薬をなかなか認可しなかったからだ」104頁

2019-01-02 03:09:30
尾上正人 @9w9w9w92

「サリドマイドをめぐるタブーは破られつつある。南アフリカでは、ハンセン病の治療に使われている。妊娠に気づいていない女性にも投与されてしまうため、再び四肢に異常のある子どもの出生が報告されはじめている」106頁

2019-01-02 03:15:16
尾上正人 @9w9w9w92

「無手無足症を引き起こす変異は、ソニックヘッジホッグが手足に存在するのに必要な調節要素を働かないようにするものであるという証拠ーーまだ議論の余地はあるがーーまである」111頁

2019-01-02 03:24:33
尾上正人 @9w9w9w92

「最終的には、ダーウィンは正しかったのかもしれないーー裏付けに使ったものは間違っていたが…科学者の予想に反してヒトーー四肢動物すべてーーには結局のところ多指の祖先がいたことが判明したのだ」117頁

2019-01-02 03:39:11
尾上正人 @9w9w9w92

「エクアドルのアンデス山脈の麓に、[成長ホルモンの]変異したレセプターを持つ50人強のコミュニティ…成人男性でもたったの124cm…カトリックにもかかわらずユダヤ系の名前ばかりで、異端審問から逃れて新世界にやってきた人たちの子孫と考えられ…モロッコのユダヤ人にも、まったく同じ変異」152-3

2019-01-02 11:18:26
尾上正人 @9w9w9w92

「ネグリトは大昔からいたことーー旧石器時代のアジアの最初の住人だということがわかった。ほかの人類と同じように彼らもアフリカからやって来たのだが、とくにアフリカ人や、ましてやピグミーと関係が深いわけではない。まったく独自にその小柄な体を進化させていったようだ」160頁

2019-01-02 11:19:24
尾上正人 @9w9w9w92

「ピグミー…の背が低いのは、『インスリン様成長因子(IGF-1)』というもう1つの成長促進ホルモンがやや不足しているせいらしい…成長ホルモンがIGF遺伝子を調節することによって、この2つのホルモンの血中濃度は上がったり下がったりする。しかしそれぞれのホルモンは成長に対して独自の貢献」164

2019-01-02 11:20:19
尾上正人 @9w9w9w92

「世界じゅうの人の身長にこれほどの差が見られるということは、私たちの身長は非常に柔軟性があるということだ。…小型化は世界じゅうの至るところでくり返し起こった」166頁

2019-01-02 11:21:53
尾上正人 @9w9w9w92

「世界の大山脈のほとんどの地域でクレチン症患者は見られる。…これらの地域に共通していることは、土壌にヨウ素が含まれていないことだ。…氷河が侵食したり、雨が降ったりして…植物そのものにヨウ素が含まれなくなる。…世界のおよそ10億人がヨウ素不足の恐れがあり、600万人がクレチン症だ」170頁

2019-01-02 11:22:50
尾上正人 @9w9w9w92

「甲状腺腫は、甲状腺…に腫瘍が出来て大きくなったもので、クレチン症と同様、ヨウ素の摂取不足の紛れもない兆候だ。…イギリスではこうした[甲状腺腫の肥大化した]首は『ダービーシャー・ネック』と呼ばれる[ダービーシャーの土にはヨウ素が不足していたため]」171頁

2019-01-02 11:24:06
尾上正人 @9w9w9w92

「18世紀のイタリアでは年間およそ4000人もの少年が、黄金の声を手に入れるために睾丸を失った[カストラートになった]。だがこの犠牲に見合う報酬を得られたのは、ほんの一握りの者だけだった。…カストラートの人気が衰えると、教皇ピウス10世はカストラートを禁止した」174-5頁

2019-01-02 11:24:56
尾上正人 @9w9w9w92

「睾丸、つまり精巣は男という性を調節するホルモンシグナルの源であるだけでなく、思春期後期に成長板を閉じて成長を止めるように骨に指示する、少なくとも1種類のホルモンの源でもあるのだ…精巣で出来たエストロゲンが思春期後期の骨に成長板を閉じるように指示すると、成長は止まるのだろう176-7

2019-01-02 11:25:45
尾上正人 @9w9w9w92

「1890年に28歳で亡くなった、いわゆる『エレファントマン』ことジョゼフ・メリックは、[PTEN遺伝子の片方に変異を持つ]プロテウス症候群だったといまでは考えられている。もしそうならば、彼の一生は短かったが、28歳まで生きられたのは幸運だと言える」179頁

2019-01-02 17:50:54
尾上正人 @9w9w9w92

「成長とがんの密接な関係…グレートデーンの子イヌとチワワの子イヌをくらべると、前者の[細胞を増殖させるホルモン]IGFの血中濃度は後者の数倍もある…グレートデーン、ニューファンドランド、セントバーナードなどの大型犬は、骨肉腫になる危険性が小型犬の80倍もある」179頁

2019-01-02 17:51:23
尾上正人 @9w9w9w92

「イヌと同じように[ヒトの]子どもも、体が大きいと骨肉腫になる危険性が増す。子どもの骨肉腫の50%超が、同年齢の子どもの、身長の上位25%以内に入っている。…問題はサイズそれ自体ではなく、大型犬や長身の子どもは成長ホルモンとIGFの血中濃度が高いのではないだろうか」180頁

2019-01-02 17:51:51
尾上正人 @9w9w9w92

「アメリカの大学の正教授は、準教授よりも平均約2センチ高いし、学部長はさらに高い」185頁

2019-01-02 17:52:11