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【ネタバレ有り】「来る」感想。怪獣映画としての心霊ホラー。

ホラー映画「来る」についての感想です。原作未読。ホラー演出の面から感じたことをまとめています。
ホラー 映画 感想 来る
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ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
「来る」観終わった。期待以上に面白かった。後半の怒涛の展開はちょっと予想外で怖い以上にスゲエって感じ。柴田理恵と松たか子が超かっこよかった。あとマコトちゃんがすげーヒロインだった。全身傷だらけのパンク女子霊媒良い…
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
飯食って帰って一息ついたので「来る」の感想でもつぶやくかな。ネタバレ注意。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
さて、まず気になったところとして、原作タイトル「ぼぎわんが、来る」。作中冒頭にも何度か「ぼぎわん」と言及されるが、特にこの「ぼぎわん」が「何なのか」という言及はなかった。普通ホラーだとこれはなにそれの怪でという解明があるものだが、「来る」においては具体的な由来などは一切不明のまま
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
だがこれが「子盗りの怪」として伝わっていること、実際に最初に一人子供が消失していること、加えて貞子や伽椰子のようなホラーアイコンがなく不定形で明確な形態がないことから、この「ぼぎわん」とはスコットランドの子盗り鬼「ブギーマン」が訛ったものなのではないかという気がする。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
どうも日本の伝統的な妖怪の名前でもなければ音の響きが微妙に日本的ではないのでそうだろうと踏んだのだが、それが関西の地方に伝承として伝わっていることには原作では説明があるのだろうか。もちろん作者がブギーマンから着想を得て日本風に翻案し音を訛らせた創作の可能性もあるんだが。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
そこらへん近いうちに原作を買って読んで確認してみるとしよう。さて肝心の映画の内容についてだが、この映画、ホラー映画であるがの先述のようにホラーアイコン的なキャラクターはいないため、結構血みどろではあるもののホラーによくある定番演出は控えめである。だが地味かというとそうではない。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
まず前提としてホラー映画にはいくつかの定番演出スタイルがある。完全に自己流ではあるので明確性に欠けるが、これを分類すると、1:ショッカー演出 2:空気演出 3:モンスター演出 4:グロテスク演出 5:因縁演出 6:社会演出 となると思っている。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
それぞれをざっと説明すると 【ショッカー演出】ホラー映画においてもっとも定番の「びっくりさせて怖がらせる」演出である。突然窓からゾンビが突っ込んでくる、振り返ったら誰もいなかったので安心して前を向いたら目の前に幽霊がいた等の、視聴者の意表をつくことで怖がらせるもの。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
【空気演出】ホラー的な不安を煽る空気感を醸し出す。不自然に傾いていたりやたら低い位置や高い位置の構図や、場面の一部をあえて映さず見えないところで何かが起きてることを匂わせたり、さらには照明や音響などを加えて怖い実体や現象を映さずそれ以外で不穏さを醸し出す演出。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
【モンスター演出】そのものずばりホラーの華たるおばけのこと。お岩さん、貞子、伽椰子などの怨霊。超常的な殺人鬼としてのジェイソン、フレディ。人智を超えた魔物としてのピンヘッド、富江。怪物のエイリアン、マタンゴ。狂人としてのレザーフェイス、ジャック・トランス、田治見要蔵。数多のゾンビ
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
【グロテスク演出】観ていて単純に違和感・忌避感・不快感ものを映す演出。スプラッター映画における血しぶき、死体、臓物、損壊した人体や損壊する様、解剖、人肉食、非常に醜い化物、奇形、不潔さや不衛生さを強調した物体。虫、蛇、蜘蛛、ミミズなどの脅威よりも生理的嫌悪感を催させる生き物など。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
【因縁演出】物語上で怖いことが起こる原因とその筋道の演出。お岩さんが化けて出るのは伊右衛門に殺されたから、呪いのビデオを生んだのは山村貞子の怨念といったようなもの。基本的には原因は最初は明らかでなく、物語の進行によって開示されることによって恐怖の根拠が確定し怖さへの説得力を与える
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
【社会演出】社会や集団、ひいては人間の怖さを前に出す演出。超常的な現象や怪物、直接的な身体の危機や死よりも日常誰にでもありうる人間や社会の闇の部分を映す。ストーカー、復讐、監視社会、排他的な集団、良い人の本性、陰口やいじめ、嘘、共感性の欠如、社会正義、独善、DVなど。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
さらにこれに【音響演出】もあるのだが、音響はすべてに関わっているものなのであえて独自の分類はしない。とりあえず概ねこの6つくらいの演出の組み合わせでホラーはできていると理解できる。そしてホラーにおいて一般的に多いのは【ショッカー演出】と【モンスター演出】だろう。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
ショッカー演出は人間の生理的反応を引き出すものなのでどこでも一定の効果が望める。ショッカー演出を活かすために直前に不安演出で客をじらしておき、最適なタイミングで大きな音響やモンスター、血しぶきなどのグロテスク演出等を炸裂させれば比較的簡単に視聴者は怖がってくれるわけだ。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
さて、「来る」にもこのショッカー演出はたびたびある。多くは「ガラス(すりガラス)に血の手形」という形でおきるのだが、逆に言うとショッカー演出の多くがこのようなものでありモンスター演出はほぼない。正確に言えばアイコン的な特徴的モンスターは出ず、怪が現象的。不定形なのである。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
ショッカー演出はその本質が「びっくり」にあるため、同じ刺激では飽きられやすいため他の演出と様々に組み合わせ、手を変え品を変え繰り返される。しかし「来る」においてはその組み合わせのバリエーションはシンプルであり、そのためショッカー演出の効果を最大限に活用しているとは言えない。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
逆に言えば「ショッカー演出は利用しているがそれに頼ってはいない、ショッカー演出を恐怖の中心軸にしてはいない」という意図を感じる。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
一方、135分という長尺ということもありショッカー演出の登場回数自体は多い。そのため、ある程度パターンの定まったショッカー演出を回数見ることもあり、後半になると視聴者はショッカー演出に慣れてくる。びっくりで得られる恐怖は後半は抑えめになるのである。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
これが普通のホラー映画であれば失敗と言える。似たようなドッキリの繰り返しでだれてしまい、最後は怖いどころか失笑ものになってしまう。が、「来る」の場合はそうはならない。なぜかというと「来る」は前半と後半…正確には序破急の三幕でその恐怖と物語の質ががらりと変わっていくからである。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
まず序幕。ここが一番オーソドックスにホラー映画をしている。とある母と幼い娘に不可解な超常現象が降りかかる。それを祓うために夫は友人のつてで霊媒を紹介してもらうが手に負えず次々と「何か」の力に破れ、最後は強力な霊能力者の助言によって一人でやって来る「何か」を迎え撃つことになる。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
第二幕、「何か」の来訪より一年半後、妻は一人働きつつ幼い娘を育てている。しかし夫の親族とも絶縁され人間的に問題のある母は頼りにできず、日々パートと育児に追われ疲労とストレスに追い詰められていく。ある日、妻はついに娘を捨てて女に戻るが、それとともに再び「何か」がやって来る。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
そして第三幕へと至って物話は霊現象に襲われたある家族の話という枠から飛躍的に拡大し、大規模な「心霊戦」にまで発展してゆく。夫→妻と変遷してきた物語の中心はいつしか、最初に夫に霊媒の女を仲介したやさぐれたフリーライターの男に収束してゆく。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
こうして物語の中心軸が変わることにより、それより見えてなかった視点が次々に提示されてゆく。妻と娘を溺愛し毎日育児ブログを更新してはイクメンサークルのリーダー的存在だった夫の本性。真面目で大人しく、育児ノイローゼに疲れ果てながらも死んだ夫の忘れ形見である娘を守り育ててきた妻の本心。
ラヂヲヘッド @Radio_paranoia
子供は嫌いと嘯きながらも霊媒の女とともにたびたび娘を気にかけ続け、そんな「どうでもいい他人の娘」のために最後の最後まで死地に残ったフリーライターの抱えた弱さと瑕。
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コメント

しゃーきち @sk_tak 9日前
『二重螺旋の悪魔』も久しぶりに読みたいな…
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