大切な人を守りたい

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レン @rain560509

《大切な人を守りたい》 その日、“ヤスと飲みに行くことになったから、先に寝といて。”と彼から連絡が入ったので、“わかった。じゃあ、今日は帰るね。”と返信して自分の部屋に帰ることにした。 夜中、違和感で目覚めると、完全に酔っ払った彼が覆いかぶさっていた。 『○○シよ?』 #エイトで妄想

2018-12-02 11:23:38
レン @rain560509

「え?ちょ、まっ、て…忠義」 聞いておきながら、返事を待たずに進める彼は酔っていても力強くて止めることが出来ない。 『またへん〜。』 そのまま、行為は進み彼に押し負けた私は彼の愛情表現を受け入れた。 「あっ、もう…」 『ん、一緒に…』 その瞬間、いつもは感じない何かを感じた。

2018-12-02 11:24:16
レン @rain560509

翌朝 『あぁー』 朝から彼の叫び声が響いた。 手を止めて様子を見に行く。 『え?○○?え?何で?』 「忠義、何も覚えてないの?」 『え、うん。もしかして昨日シたん?この感じ。』 「知らない。寝てたもん。」 『マジかー。ぜんっぜん覚えてないわー。』 「もう、早く服着てよ。」

2018-12-02 11:24:58
レン @rain560509

この時は、知らなかった。 運命が大きく変わることを。 「ヤスくんからLINEきてたよ。“大倉がうるさいから○○ちゃんちまでタクシーて送ってん。ごめんけどあと頼む”だって。」 『あー。やから、ここにきたんか。』 「ヤスくんにお礼の連絡しなよ?」 『うん。』 「じゃあ、仕事いくからね」

2018-12-02 11:27:05
レン @rain560509

それから、数週間がたった。 あのあと、忠義が忙しくて逢えない日々が続いていたのだけれど、日に日にあの時に感じた不思議な感覚が増していく。 「覚悟を決めるしかないよね。」 買ってきた検査薬を握りしめトイレへ。 「やっぱり…」 ホントはわかってた。 あの時に出来たと感じたもの。

2018-12-02 11:28:04
レン @rain560509

でも、いざとなると、どうしていいのか分からない。 産みたいけど、今は彼には 足手まといかもしれないし。 考えても考えても答えが出ない。 そんな時に限って忠義からLINEがくる。 “逢いたいねんけど” 逢いたい。でも、無理。 逢えば、きっと、いや絶対そうなるもん。 “ごめん、明日早いの。”

2018-12-02 11:28:44
レン @rain560509

それからは何度か連絡がきたけど、実家から母が来たとか言い訳をして断った。 ちゃんと話さなきゃ。 でも…何て言えばいいの? また忠義からのLINE “今から行ってええ?” “ごめん、今日は友達の家に泊まりに来てるの。部屋には居ないから” この些細な嘘がきっかけになるなんて思ってもみなかった

2018-12-02 11:29:18
レン @rain560509

~彼side~ やっと時間が取れるようになったのに、○○に逢えてない。連絡しても断られるばっかで。でも、ちゃんと理由も話してくれてるし、仕方ないと思っていた。 そんなある日、○○の部屋の近くを走ってたから“今から行ってええ?”ってLINEしたら今度は“友達の家に泊まりに来てるの”って返ってきた

2018-12-02 11:29:46
レン @rain560509

でも、部屋の前を通り過ぎる時に見えた部屋の明かりは点いていた。 何でなん?部屋にはおらへんのちゃうの? まさか、浮気とかちゃうよな? 今すぐ乗り込んでいきたいところやけど、揉めたりしたらあかんよな。 週刊誌に載るようなことにでもなったらアカンから。 この時は我慢した。

2018-12-02 11:30:30
レン @rain560509

~彼女side~ 忠義を避け続けて数週間が経った。 期限も差し迫ってきた時、忠義からの電話が掛かってきた。 「もしもし」 『もしもし、久しぶり。』 「うん、久しぶり。忠義、元気?」 『うん、○○は?』 「あ、うん。忠義、あのね…」 『なぁ、今から行ってええ?』 「え、あの、それは…」

2018-12-02 11:31:19
レン @rain560509

『なぁ、○○。オレに逢いたくないん?』 「そ、そんな事ないよ。逢いたいよ。」 『嘘つけや。最近、いつ誘っても断るやん。』 「それは…ちゃんと理由は話してるでしょ?」 『この前、行ってええ?って言った時、実は部屋の近くまで行っててん。部屋、電気点いてた。ほんまは、いたんちゃうの?』

2018-12-02 11:31:55
レン @rain560509

「うそ、きて、くれてたの?」 『電気点いてたから行けんかった。誰かがいるんちゃうかと思って。』 「え?誰かって?」 『○○、浮気しとるやろ。』 「は、え?浮気なんて、するわけないじゃん。」 『じゃあ、何で?嘘ついたりするん?』 「それは…」 『ほんまは、あの時乗り込みたかった』

2018-12-02 11:32:41
レン @rain560509

え?なんで、こんな…。 『でも、出来ひんかった。揉めて週刊誌載るとかなったらと思うと。なぁ、あの時、他の男とおったんちゃうの?ほんまのこと言うて?』 「忠義は、私が浮気してると思ってるんだ。」 『思ってるってゆうか、ちゃうんやったら、納得のいく説明出来るやろ?』 でき……ないよ。

2018-12-02 11:33:12
レン @rain560509

結局、喧嘩したまま電話を切った。 本当は、1番話すべき人なのに。 でも、あの一言で話しちゃいけない現実を突き付けられたような気がした。 週刊誌… きっと、あることないこと書かれて、忠義やメンバーや大勢を傷つけて、そんな未来を安易に想像出来て恐ろしく感じた。 「やっぱり、この子と…」

2018-12-02 11:33:51
レン @rain560509

そうと決まれば、強いものですぐに子供と暮らせるところに引越しを決意。 職探しと新居探しで手間取ると思いきや、運良く住み込みで働かせてもらえる食堂に出会えた。 お腹に子どもがいることも、一人で産もうとしていることも理解して受け入れてくれた。 すぐに引越しして、最後に忠義の家に行った

2018-12-02 11:34:17
レン @rain560509

もう、私の事なんか思い出さないように荷物を片付けて、手紙を書いた 〈忠義へ。突然ごめんなさい。本当のことを言います。忠義の他に大切な人が出来たの。彼のことは私しか守ってあげられないから、もう忠義とは一緒に居られません。ずっと言えなくてごめんなさい。〉 部屋を出て鍵をポストに入れた

2018-12-02 11:34:45
レン @rain560509

あれから数ヶ月後、私は無事に男の子を出産した。 あの手紙に彼をと書いたのは私の直感でしかなかったけど、何か確信みたいなものがあって。 彼に似て色白な可愛いこの子を私が全力で守ると心に誓った。 それからは、食堂のおかみさんの力も借りて働きながら育てた。 でも、その日は突然やってくる

2018-12-02 11:35:12
レン @rain560509

あれから2年が経った。 今でも食堂で働きながらこの子と幸せに暮らしている。 〈○○ちゃん、そろそろランチ閉めるから休憩の札出してきてくれるかい?〉 「はい、わかりました。」 ちょうど、ランチ最後のお客様も帰られて、お昼の営業はおしまい。表に休憩の札を出しに出た時だった。

2018-12-02 11:35:38
レン @rain560509

『え?○○?』 急に声をかけられた。懐かしいあの声で。 「あ、忠義…」 ど、どうしよう。 『○○、元気そうやな。』 「あ、うん。忠義は?」 『オレは…』 「あ、でもいつもテレビ見てるよ。あの頃よりも、もっともっと有名になっちゃって。あ、こんな所歩いてどうしたの?」 『たまたまやねん…』

2018-12-02 11:36:43
レン @rain560509

「そうなんだ。」 『○○、ずっと探してた。喧嘩したままで、オレの前からおらんくなって。ちゃんと○○の口からほんまのこと聞きたかった。』 「ごめん、酷いことして。忠義に合わせる顔がなかったからだよ。」 『なぁ、今から話できひん?』 「ごめん、仕事あるから無理だよ。じゃあ」

2018-12-02 11:37:09
レン @rain560509

中に戻ろうとした時だった。 [ママー] 〈たぁくん、危ないから急に飛び出しちゃダメだよ。〉 中から2人が出てきた。 『ママ?え、○○子供産んだん?』 〈たぁくん、中でいい子で待ってようね〉 咄嗟におかみさんが中に連れてってくれたけど… 『なぁ、たぁくんって、何?子供、なんて名前なん?』

2018-12-02 11:39:32
レン @rain560509

「あの、これは…」 『○○、ちゃんと教えて?』 グッと手首を掴まれて、もう逃げられない。 〈○○ちゃん、中で話しな?もう、逃げられないだろ?〉 『突然すみません。お邪魔します。』 忠義に引っ張られて中に入った。 [ママー] 「たぁくんごめんね。お話あるから待っててね。」 [あい。]

2018-12-02 11:40:16
レン @rain560509

おかみさんが一緒に奥へ連れて行ってくれた。 『むっちゃええ子やん。○○に似てる』 「そう、かな。」 『オレの子なんやろ?』 「パパから貰ったのは色白なとこと、名前。忠の字をもらってつけたの。」 『あの時、何でほんまのこと話してくれんかったん?』 「それは…」 『話して?』

2018-12-02 11:40:49
レン @rain560509

全部話す覚悟を決めた。 「忠義は覚えてないんだけど、ヤスくんと飲みに行った日にヤスくんが家までタクシーに乗せて送ってくれたあの日だよ。」 『あの時…』 「ちゃんと検査してお腹にいるって分かってからは、言おうかどうか迷ってすぐには言えなかった。だって…」 『だって、なに?』

2018-12-02 11:41:22
レン @rain560509

「それに、逢いたかったけど、逢えばそうなるのが分かってたから逢う事も出来なくて、それで断ってたの。」 『そうだったんや。』 「それで、あの喧嘩だよ。」 『オレ、何も知らんとごめん。』 「ううん、違うの。浮気してるって言われた事も悲しかったけど、それ以上に週刊誌って言葉が怖かった」

2018-12-02 11:41:47