茂木健一郎(@kenichiromogi)さんが語る「ギャグ」

茂木健一郎さんの5月3日朝の連続ツイート。 赤塚不二夫のマンガを例に出してギャグ・ギャグ魂についてのツイート。
2
茂木健一郎 @kenichiromogi

ギャ(1)武居俊樹さんの『赤塚不二夫のことを書いたのだ!!」は、映画の原作になっているとは知らないで読んだ。敬愛する赤塚不二夫さんの「ギャグ魂」に触れて、なんというか、勇気をもらったように思う。

2011-05-03 08:04:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

ギャ(2)日本が元気だった頃の笑いの質は今とは異なっていて、「ナンセンス」が満載されて爆発していたと記憶する。赤塚不二夫さんの『天才バカボン』や『レッツラゴン』のような傑作ギャグ漫画には、文脈を壊して生命をふくらませる技法が満載されている。

2011-05-03 08:06:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

ギャ(3)武居俊樹さんの本には、赤塚不二夫さんと、長谷邦夫さんらブレーンが、いかに必死に、そして真剣に漫画の生命線である「ネーム」の元となる「アイデア」を練っていたかが描かれていて、感動的だ。ギャグには、それだけのエネルギーを込めなければならない。

2011-05-03 08:08:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

ギャ(4)『天才バカボン』には、政府転覆を画策する回があって、まずは机や自転車など、いろいろなものを逆さまにして転覆の準備をする。アジトの看板も逆に掲げて転覆。しかし、ダルマを転覆しようとして、何回やっても元に戻ってしまい、パパはあきれて辞めてしまう。

2011-05-03 08:10:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

ギャ(5)『天才バカボン』の、フェミニストの女性が登場する回。「ナンセンス!」と連発する彼女に、バカボンのパパは「草津オンセンス!」などと逆襲。彼女もばからしくなってゲラゲラ笑い出してしまうのだ。

2011-05-03 08:11:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

ギャ(6)ギャグは、一つの反骨精神。正義を押しつけようとしたり、ある決まったものの考え方に凝り固まろうとする人たちに対して、決死の反撃を試みる。満州から命からがら帰ってきた赤塚不二夫さんの胸の中には、そう簡単には枯渇しない虚無ぎりぎりの生命の泉があったのだろう。

2011-05-03 08:12:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

ギャ(7)赤塚マンガを代表する「反骨」のキャラクターと言えば、「ニャロメ」。猫だとばかにして抑圧しようという人間たちに対して、「ニャロメ!」と反発する。無謀だとわかっていても、美人を見つければ「結婚しろ、ニャロメ」と迫って、「猫の癖になによ」と蹴られてしまう。

2011-05-03 08:14:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

ギャ(8)当時運動していた学生たちが、ニャロメを愛したのは当然のことだったのだろう。赤塚不二夫さんの諧謔精神は、学生運動が振りかざしていた「正義」にも向けられていた。そのことを、学生たちもうすうすはわかっていたのではないか。

2011-05-03 08:15:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

ギャ(9)小学生の頃、男の子はギャグ精神が満開で、バカなことをやって喜んでいる。それが、次第に大人しくなって、従順な社会人になっていく。秩序は大切だが、ギャグ精神がゼロになってしまうと、社会を変えるエネルギーも失われる。男の子の魂よ、永遠なれ!

2011-05-03 08:16:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「ギャグ」についての連続ツイートでした。

2011-05-03 08:17:03