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『ベーオウルフ叙事詩』の日本語訳本紹介(初心者さん向け)

ベーオウルフ叙事詩の日本語訳本を、初心者さん向けに紹介していくまとめ。 最後の方に意訳へのリンクなども。 まとめ内は全て敬称略です。 続きを読む
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aya @bgcaya
Q:長いまとめはややこしいから一行で、初めての一冊に良さげなのを教えて A:岩波文庫の忍足欣四郎
aya @bgcaya
※ここでは個人的主観で“物語を楽しく追える”方向性に絞ってお勧め云々と書いています。しかし私は本来、人に勧められる程も知らず、初心者なりに楽しんでいる体験を元にしたごく狭い分でしか紹介出来ません。それでも自分が本を選ぶ時や、読み始めた頃に欲しかった情報をお届け出来たら嬉しいです。
1:日本語訳本、沢山あるけど何が違うの?
aya @bgcaya
翻訳は、訳者ごとの表現次第で印象が変わります。 しかも現在進行形で研究され続けているこの叙事詩は、人によって解釈が異なる部分も多いのです。時には、本ごとに場面の意味や印象ががらりと変わる事も。
aya @bgcaya
「さまざまな解釈を生み出している」 「どんなに優れた刊本でも絶対的なテクストと解釈はあり得ない」 (苅部恒徳・小山良一編著版より)
aya @bgcaya
加えて、註釈の内容は本ごとに大きく異なります。意味が通りにくい点の補足、言語としての解説、当時の社会背景などなど、得られる情報は様々です。 本を選ぶには文体の好みも重要かと思いますから、解釈的にほぼ差違の無い一文を比較用に置いておきます。 pic.twitter.com/ev0MFer5vg
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aya @bgcaya
@1 画像の中の、「行数」につきまして。 叙事詩は3182行からなる詩です。 多くの訳本には行数の記載があり、原詩の何行目辺りの翻訳であるのかが分かるようになっています。他の訳本や原詩と比較する際にとても有用。
2:書籍紹介・翻訳本

本編中に登場するフィンの挿話と同一の内容(一つ目の戦い)を綴っていると思われる古英語詩の断篇『フィンズブルフの戦』をも収録している訳本には、タイトルの前に「*」を付けました。

aya @bgcaya
『中世イギリス英雄叙事詩 ベーオウルフ』忍足欣四郎:訳/岩波文庫 入手難易度、内容の読み易さと濃さからして最初の訳本にお勧めする一冊。 前書き内に三ページ分で全体の粗筋があり、各節の冒頭ごとにもよく分かる粗筋つき。 pic.twitter.com/uLeOZbxvH2
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aya @bgcaya
粗筋だけで充分掴ませてくれる初心者救済システム搭載本と言って過言でない。訳注と解説も充実。 個人的に開く頻度が一番高いです。私的な好みで言えば唸るほどの日本語表現力に溢れていて、延々ぱらぱら読んでしまう。
aya @bgcaya
『トールキンのベーオウルフ物語 <註釈版>』J・J・R・トールキン、クリストファー・トールキン:著/岡本千晶:訳/原書房 読み易い文体と小説風の段組とで、初めての方にも物語がとても頭に入り易いと思います。 解説たっぷり、約五百ページの厚みは一歩踏み込みたい方に読み応え抜群。 pic.twitter.com/7kCyzmBr7L
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aya @bgcaya
時代背景事情や、それにテキスト構成を鑑みて「なぜこういう意味で解釈するのか」なども細やかに書かれています。 厚みの内訳は、P17~112が翻訳、P113~408が覚え書きと註釈、P409~476が二次創作の小説『セリーチ・スペル』とその解説と古英語テキスト、P477~P490が二次創作の詩とその解説。
aya @bgcaya
『ベーオウルフ 附フィンズブルフの戦』厨川文夫:訳/岩波書店 本邦初の翻訳本。忍足先生曰く「細部に至るまで原作に忠実な、学問的に厳密なもの」。現代文ではない為、文体を一見して馴染みがないと感じられた方への一冊目にはお勧めしにくいです。 pic.twitter.com/rfETvBAydJ
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aya @bgcaya
それでも話の流れが頭に入ってから開くと、一転して驚くほどすらすら読める美しい文章です。 註解の他に固有名詞略解があり、歴史上の時代背景や登場人物の他の伝承類との照らし合わせに関しては別格の詳しさがある本。
aya @bgcaya
『新口語訳ベオウルフ』大場啓蔵:訳/篠崎書林 銘打たれた通りの口語訳として、文体は読み易い。参考文献比重は厨川版に重きを置いたそうで、内容は確かに厨川版を噛み砕いた感じ。 pic.twitter.com/f5xWgsC1Py
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aya @bgcaya
しかし訳本ゆえ当然ながら原詩の話の飛び方や内容の理解難易度はそのまま。初心者向けとは言い難いので厨川版と並べて読むのが良いかも。 (このまとめで紹介している物の内、現在この本だけ紛失しているので、すみませんが内容を訊かれても答えかねます。家の中のどこかにはあると思うんだ……。)
aya @bgcaya
④'『新口語訳ベオウルフ ─改訂版─』大場啓蔵:訳/篠崎書林 上の情報は旧版です。こちらは千数百箇所もの訂正を加えたものだそう。めちゃくちゃ読み易くなっています!初見の人が内容についていけるような補助的な内容を加味した文面になり、話の繋ぎ方もスマート。新旧では断然こちらをお勧め。 pic.twitter.com/B9DOx8LETc
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aya @bgcaya
『中世英雄叙事詩ベーオウルフ韻文訳』枡矢好弘:訳/開拓社 韻文訳で、文体は歌詞を読んでいるのに近い感覚でした。 内容はドラマ性と韻に振り幅が大きい印象。(原文を読めない私には訳の忠実度は測れませんが、他の訳本にないニュアンスで表現されて場面の印象が少し変わる箇所が多かったです。) pic.twitter.com/owVTvbwq7A
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aya @bgcaya
註釈がページ下部に収まっているので、他の訳本のように本文を読みつつ後方の註釈を捲って、と逐一行き来しなくて良い反面、注釈量は少ないです。
aya @bgcaya
ドラマ性重視で不要箇所が削られたのか、691〜707行がごっそり飛ばされていました。(私が意訳を作る際に頭を悩ませた箇所だった為に抜けていると気付きましたが、もしかすると他にも省略されたところがあるかもしれない。他の訳本と全文は比べていないので未確認。)
aya @bgcaya
余談。完全に読み手の問題なのですが、ネットに毒されているせいで全文がラップのリズムで頭に入って来るのがつらかった。それだけ韻が良い感じだったとお考えください。「すべて」が「すぺて」になっている誤字を見つけても、「歌い手さんが噛んだ!可愛い」と無闇に胸キュンしたから素敵な本です。
aya @bgcaya
『ベーオウルフ 附フィンネスブルグ騒乱断章』長埜盛:訳/吾妻書房 画像の通り、目次に内容が羅列されている為、内容は掴み易くなっています。 所々に人名のサポートは入りますが、巻末等に注釈はありません。 pic.twitter.com/1qp7dn9ggP
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aya @bgcaya
場面が変わる際に一行空けてくれているお陰で、読みながらの場面整理が格段に容易。文体もかなり読み易い方かと。註釈がない割に初めてでもするっと通し読めそうな感。
aya @bgcaya
『ベーオウルフ』小川和彦:訳/武蔵野書房 帯に「苦心の訳業」とある通り、表現手法がまさに狂気の縛りプレイ。①逐行逐訳、②頭韻詩、③原則七五調。 「十行と進まぬうちに思ったより困難だと気付いた(前書きより/要約)」←なぜ最初の十行未満でやめなかったんです??? と言いたい。 pic.twitter.com/WbUJIm0IPD
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コメント

ありがとうフルボイスと強化 @bgcaya 1月26日
・各書籍の行数表記についての説明を追加しました。 ・衍字を白くデコレーションして誤魔化しておきました。 ・叙事詩の文面の並び方という画像内に誤字もありますが修正しません。  誤:大軍で攻めかかる「と」潔しとは → 正:「を」
ありがとうフルボイスと強化 @bgcaya 2月6日
・1ー④大場版の『改訂版』を追加 ・1ー⑧『古英詩大観』を追加←記号を入れ損ねましたがフィンズブルフの断篇あり ・3ー③『カラー版少年少女世界の文学』を追加 他にも訳本は何種類かネットで確認しています。入手・読了次第追加しますが、古書でも見付かりにくい&発行書店から入手可能なものは高価だったりと、なかなか進まないのでゆっくり収集したく思います。
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