簡単解説 WW2日本レシプロ戦闘機の翼端失速対策

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M-鈴木 甲28 @kapitan_black

中島飛行機の戦闘機の主翼は前縁後退角0を選び、三菱(堀越氏チーム)は翼端捻り下げを選んでいる。どちらも目的は翼端失速からくる操縦不能状態を避ける事。

2019-01-23 07:30:21
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

失速とは、速度が落ちた事で揚力(正常な姿勢の機体の向きで言えば翼から得られる重力に逆らい機体の高度を維持する力)が不足した時に、機首を上げて翼にあたる気流の向きを変えて揚力を維持するんだけれど

2019-01-23 07:36:05
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

そも、機首を上げて揚力を稼ぐのは空力学的には無理筋な話で無理が祟ると限度を越えてしまい、気流が翼の表面に沿って流れなくなり効率が一気に悪化、揚力を生まなくなり、機体がガクッと落ちる。これが単純失速で、機首が落ちて(下がって)増速すると自然に揚力ももどり、飛行は安定にもどせる(らしい)

2019-01-23 07:44:15
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

ところが、飛行機は失速すると良く「錐もみ」状態に、最悪だと水平な姿勢のままくるくる回って落ちてしまう場合がある。錐もみは無茶苦茶Gがかかり、搭乗員が失神しかねないし、機体も壊れかねない。水平錐もみは飛行に必要な方向の速度が得られないまま落ちて行くので回復できずに墜落する事になる。

2019-01-23 07:52:05
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

どちらも、回復には経験と運が必要な、つまりは可能な限り発生を避けるべき状態 で、大体の場合、発生原因は「翼端失速」で、前述の「失速」が翼の端から生じる。左右対称に見えても大体の場合左右どちらかで先に起きる。そして起きた側にガタッと傾き失速にはいり・・そして錐もみに入ってしまう。

2019-01-23 08:00:01
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

何故翼端から失速するのか?それはほとんどの翼は強度の都合上根本が前後幅があり端に向けて狭くなる形なのだけど、翼の前縁は機体の軸に対し後退角をつけられる場合が多い。(構造が単純で強度上有利だし)

2019-01-23 08:18:58
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

すると気流は翼の表面を流れる時に端に逃げる向きに流れ、それは翼端で機体の後に尾をひく形の渦を生じ、こいつが悪さをして失速を誘発する(間違っていたらすんません)

2019-01-23 08:19:26
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

これを防ぐには大体二つの手があり、1つが主翼前縁後退角を無くす事、これで機体から翼端方向ふの流れが抑えられ、危険性が減少する。

2019-01-23 08:27:49
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

もう一つが翼端の捻り下げで、機体を水平に置いた時の主翼断面形状が、根本で迎え角が大きい(上向き気味)が端に行くほど迎え角が小さくなっている。これも失速が起きるにしても「端から」は避けると言う目的の工夫

2019-01-23 08:32:43
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

そして戦闘機は空中戦を行うものであり、大方激しい機動の中で急旋回、運動エネルギーの喪失、揚力維持の為の無理な姿勢を求められるもので、航空機でも戦闘機が最も翼端失速と付き合いが深いと言っても過言ではない。

2019-01-23 09:31:41
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

以上、主にスト魔クラ向けの用語解説でした。(多分に私より構造や状況の用語に頻繁に触れていない方々が多いかと思います・・詳しいかたは、補強解説や訂正宜しく)

2019-01-23 11:10:28