小菅信子@nobuko_kosuge女史の語る、『ジャーナリズム』とはなにか・・・クリミア戦争、『偶像ナイチンゲール』、センセーショナリズムの意義に言及して

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小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

ジャーナリズムとセンセーショナリズムの関係は、いわば宿命的なものです。むろん度が過ぎるとよくないのです、本当によくないのです、けれど、しょこたん@amneris84のいうように、センセーショナリズムは、ジャーナリズムに必要なものでもあると、私は思います

2011-05-04 00:56:59
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

ジャーナリズムの歴史で画期的だったのは、私は、クリミア戦争で、The Timesが派遣した、最初の従軍記者ウィリアム・ラッセルの活躍だと思います。ラッセルは、戦場がどんなに悲惨で、自国(イギリス)の負傷兵たちがどんなに苛酷な状況にあるかを記事に書きました。②

2011-05-04 01:01:17
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

ラッセルの記事は、当時の通信技術の進歩と大衆ジャーナリズムの発達を背景に、一両日のうちに本国の人々に戦場の真実を伝え、人々の「驚きと怒りの感情(=feelings of surprise and anger; The Times, 14 Oct. 1854)」を呼びさましました③

2011-05-04 01:05:43
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

ラッセルの記事は人々の心を揺さぶり、政府を動かし、そしてイチンゲールという「ヒロイン」の登場を促しました。ナイチンゲールが、クリミア戦争で活躍したのは御存じの通りです。彼女は負傷兵の看護をして、彼らの置かれていた悲惨な状況の改善に貢献しました。④

2011-05-04 01:08:56
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

(ちなみに、ナイチンゲールという「偶像」と、イギリスの軍国主義や愛国主義をめぐる問題は、ここでは別の問題として考えてください。)⑤

2011-05-04 01:10:10
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

アンリ・デュナンという人がいました。彼はジャーナリストではありませんが、『ソルフェリーノの記念』という本を出した人です。戦場での自分のボランティア活動の体験談を本にまとめ、自費出版した人です。この本には、悲惨でセンセーショナルな記述がたくさんあります。⑥

2011-05-04 01:16:27
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

デュナンの『ソルフェリーノの記念』は、ヨーロッパの人々を驚かせ、センセーションを巻き起こしました。デュナン自身が書いています:「まるで喜んで書いてでもいるように、いたましい場面にまで筆をのばし、こまかすぎてやりきれないと思われるような書き方で〔悲惨な状況を〕描写した」と。⑦

2011-05-04 01:20:06
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

この『ソルフェリーノの記念』がひとつの大きなきっかけとなって生まれたのが、国際赤十字であり、赤十字条約です。(ふたたび、赤十字自体についての限界や微妙性については、別の問題と考えてください。)⑧

2011-05-04 01:22:42
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

そういうわけで、センセーショナリズムが、人々の関心を呼び覚まし、状況の改善を促すこともあります。なので、度の過ぎた煽りは非常に問題ですが、ジャーナリズムからセンセーショナリズムを払拭しなくてはならない、というのもちょっと違うかもしれないと、私は思います。⑨

2011-05-04 01:28:31
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

「犬が人をかんでも記事にはならないが、人が犬をかんだら記事になる」といいます。⑩

2011-05-04 01:30:14
小菅 信子 Nobuko M KOSUGE @nobuko_kosuge

そういうわけで、読者や視聴者は、マスメディアでもどんな情報でも、それを利用するけれど利用はされない、という賢さがやはり必要なのだと思います。⑪終

2011-05-04 01:33:54