個人的な備忘のためのまとめです。
柳家小三治の「千両みかん」
https://www.youtube.com/watch?v=ARY78FcU0CI
小三治の「千両みかん」見た。 江戸の方はどの人の型でも、最初に商売人が「あげる」と言うシーンがないんだよなあ。 これについては上方の型の、いったん「あげる」という部分に深みを感じるのだけど
2019-01-05 19:35:19桂米朝の「千両みかん」
https://www.youtube.com/watch?v=-mlNwMIyBUw
上方だとそうなるんだよねえ。 商人の「商い」の土俵に乗せるとそういう理屈になってしまうから、「命にかかわること」だからとその土俵から下ろして「あげる」と言う。 ところが番頭はそれを「大店」の意地や見栄もあり「いえお値段おっしゃってください」とあくまで「商い」の土俵に乗せようとする。
2019-01-05 19:54:57江戸だと、いきなり「千両いただきます」になる。これはこれで、最終的に上方の型もそうなるんだけど、この寄り道が、この噺が揺さぶる「ものの価値」ってのを1つ表すエピソードになってると思うんだ
2019-01-05 19:57:05@hietaro それを「商いだというなら商いとして千両戴く」って切り返して、それが千両に値する理屈にも筋が通っているから今更断れなくなって番頭が進退窮まるんだが、大旦那は「千両かかるものを一旦買うと言ったんだから千両払うのが商いだろう」つって番頭も商売人も責めずに払うのが商人の論理なんだよね。
2019-01-05 19:58:53@hietaro あれ多分、商売人の善意に甘えてただで貰ってきたら逆に大旦那に「買ってこいと言ったのに貰ってくる奴があるか」って叱られて同じ流れになるはずなんだよな。
2019-01-05 20:01:31@chronekotei これは江戸でも上方でも、大旦那は「息子の命に千両は安い。早く買ってきてくれ」と言うだけでそこまで踏み込んだ言及がある型を聞いたことはないけど、まあそうなるのが自然だよなあ
2019-01-05 20:06:06@hietaro 理屈としてはそうなるからな。そもそも真夏に蜜柑探してこいというのが無理難題なんだから、金に糸目は付けないという含意が最初からあるし、番頭が大店の見栄でただでもらえるかって突っ張ったのだって別に間違ってないから。
2019-01-05 20:09:22千両蜜柑(せんりょうみかん)は、古典落語の演目。原話は、明和9年(1772年)に出版された笑話本「鹿の子餅」の一遍である『蜜柑』。松富久亭松竹の作とも伝わっている。元々は上方落語の演目の一つで戦後に東京へ移植された。
米朝の型だと、 「ありました!…が、話になりまへん。高すぎます」 「あんたは『ある』いうて請け合うて、あったんや。それでよろしい」 「いや先方は『あげる』と仰ってくれたんです。それを私が変なところで意地を張ってしまいまして、値がついてしまいました…みかん1つ、千両です」 となる
2019-01-05 20:10:18この、 「あんたは『ある』いうて請け合うて、あったんや。それでよろしい」 というところもね。端折る演者は多いのだけど、この噺を深めてると思うんよね。
2019-01-05 20:10:55米朝ほどの名人となると、大トリで長時間やっても構わないから万事ディテールをおろそかにせずきっちり演じるので、端折って演じると結構短い噺でもかなり長いんだよね。
2019-01-05 20:14:03@chronekotei だからあそこでの番頭は、そういう理屈の世界の中での、「他人の目」というか客の目というか、そういう第三者の目の代弁だったりもするんだよねえ。
2019-01-05 20:14:37@hietaro そういう商倫理みたいなのがバックボーンにあるから、構成的には崇徳院と同じ噺なのに全然別の印象を覚えるんだよな。
2019-01-05 20:17:12@hietaro 崇徳院の大旦那は、倅の焦がれるお嬢さんを熊五郎に探させるのに借金をネタに脅す一方で借金棒引きの上に左うちわで暮らせるだけの褒美で釣ってるから、かなりあくどい(笑)。
2019-01-05 20:20:57古今亭志ん朝の「崇徳院」
https://www.youtube.com/watch?v=Dre0Gcj_vFQ
@hietaro 千両みかんの大旦那も番頭を「主殺しの大罪で磔になる」とか脅してるけど、みかんを買うくだりで大店の経営者としての懐の深さを見せているから印象が違う(笑)。
2019-01-05 20:22:11@chronekotei 江戸でも、例えば志の輔なんかは番頭が帰ってきた時に 「いやまず最初に謝らせておくれ。息子のこととはいえ…」 みたいに大旦那に謝らせるんだけど、これは大旦那の「人」としての深さであって、商人としての理屈じゃないんだよなあ
2019-01-05 20:29:12