『隔離の記憶 ーハンセン病と いのちと 希望と』

高木 智子 @takaki_tomoko

断裁って、ご存じですか。売れ行きが芳しくない本を、版元が保管する場所に 困って、裁断して、処分することです。そう、本が跡形もなく、消えてしまうもの。断裁ってことば、知りませんでした。①

高木 智子 @takaki_tomoko

数年前に初版を出して、２刷のときに、少し原稿や作家さんのご厚意で解説をいただき、増補という形で増刷しました。ところが、このところ、売れ行きが鈍ってきたらしく、版元から裁断をほのめかされました。②

高木 智子 @takaki_tomoko

拙著は「隔離の記憶　ハンセン病といのちと希望と」（増補新版2017年）。ハンセン病だった方々に聞かせていただいたお話です。ひとことでいえば、人間の尊厳にかかわるものです。生きてきた哲学がつまったものでした。③

高木 智子 @takaki_tomoko

本にはいまも療養所と呼ばれる施設で暮らしているおじいさん、おばあさんも登場します。亡くなった方もおられますし、支援をしている方もおられます。アーティスト、詩人、音楽家、運動家……自己表現を何らかのスタイルで示してきた人が多いでしょうか。④

高木 智子 @takaki_tomoko

1996年にはじめて「ハンセン病」という言葉をしって、当事者と出会って、いろいろなことを教わりました。生命倫理、国策、隔離、断種、北條民雄と川端康成、お遍路に、松本清張、ふるさとへの思い、優生思想……。⑤

高木 智子 @takaki_tomoko

国立の療養所は全国に１３。全国１００人アンケートを、療養所の自治会のみなさんに協力していただき、いまかなえたいこと、悲しかったこと、人生で喜んだ思い出などを聞かせてもらいました。昨年亡くなった、全生園の佐川修さんが自治会長だったころ、難儀なアンケートを、快く引き受けてくださった⑥

高木 智子 @takaki_tomoko

その１００人アンケートを収録して、「あん」（樹木希林さんが主演の原作です）の原作者ドリアン助川さんに解説をいただきました。やっぱし、なんとかして、精いっぱい生きてきた方々、彼らの生き方を、できる限り、届けたいから、協力してくださる人にお願いしました。⑦

高木 智子 @takaki_tomoko

出版不況にもかかわらず、増刷されたことはよかったのですが、ハンセン病というと、難しい、終わった話・・とスルーされがち。版元も、それで断裁を示唆したのでしょうが、私ひとりの本ではありません。筆者だからではなく、私ひとりの本じゃない。たくさんの方々のことばがつまっているのです⑧

高木 智子 @takaki_tomoko

わたしだけでできた本なら、こんなことつぶやきません。でも、１２章に登場してくださった、話したくない過去を未来のために語ってくださったハンセン病がゆえに、信じられないほどの苦労を重ねてこられた方々の、姿やことばを、シュレッダーにかけるようなこと、みすみすできません⑨

高木 智子 @takaki_tomoko

活字離れかもしれない。出版不況かもしれない。そうそう今朝の朝刊では「生存権」について争った朝日訴訟など重大判決の記録が破棄されているニュースが出ていましたが、そうした人が人として生きる意味を社会に投げかけたさまざまな文字の記録がなくなってしまう。断裁が示唆されて、そう思いました⑩

高木 智子 @takaki_tomoko

なぜ隔離され続けたのか。なぜ優生手術が強いられたのか。なぜ医師は放置し、社会は差別し、家族と縁をたたれたのか。なぜ人間不信に陥りながら、いま未来に教訓として残してくださるのか。差別はなぜ、偏見はなぜ……。つむいだ本だから処分はいたましい。彼らの歴史のひとつと思うのです⑪

高木 智子 @takaki_tomoko

簡単に断裁とならないように、できることを考えてみることにしました。微力ですが無力ではありません。これは核兵器廃絶にむけてがんばる長崎の高校生たちの言葉。地域や学校の図書館へのリクエストなどで、伝えられる機会が増えることを祈っています。歴史や記憶が忘れられないために⑫「隔離の記憶」

高木 智子 @takaki_tomoko

ということで、突然、献本が届いた場合は、驚かれませんよう。障害者らへの優生保護法をめぐる国賠訴訟も続いています。優生手術をめぐる人権侵害について、ハンセン病だったみなさんも被害をうけています。裁判所ではじめて証言された方（「あん」の徳江のモデルになった方）の話も。⑬

高木 智子 @takaki_tomoko

新聞も本も、読まれてなんぼ。あの手この手で、ない知恵を絞って、とにかく、なんとか、なりふりかまわず？　みなさんから聞かせていただいた本だから、私だけの本じゃないから、がんばってみたいと思います。ではでは「隔離の記憶　ハンセン病といのちと希望と」をよろしくお願いいたします⑭止

高木 智子 @takaki_tomoko

繰り返しですが。断裁って、本をばっさばさに切り刻んで、処分することのようです。きのう目にした恵方巻の処分のような感じ？　あの、非人道的な仕打ちを国や社会から受けてきたハンセン病の人たちの証言や思いを、そういう断裁という所にもっていけるわけがない。彼らの記憶も歴史は私たちのものだ

高木 智子 @takaki_tomoko

出版社も商売、経営優先とはいえ、ちょっと衝撃的でした。売れなきゃということもわかるけど、それだけか・・・とも。重版で、気を緩めていたことも要因。「隔離の記憶」はハンセン病で生き抜いた方々の、生き抜いた、生ききった証しだと思う。谺雄二さん、桜井哲夫さん、上野正子さん、近藤宏一さん。

高木 智子 @takaki_tomoko

「隔離の記憶」（彩流社）に登場する当事者は桜井哲夫さん、谺雄二さん、近藤宏一さん、上野正子さん、塔和子さん、太田明さん、鈴木時治さん、西トキエさん、藤田三四郎さん、宮里新一さん、宮良正吉さん、伊波敏男さん、森元美代治さん、小牧義美さん、杉野芳武さん、島田等さん、伊奈教勝さん（続）

高木 智子 @takaki_tomoko

阿部智子さんも。家族として林力さんらも。関わった方では元プロ野球選手馬原孝浩さん、吉永小百合さん、沢知恵さんら。「ベン・ハー」や水俣病、黒川温泉宿泊拒否事件まで。解説を書いてくださったドリアン助川さんと、中国で支援する原田燎太郎さんは早稲田大つながり。「隔離の記憶」（彩流社）

高木 智子 @takaki_tomoko

#人権　#人間の尊厳　#生命倫理 　#ハンセン病 pic.twitter.com/PriKUKYqmW

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